GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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30:潜入開始

伊丹とエースが捕まったという第3偵察隊の報告は瞬く間にアルヌス基地に広まった。

往来の保証という確約をいただいた矢先に今回の軍事的衝突に2名への虐待などで彼等にとっては何としても救出しなければならない。

 

だが2名を拘束したというのがピニャの配下である薔薇騎士団ということを考えれば間違いなく不幸な出来事で、騎士団も協定締結のことは知らされていなかった筈だ。

 

もし可能ならばなるべく穏便に話を解決させ、2名を奪還したい。

 

しかし虐殺を実行したり、捕虜に対して非人道的扱いを容認している帝国が信用できないというのも事実であり、それらを踏まえたら少数で潜入して密かに奪還するのが効果的であると狭間陸将は結論付けた。

 

加えて今後の外交にも有利に働く可能性がある。

 

今度こそ出撃できると期待していた第1戦闘団の加茂1佐は出番無しだと聞かされた時にはがっくりしていたが……。

 

そこで白羽の矢がたったのはイタリカ付近に展開している第3偵察隊と先に帰還していたリーパー隊だった。

 

緊急任務を受けたリーパー隊副官のビリーはすぐに装備を整え、MV-22Bにてイタリカ近郊に向かい、そこからM1161 ITV-LSVで第3偵察隊と合流を果たした。

 

 

 

「敵の守備態勢は?」

 

「我々に比べたらザルです。一応は騎士だからしっかりと監視任務をこなしてはいますが篝火で位置ははっきり分かっていますね」

 

「狙撃が出来る……といいたいが後で面倒なことになる。静かに殺さず制圧出来たらいいんだが……」

 

「あの……私に任せて貰えない?」

 

 

 

茂みの中に身を顰めるコーエンスとリーパー02のシモンズ・ワークス軍曹、フォーリー・マクダナソン伍長、クラーク・シェパード上等兵、フィリップ・ネイソン上等兵、更に第3偵察隊から栗林、富田、勝本、倉田。通訳や魔法が使えるというテュカ、レレイ、ロゥリィの12名。

 

個性が非常に強いリーパー02だが同時にリーパー各隊の中で最も実戦経験が豊富である。特にフィリップ・ネイソン上等兵はPMCに在籍していた時期があったのでイラクにも派遣されて実戦をこなしている。

 

潜入手段を考えているとテュカが手を上げて手段の提示をする。

 

 

 

「なにかあるのか?」

 

「えぇ、相手を傷付けずに倒すんだったら眠りの精霊の力を借りれば大丈夫よ」

 

「眠りの精霊…………なるほど…見張りを眠らせてしまうって訳か。いいだろう」

 

「だったらテュカ。先に門から入って付近に魔法を使って制圧してくれ。完了したらなにか合図をくれ」

 

「だったら私もいくわ」

 

「私もいく。能力補助の魔法を使えば見張りだけを眠らせれる」

 

「了解だ。テュカはロゥリィとレレイを連れて先行し、俺たちは合図があるまで待機。射撃は極力避けたいが最後の手段として発砲しろ」

 

『了解』

 

 

 

簡単に打ち合わせするとテュカたちが南門へと向かう。普通ならこんな夜中に門をくぐるなんて怪しすぎるがロゥリィがついている。

 

向こうは勝手に忘れ物かなにかしたのだろうと勘違いするという期待がある。

すると案の定テュカたちは何の問題もなく門をくぐることに成功し、暫くしてから薄い紫色の帯が周囲にいた見張りに向かっていき、その帯を浴びた見張りはゆっくりと眠りについた。

 

そして眠ったことを確認したテュカはビリー達に合図代わりに手を振った。

 

 

 

「どうやら……制圧出来たみたいだな」

 

「よし……行きますか」

 

 

 

制圧したのを確認したら全員が音を立てずにゆっくりと茂みを抜けて確保された城門をくぐった。

城壁のすぐ下には民兵がいたが、彼等は味方だということは知っているので手を振りながら移動する。

 

 

「よし。ここから二手に別れよう。富田2曹達は伯爵邸の西側から潜入してくれ。俺たちは東側から潜入して捜索を開始。屋敷内で合流だ」

 

「了解です」

 

