GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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27:憤怒の英雄

イタリカでの戦いは終わった。

 

ロゥリィと栗林2曹、俺による無双と第4空中強襲戦闘団の対地攻撃を前に盗賊達は完全に壊滅し、敗走した敗残兵も退路を遮断した海兵隊と中央に突撃した台湾軍の高雄隊により駆逐された。

 

一応はイタリカ防衛に成功したが防衛戦に参加した志願者がかなりやられてしまったというのもまた事実だ。

 

志願者の死亡は止むを得ないことだが、それでも損害を最小限に減らすことも可能だった筈だ。

しかも俺たちを餌としてしか考えていなかったらしく、俺達が出来るだけ数を減らして全滅したところに民兵が仕掛けて手負の賊を仕留めるつもりだったらしい。

 

別に第2防衛線を張ること自体は正しい判断だ。

 

兵力差のある防衛戦においては敵の突破に備えて第2防衛線を設置するというのが陣地構成の基礎だ。

 

だが奴等の戦術は非常に練度が低いものだった。練度の低い志願兵や防衛兵器を集めても毛が生えた程度じゃ正規軍だった賊に敵う訳がない。

 

元々は俺たちが撃退した連合諸王国軍の敗残兵だから俺たちの戦い方を目撃しているし、少数だが俺たちの入城と単体で南門配置を目撃している。

賊の首領はそれを踏まえた上で守備側の兵力不足に一部の守城兵器の移動を斥候が発見したから南門の後方が決戦場であると察知した。

 

だから賊は不意打ちも兼ねて今まで手を出していなかった東門に攻撃を仕掛けた。

 

姫様は安直に相手が賊だから次も南門に攻め込んで来ると判断したのだろうが敵は百戦錬磨の元正規兵だから実戦経験のない姫様にはあまりにも荷が重過ぎた。

 

そんな姫に中庭で1人になっていたところで鉢合わせし、俺は対峙している状態になっていた。

 

 

 

「エ……エース殿……」

 

「……何の用だ?」

 

「その………き…救援に感謝する」

 

「………………」

 

「貴殿等の救援でイタリカは守られ、妾達も死なずに済んだ……本当に感謝する」

 

「感謝する必要なんてない………俺は伊丹に頼まれて防衛に参加しただけだ。だからあんたに礼を言われる筋合いなんてない」

 

「………随分と謙虚なのだな?」

 

「謙虚……違う」

 

 

 

俺は側面を向けていたが、彼女の発言に気にくわないことがあったので振り向いた。恐らく今の俺の表情は怒りを露わにしているだろうし、現に彼女の表情から恐怖が更に強まった。

 

 

 

「姫さん……あんたは今‘‘死なずに済んだ’’と口にしたが、自分達が死ななかったらいいのか?」

 

「ど……どういう……」

 

「あんた達帝国は助力した他勢力を捨て駒程度にしか思っていないということだ……盗賊になった連合諸王国軍敗残兵もアルヌス攻防戦で帝国に捨て駒にされ、たまたま立ち寄った俺達を巻き込んだ挙句に捨て駒にしようとした」

 

「そ……それは違う⁉︎」

 

「どこが違うんだ?現にあんたが襲来を考えていた南門には俺たちしかいなく、奥の第2防衛線に兵を集中させている。これのどこが違うっていうんだ?」

 

「そ……それはそなた達を頼りにしてだな……」

 

「民兵に聞いた。実戦経験皆無のくせに東西から民兵を引き抜いてを集結させたから人手不足の東門に被害が拡大したってな……信頼するんだったら東西の守りをがっちり固める筈だ」

 

「ぐっ………」

 

 

 

俺の言葉に姫は言葉を詰まらせる。

 

 

 

「この際だからはっきり言わせてもらうぞ。民間人の救援は賛成だったが帝国に力を貸すっていうことに俺は反対だった」

 

「なっ……」

 

「俺たちが異世界から来たアルヌスにいる武装勢力だっていうことには気がついただろう?なんで敵に力を貸さなきゃならん」

 

「た……確かに妾達は表向きでは敵対している‼︎しかし手を取り合えればきっと⁉︎」

 

「…………ざけんじゃねぇぞアホ」

 

「ア……アホだと⁉︎」

 

「さっきからご機嫌とりで馴れ馴れしくしやがって………日本で虐殺をしやがったクソ以下の帝国主義者が……」

 

「確かに異世界で妾達は貴国に無礼極まりないことをしてしまった‼︎妾では身分が違うが陛下に変わってお悔やみ「今更遅いんだよクソが‼︎」⁉︎」

 

「伊丹のメンツもあるから抑えていたがもう我慢ならん‼︎貴様等のせいで何人の人生が狂わされたと思ってるんだ⁉︎

今も伊丹の国では親族を亡くして悲しみに暮れている奴だっているんだ‼︎それなのに今更の謝罪だと⁉︎ムカつくにも程があんぞ‼︎貴様等のせいで……貴様等のせいで俺も妻を亡くした‼︎」

 

「お……奥方を………亡くした……」

 

「妻を殺した帝国主義者なんて俺は絶対に許さん……虐殺を簡単に実行して味方を簡単に捨て駒にする貴様等なんざ許せる筈がねぇんだよ」

 

 

 

それだけはっきりと伝えると俺は振り返って歩き出す。姫は戸惑いながらも何とか制止させようとする。

だが俺はM45A1のグリップに手を伸ばし、いつでも抜き取れる姿勢を作りながら彼女を睨み付けた。

 

 

 

「ま……待ってくれ⁉︎」

 

「近づくな………自衛隊が話し合いを望むなら俺は何も言わん。だがこれ以上の無礼をするっていうんなら………あんたも盗賊と同じ末路を辿ることになるぞ。それだけは肝に銘じておけ」

 

 

M45A1のグリップから手を離し、背負っていたM27 ICCを担ぎ直すとその場を後にした。

 

その後に姫はレレイや健軍1佐達と対面を行ない、イタリカでのアルヌス共同生活組合の貿易特権と租税免除を確約させて捕虜数人を情報収集目的での引き取りを承諾させたらしい。

 

それらが容認されたらすぐに部隊を退去させる。この世界での常識なら街の接収が当たり前らしいが、向こうからしたらこちらがかなり譲渡したことになる。

 

ある程度の瓦礫撤去に戦死者の埋葬などの戦後処理を行なったら第4戦闘団はイタリカの市民から熱烈な見送りを受けて次々とヘリに乗り込んでいき、台湾軍の高雄隊も帝国に情報を与えないということで早急にアルヌス基地へ引き返した。

 

俺もコーエンス達に先に帰るよう伝えてからレレイの商談が終わるまで街に残って、商談が終わると伊丹達と共にイタリカを後にした……………。

 




当初の目的であった商談を成立させた伊丹達。アルヌスへの帰路にてピニャが団長を務める薔薇騎士団本隊と遭遇する。一触即発のムードの中、伊丹とエースは判断を下す。


次回[薔薇騎士団]
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