GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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28:薔薇騎士団

面倒な事態がようやく終わったよ……。

 

イタリカでの本来の目的だったワイバーンの鱗を売る商談は成立したようで、金額は金貨が200枚と銀貨が1,000枚に為替2,000枚分、更には割り引いた1,000枚分の情報収集。

姫様からは貿易特権の取得と租税免除。アルヌス共同生活組合の自活はアルヌスからイタリカ間でなら可能となったってことだ。だけど大変だったってことには全く変わらず、高機動車の助手席で俺は眠気と戦っていた。

 

 

 

「ふわぁ〜……眠いよ倉田ぁ」

 

「しかたないですよ。大変でしたから……」

 

「ただの商談だった筈なのに……な〜んでこんなに大変になっちゃったかなぁ」

 

「まぁ、後ろの姫君達の目的が達成されたからよかったじゃないですか」

 

 

 

おやっさんの言葉に俺は後部座席を見る。そこには疲れてぐっすりと眠ってるテュカ、ロゥリィ、レレイがいて、黒川が微笑ましくそれを見ていた。

そんな光景を眺めているとエースが話しかけてきた。

 

 

 

「伊丹、もういっそ仮眠をしたらどうだ?」

 

「そうするかな?」

 

「そんな眠たそうじゃ戦闘になったら迷惑だ。だったら少しだけでも仮眠をして眠気を取っておけ」

 

「エースは平気なのか?」

 

「俺は大丈夫だ」

 

「隊長、指揮は私とクレイグ中尉で担当しておきますから隊長は遠慮なく仮眠を取ってください」

 

「そうか……だったら頼むよ……」

 

「ん………あっ⁉︎」

 

 

 

俺がおやっさんとエースの勧めで軽く眠ろうとした瞬間、倉田が何かを見つけて急ブレーキを掛けた。

その反動で後ろの3人は座席の上でコケて寝ぼけながらも目を覚まし、寝ようとしていた俺も頭を思いっきりぶつけた。

 

 

 

「いって⁉︎」

 

「どうした倉田⁉︎」

 

「隊長‼︎前方に煙が見えます‼︎」

 

「ってまた煙か⁉︎」

 

 

 

前方に煙があることに気がつく。これでこの世界で煙を見掛けるのは3度目になるが今回は黒煙じゃなく砂煙がたっていた。

それを確認する為に俺と倉田とエースは双眼鏡を取り出して砂煙を見るがよく見えない。

 

 

 

「………煙が邪魔でよく見えない」

 

「規模から判断して馬群だな……」

 

「……見えました‼︎ティアラです‼︎」

 

「ティアラねぇ………ってティアラ⁉︎」

 

「金髪です‼︎」

 

「金髪⁉︎」

 

「縦ロールです‼︎」

 

「縦ロール⁉︎」

 

「目標‼︎金髪縦ロール1‼︎男装の麗人1‼︎後方に美人多数‼︎」

 

「お前らなぁ………ちょっとは別の箇所を観察しろ。例えば旗とか………」

 

「…………薔薇だな⁉︎」

 

「薔薇です‼︎」

 

「お前ら……楽しんでないか?」

 

 

 

倉田が発見したのを確認する。

 

そこにはアニメでしか見る機会がない筈の実物金髪縦ロールをした女性に銀髪のショートをした男装した女性。後方からも女性が騎士団の装具を身につけ、馬に乗りながら旗を掲げている。

 

 

 

「3色の薔薇……」

 

「あの馬鹿姫がいっていた騎士団だな……」

 

「俺……縦巻きロールの実物なんて初めて見ました」

 

「ま…まるで歌劇団みたいな一団ですね」

 

「縦巻きロールが黄薔薇様で、ショートが白薔薇様ってとこだな」

 

「何をくだらないことを言ってる。一先ずは警戒態勢を取るぞ」

 

 

 