「無線は常にオープンにしておけ。衝突回避の合言葉は‘‘アイスピック フェニックス’’。互いの隊長のどちらかを見つけたらすぐに連絡しろ」

 

「了解」

 

「よし、行くぞ」

 

 

 

ビリーの指示で富田達は西側に移動し、リーパー02も反対側から回り込む為に東側へと向かう。

騎士団が到着したことにより警備態勢は厚くなっているようだが、それはこの世界での警備態勢だからだ。

 

ビリー達にとっては殆ど警備態勢は皆無のような位に緩い態勢となっていて大半が城門外に向いているので内部に関しては殆ど無警戒のような状態だ。

 

暗い路地を前後左右上下で警戒しながら移動していると何かを発見し、停止サインを出してリーパー02を停止させる。

 

ビリーがゆっくり姿勢を低くしながら覗き込むと雑談をしている騎士がいた。

 

幸いにも進路ではないがこちらを向いている状態だ。

 

下手に飛び出したら見つかる可能性があるのでビリーは振り返ってシモンズ達に小声で指示する。

 

 

 

「コンタクト、20m先に騎士3名」

 

「どうしますか曹長。排除しますか?」

 

「下手に警戒させる必要もない。タイミングを見計らって反対側の路地裏に飛び込むぞ。フォーリー、一緒に来い」

 

「了解」

 

 

 

M38 SDMRを手にしているフォーリーに来るよう指示して駆け抜ける姿勢を整える。そして騎士が視線をずらした瞬間を突いて静かかつ迅速に反対側に陣取った。

フォーリーに照準を合わさせるとタイミングを見計らった。

 

 

「スタンバイ………スタンバイ………ムーブ」

 

 

タイミングを見つけたら一気に3人が移動を開始。音を立てずに素早く移動した3人はすぐ路地裏に入り込み、フォーリーの肩を軽く叩くと移動を再開した。

潜入開始から20分後、何度か進路を迂回しつつも予定地点である伯爵邸西側に辿り着き、壁に張り付いて鎧戸の状態を確認。しっかり鍵が掛けられているようであるが問題はなかった。

 

 

 

「シモンズ、出番だ」

 

「了解。1分ください」

 

「リーパー01から3-2。こちらは西側に到着した。そっちはどうだ?」

 

<こちら3-2。こちらも東側に到達。いま鎧戸を解錠中>

 

「こっちもだ。解錠が完了したら潜入「曹長。解錠完了」撤回する。解錠が完了した。これより内部に潜入する。内部で会おう。リーパー00 out」

 

 

 

シモンズが鎧戸の鍵を解錠し、音を立てずに開けると窓を持ち上げて次々と内部に侵入していく。夜ということもあって蝋燭などは消されて暗く、月明かりが窓から注ぎ込まれている程度だ。

 

廊下を巡回している敵がいるなら尋問してエースと伊丹の居場所を吐かせるつもりだったのだが仕方ない。

ビリー達は武器を構えながら互いの位置を確認しあってゆっくりと捜索を開始。すると曲がり角の先から足音が聞こえてきた。

 

 

 

「アイスピック」

 

「フェニックス」

 

 

 

ビリーが合言葉を口にした。すると返答のフェニックスが返ってきたので相手は富田達だということを確認して合流を果たした。

 

 

 

「状況は?」

 

「いまのところ収穫はなし。隊長達は見当たらないです」

 

「よし、上の階に移動する。しっかりついて来い」

 

「了解………ん?」

 

「どうした?」

 

「あそこの部屋から光が……」

 

 

 

栗林の言葉にビリー達は近くの扉を見る。すると扉の隙間から微かに光が漏れていたことに気がつく。

誰かいると判断したビリー達はすぐに扉の左右に張り付き、突入準備を整える。

富田がドアノブに手をやり、一気に開け放つとビリー、富田、シモンズ、倉田の順で交互に突入。

 

銃口の先にいたのは兎耳と猫耳をしたメイドだった……………。

 




意識を取り戻したエース。そこで彼は黒髪の副メイド長女性と出会う。怒りを抑え、伯爵公女には手を出さないでほしいという願いを聞き、エースに変化があった。



次回[黒髪の女性]
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