GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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18:イタリカへ

伊丹2尉が指揮する第3偵察隊とエース中尉が指揮をするリーパー00による炎龍撃退は瞬く間に連合派遣団内部に伝わった。

 

しかも伊丹2尉は複数の難民を引き連れていて、そのまま難民達の保護・観察役を命じられたらしい。

無線機の不調で連絡が行かなかったと説明しているようだが謙虚な日本人だ。難民を放り出されることを考えて定時連絡をせず、なし崩しで難民を受け入れざるを得ない状況を作り出したのだろう。

 

俺には到底出来ない仁徳に則ったやり方だ。

 

流石は侍の国だよ。

 

偵察任務の再開を命じられた俺は引き続き戦車隊を利用した地形調査を兼ねて北部へと向かっていた。

 

 

「高雄01からアルヌス指揮所。現段階で異常は見当たらない。このまま地形調査を実施する」

 

<こちらアルヌス指揮所、了解した。なお、自衛隊部隊にアメリカ海兵隊1個チームが同行して避難民の商取引の為にイタリカへと向かったとの報あり。問題は無いだろうが頭に入れておいてくれ>

 

「高雄01了解」

 

 

無線にて定時連絡を入れて現段階を伝える。まぁ今の段階で変わらず異常なしだがな。

問題があっても困るが、逆に退屈過ぎるっていうのも嫌なものだ。

 

 

「中尉、なんかの商取引ですか?」

 

「らしい。遭遇戦で叩き落としたワイバーンの死体があっただろ?なんでもこっちでは翼龍って呼ばれてて鱗や皮、骨は高く取引されるらしいし、肉も中々の珍味らしいぞ」

 

「ドラゴンのステーキですか?……ちょっと想像できないですね」

 

「まぁ翼の付け根あたりは筋肉が締まってるだろうし、足も筋肉の締まりがいいでしょうから美味いかもしれないですね」

 

「だけど周りにあった死骸には手をつけるなよ呉。お前はよく食うから拾い食いなんてすんなよ?」

 

「ひっでぇ‼︎俺もそこまで意地汚くなんかねぇぞ袁‼︎」

 

「そうかぁ〜?前に腹が減ったからって厨房にこっそり忍び込んで始末書書かされたのは誰だったかな?」

 

「うぐっ………」

 

「因みに付け加えれば不届きによる連帯責任で一緒に始末書を書く羽目になったんだがな俺は………」

 

「ち……中尉も⁉︎」

 

 

大食いで燃費が悪い呉はいつも何かを食べている。それだけなら別に構わないが前に基地にある厨房に忍び込んでつまみ食いしようとして見つかったという前科があり、しかも来賓に出す予定のデザートが台無しになった。

呉は始末書を書かされて1ヶ月間の戦車格納庫清掃という罰を与えられたが、俺も監督不届きとして始末書を書かされる始末だ。

 

現に今でも奴の大好物である日本の焼いた握り飯を食べている。

 

 

「そういえば林、アルヌス近郊を自衛隊が試し掘りしてみたら貴重な鉱物資源が見つかったって本当か?」

 

「はい。仲良くなった自衛隊員から聞いたんですが、難民キャンプ予定地を選んでいる時にショベルカーで掘ってみたらコバルトやクロム、ゲルマニウムの3種類が見つかったようです」

 

「どれもマイナーメタルじゃないか……なんでこの世界の連中はここを利用しないんだ?」

 

「カトー先生っていう人によると活用方法が見当たらないらしいです。この世界では金、銀、銅、宝石位しか利用価値がないようで、コバルトなどはダイヤの出来損ないとされているようですね」

 

 

加工技術が未発達なのならば仕方がない。ドイツにて発見されたコバルトなんかは当時‘‘悪戯好きのコボルトが工夫を困らせる為に魔法をかけた’’と云われている位だ。

だったら金銭で使われる金貨、銀貨、銅貨、更には装飾品に使われるダイヤモンドやルビーなんかの宝石を重宝したほうがいいだろう。

 

 

「しかしもったいない話だな……俺たちの世界だったら各国が喉から手が出る位に欲しがるものだってのに……」

 

「まぁ、この世界で発見された資源は友好国を含めて分配するって話でまとまったみたいですからね」

 

「中国のくそったれ共にもか?」

 

「そのことを公表したら案の定、中国と朝鮮がイチャモンを付けてきたようです。なにも提供しない癖に資源は奪い取ろうとしてる……頭に来たらしくて資源分配から名前を外したようです」

 

「当然だろうな。働かざるものは食うべからずって奴だ」

 

「あの国にマイナーメタルなんて勿体無い」

 

「よし、きな臭い政治の話はそこまでにしておけ。呉、確か北に向かったらイタリカっていう街があるんだよな?」

 

「はい、イタリカという街で穀倉地帯に囲まれた帝国を支える街の1つのようですが、俺たちも向かいますか?」

 

「戦車1個小隊が堂々と街に入ったら街の人達を脅かすことになる。近くまではいくが街には入らないから遠くから双眼鏡で様子を伺うだけにしておこう」

 

「分かりました中尉」

 

「呉、地図によれば谷を抜ければ森に入る。森を抜けた先にテッサリア街道とイタリカが双眼鏡で見えるらしいからそこで野営するぞ」

 

「了解です」

 

「高雄01から各車。これより移動する。各車は不意の遭遇戦に注意せよ」

 

<高雄02了解>

 

<03了解です>

 

<04了解>

 

 

 

無線で僚車に指示したら、呉がアクセルを踏んで野営予定場所へと向かう。

 

穀倉地帯に位置するイタリカ。

 

暫くしてから俺の運命が回り始める……………。




イタリカに向かうエース達。そこで黒煙がイタリカより上がっていることに気がつく。武装勢力と交戦中のピニャ達も死守すべく奮戦する。


次回[運命の交差]
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