GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版 作:ウルヴァリン
妨害を受けつつも伊丹の元妻である梨紗の家に押しかけるという荒技を使用して、次の日の朝に息抜きを兼ねて午前中をそれぞれ好きな場所でエンジョイした。
伊丹は秋葉原にて同人誌ショップに向かい、エースは銀座、谷はルフスと一緒にスカイツリーで大パノラマを満喫して梨紗と栗林、テュカ、レレイ、ロゥリィ、ミオは買い物、富田はピニャとボーゼスの頼みで図書館で休みを満喫する、
そして13時に東京駅で集合して横須賀へと向かった。
「な……なんだあれは……」
「島が……鉄の島でしょうか?」
横須賀駅に到着した一同は横須賀海軍基地に停泊している船舶に驚愕していた。
横須賀海軍基地は世界最強という呼び声が高いアメリカ海軍第7艦隊の母港であり、そこには第7艦隊のシンボルであるニミッツ級原子力航空母艦‘‘ロナルド・レーガン’’にタイコンデロガ級イージス巡洋艦‘‘アンティータム’’に‘‘シャイロー’’、‘‘チャンセラーズビル’’。
更には海上自衛隊の第1護衛隊群のいずも形護衛艦‘‘いずも’’にまや型護衛艦‘‘まや’’、むらさめ型護衛艦‘‘むらさめ’’と‘‘いかづち’’が停泊していて、その勇姿を誇っていた。
ピニャ達帝国にも船団はあり、数は多いが大きくても精々40m弱しかない。
対してロナルド・レーガンは333mも誇る全長で8倍もの巨体だ。しかも鉄で出来た船など存在する訳もなく、しかも甲板にはF/A-18EやF-35C、軽空母化がされたいずもの甲板にもF-35BJが駐機していて攻撃力などは比べる必要すら無い。
そんな海上戦力を見せつけられたピニャ達を他所眼に迎えに来たマイクロバスに伊丹達は彼女等を乗り込ませて目的地の店へと向かった。
それから数分後、横須賀海軍基地を一望できる料亭に到着すると数人の男が入り口前にいた。
「エース・クレイグ中尉か?」
「あぁ。命令により特地からの来賓を連れてきた」
「カンパニーのグラハムだ。既に大統領達は店内にいる」
「了解だ。さぁ、大統領閣下とご対面だ」
「分かった。じゃあ梨紗、すまないけど別席で何か適当に食べててくれ」
「い…いいの?」
「あぁ、流石に民間人同行で首脳達と会うのはまずいからな。俺たちの奢りだから好きなものを食べててくれ」
「やったぁ‼︎じゃあじゃあ‼︎お酒もいいの⁉︎」
「飲み過ぎない程度ならいいぞ」
そういいながら伊丹は財布からクレジットカードを取り出して梨紗に渡すと、彼女は店内にあるカウンターへと向かう。
それを見送ったエース達はグラハムの案内を受けて3階へと上がる。そして個室の襖を軽くノックし、エース達が到着したことを知らせたら襖を開ける。
「ようこそ、遠路遥々お疲れ様です。さぁ中に入って下さい」
個室にて鎮座している本居に施され、ディレル、周が座る席の反対側の座布団に座る。
「改めましてようこそ日本へ。日本にて首相をやらせて頂いている本居と申します。こちらにおられるのがアメリカ合衆国のディレル大統領と台湾の周大統領です」
「ディレル・マックフォードだ。よろしく」
「周 登満です」
3人が自己紹介して軽く会釈するとピニャ達もつられて会釈する。
「大統領閣下。こちらが異世界より参られた方々でございます」
「私はレレイ・ラ・レレーナ」
「ハイエルフのテュカ・ルカ・マルソーです」
「私はロゥリィ・マーキュリー。暗黒の神エムロイの使徒よぉ」
「ルフス・エム・ヴォーディッシュ」
「ミオ・ルカ・ヴォートスと申します。この度はお招き頂きまして誠にありがとうございます」
「いえいえ……こちらこそ無理な願いを聞き入れて頂いて感謝します」
「それで……そちらの御仁が帝国の皇女かな?」
「はい。帝国第3皇女…ピニャ・コ・ラーダと申します。こっちは我が配下のボーゼス・コ・パレスティーです」
流石は騎士だ。
目の前に3カ国のトップがいるというのに堂々としている。だが内心では自分達より圧倒的な力を誇る国家の頂点に君臨する存在故に怒らせてはならないと冷汗ものだ。
店員が日本酒と前菜を持ってきて配ると御猪口を掲げて飲み干した。
「けほっ⁉︎けほっ⁉︎」
「はははっ。日本酒は初めてでしたか?」
「は……はい。なんともキツイ酒です」
「だから言っただろ本居。彼女達には最初はワインにすべきだって……」
「まぁ……日本の酒を体験して戴くというのも良かったと思いましてな……」
「伊丹2尉達は飲まないのかね?」
「自分達は護衛をしなければなりませんので、酒が回ってしまっては任務遂行は困難になります」
