GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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20:不本意の共闘

イタリカに到着した俺たち。

 

だが到着する少し前まで盗賊団と戦闘が行なわれていたようであり、その防衛の指揮を執っていたのが仇である帝国だった。

 

エミリアを殺した敵が目の前にいる。

 

本当なら問答無用で奴等を八つ裂きにしてやりたい。しかも指揮官が指導者である皇帝の帝国第3皇女だっていうんだから尚更殺してやりたい。だが軍人としての矜持がそれを許さないし、部下達を危険な目に合わせられない。

 

頭では理解しているんだが心では非常に不満だ。

 

俺はM1151にもたれ掛かりながら辺りを見渡していた。

 

 

「……………」

 

「いかがなされましたかな中尉?」

 

「コーエンスか……周りの状況はどうだった?」

 

「酷いもんです。正規軍は彼女達以外にはおらず、街を守っているのは志願者のみ……持ち堪えられているのが奇跡です」

 

「それほど街を守りたいんだろうな………」

 

「そうでしょうな……」

 

「………曹長、お前は平気なのか?」

 

「何がでしょう?」

 

 

辺りを見ながらコーエンスに話し掛ける。周りには防御用の馬防柵を修復する住民に桑原曹長と話をしている帝国の男だ。

 

 

「宣戦布告はしていなくて、正式に敵対してはいないが………憎むべきテロリストが目の前にいるんだ。それを拘束出来ないなんてな………」

 

「そうですな…………亡くなられた奥様のことでしょうか?」

 

「あぁ………妻を殺した奴等の仲間が目の前にいるってのに………くそ……」

 

「とにかく落ち着いてはどうでしょうか?」

 

「頭では理解してはいる……無闇に戦闘ばかりしていたら治安が悪くなるばかりってことも理解はしてるが……それでもな……」

 

「人という存在故の話でしょうな……しかし少しの辛抱です。商談が終りましたら直ぐに引き上げることになりましょう」

 

「………まぁな……次に来るときは奴等を拘束する時だと信じよう………伊丹が戻って来た」

 

 

本心をコーエンスに打ち明けているとここの領主と話をしていた伊丹が帰ってきた。

 

 

「よぅ伊丹。お嬢さん方の収穫は?」

 

「あ〜………実はその事なんだがな……」

 

「どうしたのですか2尉?」

 

「今この町は臨戦態勢に入ってて、商取引処じゃないんだ」

 

「みたいだな」

 

「そこでだ……俺たちも残って帝国の姫さんに手を貸すことになった」

「………なに?」

 

 

伊丹の言葉に思わず聞き直してしまう。

 

 

「だから俺たちも残って南門を守備することになった。アルヌスには連絡して朝に追加支援を受けれることに「伊丹」………やっぱり不満なのか?」

 

「お前のことだ………街の人達を盗賊から守りたいという理由で助力を申し出たんだろ?」

 

「あぁ、力の無い人達を守るっていうのは自衛官の基本概念だからな」

 

「それに関しては俺も賛成だ……盗賊のしてることは許せない………だが納得出来ないのは帝国野郎に力を貸さなければならないことだ」

 

「…………」

 

 

伊丹の考えは理解している。

 

こいつはいざって時に自分を犠牲にしてでも誰かを守ることが出来る戦士だ。だからこそ敵に手を貸すことに理解できなかった。

 

 

「帝国は俺たちの敵だ。本来なら俺たちは第3勢力として両方の勢力と戦わなければならない筈だ。なのに何故敵国の姫に手を貸さなければならないんだ?」

 

「だが街の人達を守る為なら手を貸すしかない。それに昔からいうだろ?‘‘敵の敵は味方’’ってね」

 

「お前は何とも思わんのか⁉︎敵に手を貸す屈辱を⁉︎それに俺たちの世界では奴等はテロリストだ‼︎テロリストに力を貸すことにお前は何とも思わんのか⁉︎」

 

「街の人を守る為なら安い考えだ。それに力を貸すことになるんだったら逆に思い切り見せつければいいんだ」

 

「なんだと?」

 

「アルヌスから追加支援で多分だけど第4戦闘団が来る。海兵隊や台湾軍も援軍を送るように頼むって言っておいたからかなり凄いことになる。だからあの姫さんに理解してもらうんだ」

 

「理解………だと?」

 

「あぁ。俺たちと喧嘩するより仲良くした方がいいってね」

 

「…………いいだろう」

 

 

これ以上は無駄だと判断した俺は溜息を吐きながらM12ショットガンを手に取り、奴の直ぐ前に歩み寄った。

 

 

「お前の考えに敬意を表して……今は帝国への刃を収めてやる。だが奴等が少しでも妙な真似をしてきたら問答無用で奴等を撃滅させる……テロリストに手を貸したお前もタダじゃ済まされないから覚悟はしておけ」

 

 

それだけはっきり伝えると俺は持ち場である南門の城壁へと上がった。

 

俺は復讐の鬼だ。

 

復讐を遂げなければならない相手が目の前にいるっていうのに何もできない。しかも妻を殺した奴等に手を貸さなければならないなんて信じられん。

 

だが俺は軍人だ。

 

一般人を守らなければならないということも分かってるし、盗賊がまた襲ってくるっていうのも分かりきったことだ。

 

今は伊丹に免じて不本意ながら共闘してやる。

 

だが俺は奴等を信用しない。

 

絶対にな……………。

 

 

 




イタリカにいる伊丹。そこでピニャに南門の防衛を任される。自身達が囮であると勘付いた伊丹にロゥリィが戦う理由と助ける理由を問う。


次回[戦う理由]
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