GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版 作:ウルヴァリン
特地からの来賓を影から護衛する。
それが俺たちの与えられた任務だ。
日本の国会で執り行われた証人喚問において今まで物語の中でしか知らなかったハイエルフや魔法使い、亜神にデュラハンにワーウルフという存在を知って心が弾んだ。
そんな彼女達を護衛する。本当に素晴らしいことだ。箱根にある温泉宿がある山中にて俺たちは銃を片手に活動していた。
「こちらムーンキャスター1-4。タンゴダウン」
<こちらカルデア、了解ムーンキャスター1-4。速やかにポイントC3に移動してください>
「了解したカルデア。ムーンキャスターはポイントC3に移動する」
手にしたサプレッサー付のM4A1を片手に移動を開始するムーンキャスター1-4とはこの俺、スティーブ・アルフレッドに臨時で与えられたコールサインだ。
そして俺がいる部隊は特殊作戦戦闘群という特地に派遣される部隊の1つで通称‘‘タスクフォース サーヴァント’’という合同特殊部隊だ。
今は編成が完了していた特殊作戦群とCIAパラミリタリーチームだけだが向こう側に派遣された後に参加する部隊も続々と到着し、正式に部隊として編成される。
本来は夢の合同特殊部隊になんて参加資格はなかった。
確かに俺は陸軍第75レンジャー連隊所属ではあるけど、銀座で日本にいる父と待ち合わせした際に帝国の侵略に巻き込まれた。
その時に俺はただ逃げるだけでなにも出来なかった。
だから危険を顧みずに民間人を救い出した伊丹2尉とクレイグ中尉には嫉妬もあるけど羨ましかった。
その悔しさをバネにして特地派遣でレンジャーにも1名を参加させるという噂を聞いた俺は必死に訓練に励み、1週間前に推薦を勝ち取ってタスクフォース サーヴァントに参加したって訳だ。
本命の部隊の編成自体はまだ済んでいなかったのでひとまずはCIAのパラミリタリーチームの指揮下に入って動いている。
物音を立てずに予定地点であるポイントC3に到着すると既にパラミリタリーチームが身を潜めていた。
「状況報告」
「4名キル。全てヘッドショット」
「敵の装備はどうだった?」
「装備を分かりにくくさせてました。SCARにAS-Val、KAC-PDW、SD5を使ってましたが死体はロシア人です」
「スペツナズだな……こっちも装備は似たようなもんだったが中身は韓国人だった。別の奴等からも報告があったが倒した奴が中国人のようだ」
「韓国軍と中国軍か………奴等の目的はやはり来賓でしょうか?」
「知らんしどうでもいい。どうせ失敗すんだからな」
CIAパラミリタリーチームのリーダーであるハイデッカーがそういう。
数年前なら中国軍、韓国軍、ロシア軍の特殊部隊は確かに優秀だったが、今では能力が著しく低下している。
それに比べて俺たちは練度も装備の性能も高い。
今回のような非正規の特殊作戦でなら自分達の所属を識別させないことも大事だ。
国が分かるような文字や印を消したり、装備を多国籍にしたりとするだけで全然違う。それを振り切っていっそのこと使い慣れた自国のものを使うというやり方も確かにあるが、今回のようなケースではオススメしない。
そういった部分では評価はできるが練度がやはり低い。
そう考えていると無線が入った。
<カルデアから全サーヴァント。魂喰いの赤魔術師(中国)、白魔術師(ロシア)、黒魔術師(韓国)の目的は聖杯(賓客)の奪取にあり。繰り返す、魔術師達の目的は聖杯の奪取にあり>
「それは分かりきってるんだがな……」
「全くです」
<サーヴァントは魔術師を討伐せよ。繰り返す、全サーヴァントは魂食いの魔術師を殲滅せよ>
「こちら"ムーンキャスター1-6"、了解だマスター。これより1-4と共に魔女狩りを進める」
<アーチャーからカルデア。3名を排除>
<こちらランサー。2名を排除>
<ムーンキャスター1-2から報告。1-3と共に目標排除。次のポイントに向かう>
無線から味方部隊によるタンゴダウン報告。だが来賓を拉致する為だけに3国は異様なまでの数を投入しており、しかもこちらにより仕留められている。
俺たちも待ち構えていると少し離れた場所にいた工作員を発見し、照準を合わせてヘッドショットを決めた。
「「タンゴダウン」」
ハミングして思わず笑みが零れる。そこから拳をぶつけ合い、マガジンを交換。すると再びマスターから通信が入った。
<全隊に通達。直ちに戦闘を停止してすぐ何処かに隠れろ。繰り返す、直ちに戦闘を停止して身を隠せ>
「こちらムーンキャスター1-6。指示の内容が理解できない。詳細を求む」
<宿から来賓が3人飛び出した。既に敵性戦闘員と交戦を開始しており、巻き添えを食らう可能性がある。直ちに戦闘を停止して身を隠せ>
その内容に意味が分からなかったが、暫くしてから立て続けに聞こえてきた悲鳴。方角を確認すると敵の工作員が3人の少女達に蹂躙されている光景が広がっていた。
浴衣を来た黒髪の少女は見るからに重量があるハルバートを駆使して舞うように敵を斬りつけ、銀色の髪をした少女は死神が持つような大鎌で次々と首を刈り取る。
メイド服の少女は両手から合計6本もの刃を出現させ、目にも留まらぬ速さで斬り裂いていった。
普通なら驚愕するような光景だが、なんだか俺は逆に興奮してきた。
「ありゃあ………ロゥリィ・マーキュリーにルフス・エム・ヴォーディッシュにミオ・ルカ・ヴォートスだ……」
「すっげぇ…………本物のヴァルキリーだ」
「もっと見ていたいがさっさと隠れるぞ坊主。このままじゃ本当に巻き添えを食らいかねん」
「了解」
確かにこのまま見ていたいが3人の殺気が凄まじく、本当に遭遇したらこっちまで巻き添えを食らいそうな勢いだった。
俺らはすぐに身に付けているフィールドバックから歩兵携行用の簡易偽装ネットを取り出して急いで被るとその場に伏せた。
それから暫くして戦闘はして終了したが旅館周辺は地獄絵図に包まれ、俺の視線の先には全身に返り血を浴び、余韻に浸っているヴァルキリー達が月明かりに照らされて不気味ながらも神秘的な雰囲気を醸し出していた。
彼女達が移動したのを見計らい、部隊は残敵を掃討する為に移動する……………。
戦闘が行なわれる少し前、男子部屋で寛いでいたエース達。そこに酒に酔った女性達により拉致される。その夜中に目を覚ましたミオと話をするが………。
次回[エースとミオ]
スティーブ・アルフレッドを提供して頂いた元SEALs隊員様、ありがとうございます。