GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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40:追悼

伊丹が提示した手段、それは確実にノーマークであろう奴の元妻である葵 梨紗の住んでいるアパートに転がり込むというものだった。

 

彼女は俺が留学していた中学時代の後輩で、奴と結婚した際には仲人を務めた。

 

離婚したというのは向こうで聞かされていたがまさかまだ関係があったとは思わなかった。

しかも今は友達という形になっていて、寧ろ夫婦時代と比べたら良好らしい。

 

もともと特殊な夫婦だったことは知ってはいたが本当に変わった奴等だ。

 

一応は中学時代でも彼女もマニア仲間であって、今も同人誌作成を主な仕事としているが、彼女の書いているのがBLということは触れないでおこう。

 

因みに前に俺と伊丹をモデルにしていいかとお願いされたことがあるが、全力で止めた。

 

そこで一晩を過ごし、朝になったらミオを梨紗に任せて単身で銀座にいた。

 

手には途中の花屋で買ったオオアマナとシオンの花を持ち、献花台の前にいた。

 

あの忌々しい事件で俺はエミリアを失い、多くの人たちが亡くなって今でも行方が分からない人達もいる。

 

そして今でも俺と同じように献花台にて花束を置いて黙祷を捧げている人達も多く、俺も全ての死者に対して哀悼の意を表して黙祷を捧げていた。

 

 

 

「………………」

 

「隊長」

 

 

 

隊長と呼ばれて俺は後ろを振り返った。そこにはニット帽を被り、こちらに対して敬礼をしていた。

 

名前はクワイゼル・ハイデッガー。

 

俺がフォースリーコンにいた時代で少尉だった俺の右腕として支えた男だ。

 

 

 

「クワイゼルか……久しぶりだな」

 

「はい。3年93日18時間ぶりです」

 

「相変わらず時間にうるさい奴だ。だが元気そうでなによりだ」

 

「少尉こそ……って今は中尉でしたな?」

 

「俺にとって階級なんざどうだっていいんだがな………それで何の用だ?」

 

「はい。特地から来られた来賓方と護衛に就いていた自衛官、台湾軍士官、そして海兵隊士官が行方不明になりましたから探していた処です」

 

「………手間を掛けてすまんな」

 

「何をいまさら………」

 

「少し歩くぞ。ここじゃ人目につく」

 

 

 

元部下との再会に対してクワイゼルと握手し、献花台から少し離れたカフェに来店し、壁際の隅にある席に陣取る。俺はホットコーヒーと限定のジンジャーブレッドクッキー、ハイデッガーはカプチーノを注文すると再び話し出す。

 

 

 

「それで、お前は今は何処に所属してるんだ?」

 

「隊長がフォースリーコンから離れてから暫く残っていました。けど2年前からラ・シーアに身を置いています」

 

「カンパニーか………てことはパラミリタリーチームだな?」

 

「えぇ。正確には対テロセンター所属で本来なら韓国にいる筈でした」

 

「奴らが動き出したのか?」

 

「まだ憶測の範疇ですがブラックベレーが動き出したらしいです。それだけじゃなく南京軍の飛龍、更にはロシアにも動きがあったようです」

 

「装備は一流、腕は二流、人間は三流の三拍子揃った連中か……目的は間違いなく彼女達だな?」

 

「ラングレーはそう判断しています。日本の海上自衛隊も既に3国の工作員らしき不審船を何隻か拿捕して武器を押収したと連絡も入ってます」

 

 

 

クワイゼルの話で中国、韓国、ロシアの3国が動き出しているということは明らかだ。

 

ロシアはウクライナに対する侵略が失敗して、追い討ちを掛けるように政府軍と超国家主義者と民主主義派の三つ巴で内乱が勃発。今は落ち着いたが国力の大幅低下は回避出来なかった。

 

韓国は世界中から詐欺紛いな国営をして世界中から反感を買い、海外企業は韓国に見切りを付けてこぞって撤退。それらを全て日本の責任に押しつけたのだから一度はホワイト国に戻ったがグループD寄りのグループCに転落させられたことで国内は貧困層で溢れかえっている。

 

中国は自治領への常軌を逸した圧政や共産党内の腐敗化、弾圧、粛清、民族浄化など挙げたらキリが無い。台湾独立戦争で敗北し、今度はベトナムに侵略するも敗北して大半の国から国交断絶が言い渡されて国内は餓死者で溢れていると聞いた。

内戦による疲弊や敗戦による損害賠償の支払いで極度の経済不況と先軍主義による能力の低下に食糧不足。

 

あの国々はゲートの向こう側で発見された鉱物資源や領土を自分達のものにすることで躍起になっていて、万が一にでもゲートを越えさせたりしたら間違いなく奴等は略奪と侵略を始める。

 

恐らくはミオ達を人質にしてゲートの管理権を寄越すよう脅迫するつもりだ。

 

 

 

「それでカンパニーエージェントのお前も部隊を引き連れて警護任務に充てられたって訳か……」

 

「そうなります。それに警備に当たるのは俺たちだけじゃありませんよ。SにTeam9の合同部隊も警備に参加することになります」

 

「日本で唯一の特殊部隊にTeam6を基盤とした9にラングレーのパラミリタリー……随分と豪華な面々だな」

 

「正式な編成が完了しましたら台湾軍の黒衣隊も参加します。あと噂なのですがNATOからも何人か参加するみたいです」

 

 

 

その話なら噂程度で聞いたことがある。特地に配備されている各軍とは全く指揮系統を違わせた多国籍特殊部隊を編成中のようで、なんでも俺たちアメリカ軍では存在が語られることはない"幽霊部隊"も参加するようだ。

 

しかも情報面で優秀なCIAのパラミリタリーチームも加わるとなればかなり強力な少数精鋭部隊となる。

 

 

 

「そういえば………お前の奥さんは元気か?」

 

「はい。シンディや子供達も元気ですよ」

 

 

 

そう尋ねるとクワイゼルはポケットから財布を取り出し、その中に入れてある写真を見せてくる。そこにはクワイゼルに肩を抱かれている彼の妻に3人の子供が写っていた。

 

 

 

「元気そうだな………いい笑顔だ」

 

「俺の心の支えですからね……いつか会ってやってください。妻や子供達も喜びます」

 

「あぁ。そうさせて貰おう」

 

 

 

クワイゼルの家族の話をしながら俺は頼んだコーヒーとクッキーを口にする。それから暫く雑談をしながら寛ぎ、店を出るとクワイゼルと別れた。

そして俺は東京駅で待ち合わせをしている伊丹達と合流し、次の目的地である横須賀へと向かった……………。




妨害もなく横須賀に到着した一同。予定地点の天ぷら屋にてピニャは本居、ディレル、周との対談を果たす。
そこで聞かされる戦争法でピニャは和平を締結させる為に決意を固めた。


次回[首脳達と英雄達]
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