「流石はクレイグ中尉だよ。海兵隊らしい忠誠心だ」
「恐縮であります。周大統領閣下」
「しかしロゥリィさん。昨日の共産主義者共の発言には誠に失礼いたしました」
「本当よぉ。あなたの下の人間なんだからちゃんと躾をして欲しいわねぇ」
「こら、ロゥリィ」
「構わないよ伊丹2尉。事実なんだからな。しかも彼女は私達よりも遥かに年上だ。年長者の意見は受け取らなければな」
「しかし間近で見させてもらうが、本当にエルフなのですな……しかも美少女とはお見それしました」
「ありがとうございます」
「だが国会での共産党に対するロゥリィさんの一言には感服したよ。日本を内から蝕む共産主義者共もすっかり戦意を喪失した。私は腹を抱えて笑ったよ」
「別にぃ……ただあのお嬢ちゃんが気に食わなかっただけよぉ」
ロゥリィの遠慮ない発言に伊丹は注意するが本居は事実であるといって制し、周も初めてみるエルフに心が弾んでいた。するとピニャは何やら申し訳なさそうな表情で話し始める。
「………本居陛下」
「なんでしょうか?」
「我が帝国は貴国に対して一方的な侵略を始めてしまい、幾ばくかの損害を与えてしまった………本当に申し訳ありません」
「……………」
「……姫、我々の世界には‘‘国際戦争法’’というのがある」
「国際……戦争法?」
ディレルの聞きなれない単語にピニャは聞き返してしまう。国際戦争法とは戦争状態においてもあらゆる軍事組織が遵守するべき義務を明文化した国際法であり、狭義には交戦法規を指す。
「我々には例え戦争状態に陥ったとしましても降伏者、捕獲者、負傷者、病者、難船者、軍隊の衛生要員、宗教要員、文民、民間防衛団員などの非戦闘員や衛生部隊や病院などの医療関係施設、医療目的の車両及び航空機、歴史的建築物、宗教施設、食料生産設備、堤防のような軍事に関係のない存在や建造物に対しては攻撃を仕掛けてはいけないんですよ」
「つまり……どういうことでしょう?」
「これらを守らなければ正式な国家として認知されず、本来は捕虜としての扱いは行われない。つまり現在捕まっている捕虜も本来はテロリスト………単なる賊徒ということになります」
「賊徒……ですか……」
「こう思われても仕方がありません。貴方達帝国は日本に対して一方的に戦乱を開き、そこで多数の民間人を殺害、軍事目的とは全く違う建造物にも被害を出しています。更には我々以外の国から来た観光客にも被害がありまして、一部では帝国に報復させろと言ってきているのです」
「た……他国の軍勢が……」
「しかも大半がヨーロッパと呼ばれる地域の国でな、武闘派と云われている強豪国を我々も何とか説得しているのだよ」
ピニャは現在の自分達が置かれている状況に暗くなる。日本、アメリカ、台湾が自分達にとって強豪国の更に上にある強豪国であるにも関わらず、更に他国の強豪国も自分達に敵意を向けている。
しかもそんな自分達に何とか味方しようと手を貸してくれている連合特地派遣団。彼等を本気で怒らせることは、こちら側の世界が自分達の世界に押し寄せること。
そんなことになったら帝国は一晩で壊滅することも十分に考えれるのだ。
「しかもそこにいるクレイグ中尉は現に貴方達に奥様を殺害されています。日本国内にも貴方達を敵視している自衛官や市民もいます」
「……………」
「ですが……貴方達の世界と我々の世界では戦いに関する条約が根本的に違いますから、今回に限り正規兵としての扱いをしています。我々としましては賠償保証と再発防止に尽力して戴くことを要求します」
「我々アメリカ政府もだよ。日本に攻撃を仕掛けなければ我々も帝国に武力を行使はしない」
「台湾政府も同義です。しかし譲歩は期待しております」
「……はい。必ず貴国の恩に報いてみせます」
「期待しておりますよ………さて。むさ苦しい政治話はここで終わりにしましょう。今は互いの国や文化を語り合いましょう」
そう言いながらピニャ達は会食を始める。前菜に続いて吸い物、刺身 、焼き物、煮物、酢肴、天麩羅、ご飯・止め椀、水菓子の順で会食を楽しむ。
ピニャは自分達にない食文化に舌鼓をし、特に天麩羅をかなり気に入ったようだった。
2時間の会食を終わらせ、首脳達を見送ると自分達も最後の目的地である箱根へと向かった……………。
箱根に到着した伊丹達一行。そこには既に護衛の部隊が周辺を固めていた。特殊作戦群、海兵隊、パラミリタリーチームによる合同作戦。彼等の与えられた特地からの来賓護衛を遂行する為、正体不明の敵と交戦する。
次回[タスクフォースナイツ]