俺が接近してくる騎士団の様子を伺っていると、向こうも俺たちの存在を察知したようだ。すると白い女性の背後から敵意みたいな視線を突きつけている金髪の女性がいた。

 

 

 

「こちら3-1。警戒せよ」

 

「まっておやっさん。総員敵対行動は避けろ。協定違反になりかねない」

 

 

 

おやっさんの無線に俺は発砲を厳にする。すると先導車の73式小型トラックに白薔薇が近付き、ドライバーをしている富田に話しかけて来た。

 

 

 

「どこから来た?」

 

「あ〜……我々イタリカから帰る」

 

「何処へ?」

 

「アルヌス…ウルゥ」

 

 

 

富田がアルヌスという単語を出した瞬間、白薔薇が鞘からスティレットを抜刀し、黄薔薇も馬から降りて富田の襟を掴み、後方の騎士達もランスの矛先をこちらに向けてきた。

 

 

「アルヌスの丘だと⁉︎貴様等‼︎異世界の蛮族か⁉︎」

 

「総員反撃準備‼︎」

 

「おやっさん‼︎絶対にこっちから手を出させないでよ‼︎」

 

「伊丹‼︎何処に⁉︎」

 

「とにかく説得してくる」

 

「まて‼︎俺も行く‼︎」

 

 

 

説得の為に下車するとエースも下車して後ろを付いてきた。

 

 

 

「えっと失礼。部下が何か致しましたかねぇ……うっ」

 

 

 

なるべく落ち着かせる為にゆっくり口調で話し掛けるが白薔薇がいきなりスティレットを突き出してきた。

 

 

 

「降伏なさい‼︎」

 

「てめぇ‼︎何しやがる⁉︎」

 

「エースまった‼︎ま……まぁ落ち着いて。話せば分かる「お黙りなさい‼︎」ぐふっ⁉︎」

 

 

 

説得しようとするめ黄薔薇が俺に平手打ちして、エースがM1070 CQBPを抜き取って構え、後ろでは下車していた古田達が構える。

一触即発の中、勝本もM2の初弾を装填するがおやっさんが無線で制止させる。

 

 

「逃げろ‼︎逃げるんだ‼︎」

 

「隊長‼︎中尉‼︎」

 

「構うな‼︎お前等は味方に状況を報告しろ‼︎」

 

「しかし⁉︎」

 

「「行け‼︎」」

 

 

俺とエースが同時に叫ぶとおやっさんの判断で車両が一斉に方向転換し、砂煙を上げながらエンジン全開で走り出す。いきなりだったので軍馬は慌てだし、騎士達も馬を落ち着かせるのに精一杯な状況だ。

そして砂煙が落ち着くと黄薔薇がスティレットを抜刀して鋒を俺に向けてきた。

 

 

「貴様‼︎」

 

「うわっ⁉︎」

 

「伊丹⁉︎」

 

 

怒りに任せて黄薔薇がスティレットを突き出してきたがすんでのところでエースが押したことにより刺突を免れたが、代わりにエースの右腕にスティレットが貫かれた。

すぐに黄薔薇は抜き取ったがエースは負傷した箇所を抑えながらその場にひざまづいた。

 

 

「エース⁉︎」

 

「ぐっ……大丈夫だ。傷は浅い。だが……」

 

「仕方ない………一先ずは武装解除した方がいい」

 

 

エースは舌打ちしながらも状況が圧倒的不利だと判断し、M1070をホルスターに戻したら負傷していない左手を上げて無抵抗の意思を告げる。

俺も88式鉄帽を脱いで手にしながら両手を上げた。

 

こりゃ面倒ごとは暫く続きそうだ……………。

 




ピニャの下に連行されてきた伊丹とエース。痛めつけられた2人にピニャは再び怒りと恐怖を露わにする。気を失っている伊丹とエースにハミルトンは必死に呼び掛けるが…………。


次回[協定違反の代価]
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