GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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19:運命の交差

穀倉地帯イタリカ。

 

帝国を食糧面で支える重要な地域の1つとされ、その豊富な水源や豊かな地形で他の街と比べても非常に裕福とされる。しかも代々統治しているフォルマル伯爵はヒト種以外の種族も積極的に雇い入れていたこともあって街中には様々な種族がいた。

 

だが………。

 

 

「なんとしても抑えろ‼︎城壁に取り付かせるな‼︎」

 

 

そのイタリカに大量の武装した盗賊団が戦を仕掛けてきていた。飛び交う矢に投げつけられる石。普通の盗賊ならば守備する側に有利だが今回は違った。

 

いま襲って来ている盗賊はただの盗賊団ではない。

 

アルヌスの丘にて行なわれた攻防戦にて敗走した連合諸王国軍の敗残兵だからだ。

盗賊とはいえ元は訓練を受けた正規兵。

防御している勢力と実際に戦って、どこが最も有効的な突破口であるか判断し、そこを重点的に攻め込むといった基本的だが確実な戦術を駆使している。

 

イタリカに立ち寄っていた第3皇女のピニャは自身の腹心達と共にイタリカ住民から募った志願者部隊の指揮を執っていた。

 

やがて敵は今の段階で突破は困難だと判断したのか損害が広がる前に退却命令を出し、盗賊達は素直に退却を開始する。それを見ながらピニャは後ろを振り向いて損害を確認する。

 

 

「ノーマ‼︎ハミルトン‼︎怪我はないか⁉︎」

 

「何とか生きてまーす‼︎」

 

「ひ……左に同じく無事です……」

 

「薄情ですなぁ姫………小官の心配はして頂けぬのですかな?」

 

「貴様は無事だというのは分かりきってるからなグレイ」

 

「ははははははっ‼︎」

 

 

階段を下りながら無傷のグレイに話し掛けるピニャ。確かに彼の身体には全く傷がなく、肩に担がれたグレートソードには敵を斬り伏せた際に付着した返り血でびっしりだった。

 

グレイという職業軍人は庶民の出身でピニャ達にとって父親のような存在だ。

だが貴族でないという理由だけで騎士補という功績には不釣り合いの不遇を受けている。

功を立てた際に今の薔薇騎士団に繋がる私設騎士団創設の際、その時から教官や教育係、やがてピニャが最も信頼する副官の1人として付き従って今に至る。

 

なぜアルヌスへの偵察に向かっているピニャ達がここで指揮をしているかというと、理由はピニャ本人の勘違いだ。

 

ここイタリカに武装勢力が出現したという情報を入手し、それがイタリカに侵攻してきた連合特地派遣団だと思い込んで、いざ来てみたら盗賊と化した連合諸王国軍の敗残兵だった。

 

だが盗賊が出現したということには変わらないので、仕方無くピニャが指揮を執ることになったということだ。

 

ハミルトン達に馬防柵を復旧するように指示するとピニャは伯爵邸に向かい、そこで簡単な食事を摂ると客間にて仮眠を取る。

 

だが暫くしてからピニャは叩き起こされることになる。

 

 

「きゃっ⁉︎」

 

 

思わず可愛らしい声を出しながら起きたピニャ。彼女の前にはグレイにバケツを手にしているメイド長がいた。

 

 

「どうした⁉︎敵か⁉︎」

 

「分かりませぬ。はたして敵か味方か………とにかく身繕いをされてお越し下さい」

 

 

グレイにそう言われてピニャは濡れた身体を拭き、急いで装備を身につけると南門へと足を運んだ。そして先に南門にて覗き窓で外を確認していたハミルトンに駆け寄った。

 

 

「どうしたハミルトン?」

 

「分かりません。外をご覧ください」

 

 

ハミルトンに言われてピニャも覗き窓から外を見る。するとそこには緑色の物体3つと砂色の物体………自衛隊の73式小型トラックに高機動車、軽装甲機動車、そして海兵隊のM1151だ。

 

だが車両の存在を知らないピニャ達は困惑していた。

 

