GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

37 / 89
36:門の向こう側

後で知ったんだが帝国の馬鹿姫は毎日を記録するように日記が書かれているらしい。その中身にはこう書かれていた。

 

‘‘世界の境たるゲートの向こう側に抜けると、そこは摩天楼だった。かつて異世界の国家に攻め込んだ帝国兵は何を思っただろうか?

 

自らの運命を予想できただろうか?

 

私はこの巨大な建造物の谷間にあり、自らの力の無さを噛み締める。これほどの建造物を作り上げる国家を相手に戦争を始めた帝国の命運に暗黙を感じた’’

 

 

確かに銀座は結構な繁華街だが、原宿や新宿、ニューヨークやロサンゼルスにいけば更に巨大なビルが幾つもあるというのに目の前の12階建ビルで驚いてたらキリがない。

だがこいつらの建造物といえば宮殿や城壁くらいしかないから、銀座の街並みで驚いていても不思議ではない。

 

もちろん姫さんと金髪女だけではない。

 

レレイやテュカ、ロゥリィ、ミオ、ルフスですら目を丸くして唖然としていた。

12月の銀座の寒さを忘れてしまう程の驚愕だったなようだ。

 

 

 

「見事なまでに予想通りな反応だな」

 

「あぁ。彼女達にとって初めての異世界で初めてのビルを見たんだ。予想は簡単だよクレイグ中尉」

 

「くしゅん⁉︎……うぅ〜……本当に寒いのね」

 

「だから言ったでしょ?こっちの冬は寒いって……」

 

「大丈夫かテュカ?よかったらコートを借りてくるけど……」

 

「ううん。平気よ伊丹」

 

「本当に必要な時はすぐに言うんだぞ。風邪なんか引いたら大変だからな」

 

「ありがとう谷」

 

「伊丹2尉」

 

 

 

予想より寒い環境に少し寒そうなテュカに心配する全員。すると伊丹に誰かが歩み寄ってきた。

少し猫背でコートを身に纏った独特な雰囲気を醸し出す男だが雰囲気は軍人じゃない。

 

というかどこか某ロス警部に似ていて、"ウチのカミさんがねぇ"とか言いそう。

 

 

「情報部より派遣された駒門です。皆さんのエスコートを仰せつかりました」

 

「お宅………公安の人?」

 

「ほぅ……分かりますかな?………さすがは英雄だ」

 

「たまたまだよ」

 

「たまたまねぇ」

 

「公安ということは警察か?」

 

「あぁ。俺は総務課第10係の人間だよ」

 

 

警視庁公安部総務課第10係といえば、確か日本共産党、市民運動、反グローバリズム運動、カルト・セクトなどを捜査対象としているポジションだ。

スパイ防止法可決に伴って中国人やロシア人、韓国人の逮捕が徐々に増加傾向にあると聞いた。

 

そんな駒門はコートから手帳を取り出してそれを広げた。

 

 

 

「実はあんたには悪いが履歴を調べさせて貰ったよ」

 

「何も面白味なんかなかっただろ?」

 

「いやいや、実に面白かったよ。一般幹部候補生過程の成績は同期にけが人が出たおかげでブービー。

3尉任官後は兵庫県の伊丹駐屯地第36普通科連隊第1中隊に配属。勤務成績は不可にならない程度に可。業を煮やした上官から幹部レンジャーに放り込まれて何とか修了して、その後なぜか習志野に異動。やんわりと3尉に留め置かれていたが例の事件で2尉に昇進した………とね」

 

「はぁ……よく調べたね」

 

「てか伊丹………なんとも強烈な軍歴じゃないのか?」

 

「あぁ……別の意味でな」

 

「くっくっくっ………月給泥棒、オタク、隊内ではコテンパンだねぇ……………そんなあんたがなぜ‘‘S’’なんかに?」

 

 

 

駒門の言葉に伊丹は面倒そうな表情をし、栗林、富田は唖然とし、谷はポカンとしていた。

 

彼が口にしたSという言葉は、正式名称は‘‘Spesial Force Group’’………特殊作戦群、SFGp、特戦群とも呼ばれているグリーンベレー、SEALsと互角かそれ以上の実力を有している日本で唯一の特殊部隊だ。

 

日本の自衛隊にて最精鋭とされる言葉を聞いた栗林が目を丸くしながら叫びをいれていた。

 

 

 

「え?え?えぇええええええ‼︎⁉︎⁇」

 

「なっ⁉︎と………特殊作戦群⁉︎」

 

「あんたは驚かないようだねぇクレイグ中尉?」

 

「まぁ知ってたからな。フォースリーコン時代に何度か訓練を一緒にした」

 

「はぁ……本当によく調べてるな……知ってるか?蟻ってのは怠けてる個体を取り除いたら、また新たに怠ける個体が現れるらしい」

 

「怠け者が必要と?」

 

「上官に叱られた時にこの話をしたら……」

 

「特殊作戦群に転属となった……」

 

「ただの屁理屈だったんだがな」

 

「まぁ………クレイグ中尉と谷中尉の経歴も中々のものだよ」

 

「「俺たちも?」」

 

 

 

俺たちの履歴も調べたなんてな……。

 

 

 

「海兵隊入隊後は新兵育成過程の成績を悉く塗り替え、特殊部隊のフォースリーコンにも参加。そこで様々な実戦を経験したり要人救出作戦にも参加。少尉任官後は教官を務めていたが事件にて6人のテロリストを瞬く間に制圧した功績で中尉に任官した」

 

「……どうやって調べたんだ?」

 

「さすがはクレイグ中尉だな」

 

「谷中尉は戦車兵学校を首席で卒業。中国軍による侵略の際にはたった3両で西海岸に上陸しようとした敵を撃退し、勇猛果敢な戦いようから友軍、救援派遣された自衛隊とアメリカ軍、更には敵の中国軍からは‘‘海岸の獅子’’と云われるようになって英雄化。当時の曹長から中尉という異例の昇進を果たした」

 

「………あんたも中々の実績だな」

 

 

 

駒門の口にされた軍歴に富田はもちろん、気がつけば周りの自衛官が騒ぎ出す。すると頭を抱えていた栗林がいきなり奇声をあげた。

 

 

 

「あ……あ……あぎゃあぁああああ‼︎⁉︎⁇嘘よ⁉︎嘘だと言って⁉︎クレイグ中尉や谷中尉はそうだろうけどこんな人がレンジャーな上に特殊作戦群⁉︎」

 

「………悪かったな」

 

「ふふふ………やっぱりあんたは只者じゃない。働き蟻の中で怠け者を演じる精神を俺は尊敬するよ」

 

 

 

そういうと駒門は伊丹に対して敬礼し、俺たちも反射的に敬礼した。その後に駒門達公安部の護衛を受けながらバスに乗り込み、目的地の国会議事堂へと向かった。

 

因みに………。

 

 

「嘘よ嘘よ……これは夢…夢ったら夢よ……ありえない…ありえない………」

 

 

伊丹が特戦群だという事実を聞いて、現実逃避をしている栗林がいた……………。




少し寄り道をしながら国会議事堂に着いて参考人招致に挑む伊丹達。だが共産党の幸原議員の無礼しかない誘導に徐々に周りの怒りが蓄積される。
そしてロゥリィの番になって波乱に満ちることになる。


次回[波乱の参考人招致]
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。