GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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21:戦う理由

なんでこうも面倒に巻き込まれちゃうのかな?

 

イタリカに到着してすぐ衝撃的な出会いとして帝国の第3皇女ピニャ・コ・ラーダがいて、フォルマル伯爵邸で話をしたら俺たちも街の防衛に力を貸すことになったけど、その後が問題だった。

 

同行してるエースは奥さんを殺されたことで酷く帝国を憎んでるし、何とか説得したけど納得はしていない。おまけに万が一にはすぐ姫さんを射殺できるようにもしてるらしい。

 

奥さんを殺された気持ちは分かるけど、今は事を荒立てないで貰いたいよ。

 

そんなことを考えながら俺は城壁で双眼鏡を使って前方の森の入り口付近を観測している。

 

 

 

「隊長、見えますか?」

 

「あぁ、森の切れ目付近にいる人影だろ?あれは間違い無く斥候だろうな」

 

「数は4騎……その後ろの森に本隊でしょうか?数は5〜600といった処でしょう」

 

「あぁ。だけどお姫様からの情報では襲って来た賊の数は3,000程らしく、街を包囲するには少なすぎます」

 

「あの姫さんは南門から攻め込んで来るって踏んでるけど、俺は南門には来ないと踏んでる」

 

「何故ですか隊長?この南門は一度突破寸前にまで損害を受けているらしいですし、切り立った崖があって道が一本道しかない北門を除くとして残り3箇所の何処かに戦力を集中させてくる筈……普通に考えたら戦力が低下してるここを狙うのでは?」

 

「俺も初めはそう考えたさ。けど賊がアルヌスの丘で戦った敵の残党だって聞いて確信したよ。間違い無く敵は東西のどっちかに来るって……敵は俺たちの存在を知ってる筈だからね」

 

「戦い方と恐ろしさを知ってるということですか?」

 

「そう。あの姫さんは敵の思惑にまんまと引っかかっちゃってるって訳だよ」

 

 

これを考えた敵の指揮官はなかなか優秀みたいだ。

 

普通なら防備が薄い箇所を攻撃するのに、俺たちの存在を知ってすぐに思考を切り替えて、敢えて防備が厚い箇所を攻め込む。

 

しかも自分たち側には攻め込まれていないがいつ来るかわからない。そんな状態で緊張感が続く訳がないし、綻びが出るとしたらそろそろだ。

 

普通なら俺たちも東西に戦力を分散させるべきだろうけど、目の前に敵がいるんだから離れる訳にもいかない。実戦経験が乏しくて視野が狭い姫さんには荷が重い相手だ。

 

 

「となると………我々はつまり……」

 

「あぁ、俺たちは囮……敵を誘い込む餌だ。一度は突破された城門から敵を誘い込んで奥の2次防衛線を決戦場にするつもりだよ。あの姫さんは………」

 

「なるほど………自分達が敵を削るだけ削ると言うわけですね……問題であるということに変わりはないですが、一番の問題は……」

 

「エースだな」

 

「アルヌスに攻めて来た一団の敗残兵だと聞いた中尉はあれからますます帝国への敵愾心を強めていられるようです」

 

「全く勘弁願いたいよ……下手なことをしたら間違いなく俺にまで矛先が向くだろうし……」

 

「ですね………自分は下にいってLAVのキャリバーを外す作業に向かいます」

 

「あいよ」

 

 

 

そうすると富田は階段を降りて下に停車しているLAVへと向かう。その入れ違いで今度は栗林がこっちにやってきた。

 

 

 

「隊長、V8B(個人用暗視装置 JGVS-V8-B)持ってきました」

 

「おっ、サンキュー。古田、突撃破砕線は城壁に沿う形で。海兵隊にもそれに合わせてクレイモアを設置するようにってことも」

 

「了解」

 

「ねぇ伊丹?」

 

 

 

振り返るとロゥリィがこちらに振り向き、話しかけていた。

 

 

 

「なぜ敵側の姫様を助けるの?」

 

「エースにも言ったけど、街の人を守る為だよ」

 

「ふふっ。本気で言ってるの?」

 

「そういうことになってる筈だよ………ってあれ?嵌らないな」

 

「兜かして……持ってあげる」

 

「おぉすまない」

 

 

 

ロゥリィの申し出に俺はテッパチを預け、しゃがんでV8Bを設置する。

 

 

「理由が気になるのか?」

 

「エムロイは戦いの神……戦神は人を殺めることを否定しないわ。だけど……だから動機は本当に大切なの。偽りは魂を穢すことになるから……」

 

 

ロゥリィの問い掛けに俺は軽く笑みを浮かべながら彼女に鉄帽を被らせて貰う。

 

 

 

「………この街の人達を守る。これは嘘じゃない……けどもう一つ」

 

「?」

 

「俺たちと喧嘩するより、仲良くした方が得だってことを……あの姫さんに理解して貰う為さ」

 

「ふふっ……気に入った」

 

「へ?」

 

「気に入ったわそれ‼︎恐怖‼︎全身から湧き出る恐怖を‼︎あのお姫様に刻み込むのね‼︎」

 

 

 

なにを勘違いしたのか、ロゥリィは嬉しそうに回りながら飛び回り、停止するとスカートをちょんと摘んで軽くお辞儀をする。

 

というかスカートの中が見えてるよ?

 

 

 

「そういうことなら是非協力させて貰うわぁ♪私も久々に狂えそうで楽しみぃ♪」

 

「い………いやぁ……違うんだがな……」

 

 

 

ロゥリィって実は天然じゃないのか?

 

なにはともあれロゥリィの協力を得れた俺は引き続き南門の警備に当たる。そして交代で仮眠をとった後の0311、東門から戦闘開始の火矢が降り注いだのを確認した……………。




伊丹の要請を受けて臨戦態勢に入るアルヌス基地。その格納庫では第1混成戦闘団、第2水陸機動戦闘団、第3機甲戦闘団、第4空中強襲戦闘団の団長が集められていた。
狭間陸将の説明で士気が高まる中、第4空中強襲戦闘団の建軍1佐が名乗りを挙げた。


次回[ワルキューレ達の飛翔]
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