GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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44:伊丹とロゥリィ

栗林によるアッパーを受けて気を失ってから暫く、痛む顎を摩りながら目を開けると見慣れぬ和式の天井。こんな夜中に目を醒ますことなんて滅多になどないんだが、妙な形で目を覚ましちまった。

 

というか、最近では何かと変に一撃を受けて気を失うことが多くなったから身体が慣れてしまったのかもしれない。身体を起こそうとするが何かが乗っかっていて思うように動けなかった。

 

 

 

「すぅ……すぅ……」

 

 

 

左側を見ると寝息を立てながらぐっすり眠っているレレイだった。落ち着いて周りを見渡すと栗林や姫様達も布団で気持ち良さそうに眠っているが、周囲には空になった缶や酒瓶が散乱していて気絶した後も宴会が続いていたことになる。

 

 

 

「あらぁ?起きたのかしらぁ?」

 

 

 

声がしたので窓際に視線を移すと、月明かりに照らされ、ウィスキーを片手に1人飲んでいたロゥリィの姿があった。

その神秘的な姿に俺は思わず見惚れてしまい、彼女の手招きに誘導されるがまま反対側の椅子に腰掛けた。

 

 

 

「1人で飲んでたのか?」

 

「だって眠れないんだものぉ。それにこのスコッチってキツいお酒だけど私は好きよぉ」

 

 

 

そういいながらロゥリィは俺にスコッチウィスキーが入ったグラスを手渡し、気付け程度として俺も飲むことにした。

確かグレーンウィスキーという銘柄はサイレントスピリッツ‘‘沈黙の酒’’って云われていて風味に乏しく没個性的で、それを単体で飲むには不向きだった筈だ。

 

エースもウィスキーを始めウォッカ、ジン、ビタース、ブランデー、ラム、リキュールなどのアルコール度数が高い酒を好んで飲む強烈なまでの酒豪だからある程度は知っている。

 

喉が焼けるような感覚に襲われながらも俺はスコッチを一口飲んだ。

 

 

 

「そういえばエースとミオの姿が見えないんだけど……」

 

「ミオならエースを連れて夜風に当たりにいったわぁ。今頃は介護してる筈よ」

 

「はははっ………ミオに首締めを食らってたからな…首を痛めてなきゃいいけど……しっかし惜しいな」

 

「なにがぁ?」

 

「亜神ってのは肉体年齢が固定されてんだろ?ロゥリィの20代を拝めないなんてな」

 

「あら?肉体を捨てて神になったら姿なんて思い通りなのよ?それより輝司ぃ……」

 

「なんだ?」

 

「お酒で紛らわせてはいるけど、離れた場所で誰かが戦ってるでしょぉ?おかげで身体が疼いちゃってるのに、なにもできないなんて蛇の嬲り殺しよぉ」

 

 

 

その言葉に俺は失笑しながら冷や汗をかいた。彼女のストレス発散方法ってのはイタリカでのリアル無双。敵を躊躇なくあの世に送り届けることでようやく疼きが無くなるって話だ。

 

 

 

「おかげで全然眠れないのよぉ。私に戦わせるか輝司がなんとかしてよぉ」

 

「な………なにを?」

 

「言わなきゃ分からない?例えば………あのてれびってゆーのでやってたのとかぁ?」

 

「って⁉︎見たのかよ⁉︎」

 

「そんなことはどうだっていいわぁ」

 

 

 

俺がロゥリィの言葉に戸惑っているといきなりロゥリィは俺に身体を密着させ、甘い言葉で話しかけてきた。

 

 

 

「こ……この国には児童福祉法ってのがあってだな……」

 

「あら………わたしがこどもぉ?」

 

「見た目は子供だろ⁉︎」

 

「ほんとうに……こどもかなぁ?」

 

 

 

そういいながらロゥリィは更に俺と身体を密着させていき、顔のすぐ側に自身の顔を近づける。

 

確かに見た目は子供だが彼女は961歳のれっきとした大人だ。

 

しかも人生経験は900年分もあるので経験値は比べ物にならないし、彼女も十分に魅力的だし性格的にも好みの類に入る。

 

そして身体が勝手に彼女を求めようとした矢先、いきなり彼女は壁に立て掛けてあったハルバートを手にし、窓を開けると外に飛び出していった。

 

あまりにもいきなりなことだったので考えが追いつかないでいたが、少ししてから同じようにルフスもデスサイズを手にしてロゥリィの後を追うように外へ飛び出した。

 

 

 

「………なんだ?」

 

「みんな起きろ‼︎」

 

 

 

彼女達が飛び出していく入れ違いで襖を勢いよく開けてエースがトランクを手に戻ってきた。その声に全員が目を覚まし、一斉にエースを見る。

 

 

 

「ど…どうしたんだ?」

 

「ちょっと中尉……夜中なんですから静かに……」

 

「なにを寝ぼけている‼︎敵襲だ‼︎」

 

「ちょ……敵襲だって⁉︎」

 

「俺は彼女達の後を追う‼︎中に銃があるから好きなものを使え‼︎」

 

 

 

そういうとエースはトランクを開ける。その中には厳重に固定された複数の拳銃や短機関銃があり、エースはその中からサプレッサーが取り付けられたM3グリースガンを取り出して外に駆け出した。

 

 

「みんな‼︎危ないからその場に伏せてるんだ‼︎富田‼︎栗林‼︎」

 

「「はい‼︎」」

 

「要人警護を最優先‼︎敵が来たら躊躇せず撃て‼︎」

 

「「了解‼︎」」

 

「谷も彼女達についてやってくれ‼︎」

 

「わかった‼︎」

 

 

そういいながら俺たちはガンスミスであるエースが調整したSIG SAUER P365を手に取って、俺も初弾を装填すると迎撃態勢を整えた……………。




タスクフォースに合流するエース。ハイデッガーと共に3人の戦乙女達の戦いに見惚れるも突撃を仕掛けてきた工作員部隊と戦闘を繰り広げる。
だがエースにとって次の試練が待ち構えていた。

次回[月の魔術師]
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