 

「なんだあれは……」

 

「も……木攻車ですかね?」

 

「いや………あれは鉄だ」

 

 

車両が鉄であると判断したピニャ。すると城壁にいたノーマが車両群に誰何を始める。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「何者か⁉︎敵でないなら姿をみせよ‼︎」

 

 

どうやら戦い自体は終わっているようだった。

 

レレイのアイデアでワイバーンの鱗を売りに来たロゥリィと意識を取り戻したエルフのテュカの護衛と商取引の確認でイタリカにやってきたのはいいが、イタリカ方向に煙が上がっていたことに気がつき、急いで駆け付けると戦があったようだ。

 

それを高機動車の助手席で俺は状況を確認する。

 

 

「完全に警戒してるなぁ……」

 

「そりゃそうっすよ。この世界に車なんてないんですから……ですけどどう考えても戦闘があったみたいですね」

 

「あぁ。どうするレレイ?他に街があるならそっちに向かおうか?」

 

「ダメ。それに門なら東西にもある。ダメだったら他の門から入ればいい」

 

「…………伊丹」

 

 

レレイに話し掛けていると今回は俺たちと同乗しているエースが話し掛けて来たが、その表情は少し怒りが見えていた。

 

 

「あそこにいる男……どう考えても帝国の騎士だ。敵がいるんだぞ?」

 

「まぁ落ち着きなってエース。向こう側は俺たちのことを知らないみたいだし、手を出すのは流石に不味いって」

 

「だが敵であるっていうことは変わらん。クソ共を一網打尽にすべきだと思うがな……」

 

「今はダメ。戦いの直後で街の人達は苛立ってる。下手に刺激しないほうがいい」

 

「………いいだろう。だが街に入るのか入らないのかどうすんだ?」

 

「ここで待ってて。私が行って門を開けるように伝えてくる」

 

「だったら私も行くわ。一応は矢避けで風の守護魔法をかけておくわ」

 

「あらぁ……だったら私も行くわ。なんだか面白そうだし」

 

 

そう言うとレレイ、テュカ、そしてロゥリィの順番で車外に出る。再びエースを見てどうするか話しかけた。

 

 

「どうするんだ伊丹?」

 

「俺も行くべきだと思うんだが……エースはどうする?」

 

「あの3人が心配だ。護衛として俺も同行する」

 

「了解。桑原曹長、車両隊はここで待機。指揮を任せた」

 

「了解です」

 

「リーパー00から01。これから城門に向かうが現在地で待機。だがいつでも反撃出来るようにしておけ」

 

<リーパー01了解>

 

 

それだけいうとエースはM27 ICCを背中に預け、私物で持ってきたらしいウィンチェスター M12トレンチショットガンを持って後部から外に出て俺も64式を手にして外に出る。

 

そしてレレイ達と共に城門に辿り着き、ノックをするが反応が無かった。

 

 

「…………出ないな」

 

「苛立たせる奴等だ……」

 

「短気なのは感心しないわねぇ」

 

「分かってる。帝国野郎が気に食わんだけだから気にすんな」

 

「エース、分かってるとは思うけど変に刺激なんて与えんなよ?」

 

「見くびるな伊丹。部下達を危険に晒したくはないからな」

 

「了解………だけど中々出ないな………」

 

「どうしたのかな?」

 

「戦闘があった直後だ。いきなり現れた俺たちに警戒してるだけだろうテュカ」

 

「そうだろうな………もしも〜「よく来てくれた‼︎」ぎゃんっ⁉︎」

 

 

もう一度ノックをしようとした矢先、いきなり扉が開いて俺の顔に扉が直撃。唖然とするみんなを見ながら意識が遠くなっていった……………。

 

 

 




フォルマル伯爵領であるイタリカに到着したエース率いるリーパー01。だがエースは目の前にいる帝国に怒りを抑えることに必死だった。
妻を殺した一団が目の前にいるのに何も出来ないエースに伊丹が追い打ちを掛けることになる。


次回[不本意の共闘]
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