GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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04:復讐の鬼

あの忌々しい銀座事件……エミリアが殺されて2ヶ月が経過した。

 

銀座から日本を侵略しようとした武装勢力が異世界の帝国軍というテロリスト共であるということが分かり、そいつらの目的は新たな領土獲得と日本を植民地化することだったことが日本政府により公表された。

 

そんなくだらない理由で妻と無関係な人達は殺害されたのか……。

 

目の前に奴らがいたら問答無用で皆殺しにしてやりたい気分だが俺は誇りある海兵隊員だ。

 

だから私情を持ち込んだ殺害なんて御法度である。

 

だが俺の身体の中で怒りと憎悪が心体を循環しており、そのはけ口がないから溜まる一方だ。

 

事件後にアメリカに帰国した俺は心理カウンセラーによるカウンセリングを受け、PTSDと診断され入院の必要ありとされたが結局入院はしなかった。

 

日本政府がゲートの向こう側に広がる異世界に自衛隊を派遣し、アメリカ政府も自衛隊の支援で陸軍と海兵隊から派遣される特別任務群と台湾陸軍異世界特別任務隊が派遣されるっていうことを聞いたからだ。

 

俺はすぐに上官と医師に転属する旨を伝えたが急すぎるということで最初は断られたが、何とか‘‘必死に説得’’して許可書を受領。

すぐに横須賀に到着して第31海兵遠征隊に配属となった。

 

ダラス国際空港から部隊編成地である沖縄へ飛び、キャンプシュワブに到着した俺は異世界にて独立して動くことが出来る独立偵察チーム‘‘リーパー’’の隊長に着任し、今は射撃場で新型ライフルの転換訓練をしていた。

 

 

 

「……………………」

 

「おい……あの中尉が……」

 

「あぁ、いま噂の‘‘復讐の鬼’’だ」

 

「なんでも奥さんを殺されて、異世界の帝国を凄まじく憎んでるって話しだ」

 

「近付くだけで殺気が伝わってくるぜ……」

 

 

 

後ろから同じ演習に参加してきた下士官達の話に耳を傾けつつも新型海兵隊主力ライフルであるM27 ICCで300m離れた場所に5.56mm弾を撃ち込んでいった。

 

今回の特別地域派遣に伴って参加国軍上層部の合同会議で使用弾薬は5.56㎜弾より7.62㎜弾の方が優れているという結論が出ている。

だから自衛隊は64式小銃やその改良版、派遣される台湾軍はM14を引き続き使用するから問題はないが、わが軍はすでに保管庫に管理されていたM14は海外に外貨として払われている。

 

だが5.56mm弾も全く使えない訳ではない。

 

むしろ弾数なら5.56mm弾の方が上回るのでアメリカ軍では5.56mm弾を主軸として派遣される陸軍はM4A1、海兵隊でも防御主体の部隊や後方部隊ではM4A1やM16A4が使われる。

 

だが俺たち実戦部隊ではM27 IARをメインに本来の採用目的であったLMGに戻しつつ若干の設計変更をしたM27 IAW(Infantry Automatic Weapon)、俺が使っているHK416A2を指揮官向けに無改造のまま緊急採用したM27 ICC(Infantry Command Carbine)として使われることになる。

 

賛否両論あったようだが向こう側でM249やM240は大きさ的に目立つことが懸念され、ならば形そのものは一緒にしてしまった方がいいというのが上層部の判断だ。

しかし共通性を持たせたいということで実際の運用は現場指揮官に一任するともある。

 

因みにM27 IAWは個人的にはあまり意味が無いように思えるがそこは黙っておく。

 

 

 

「失礼します。クレイグ中尉でありますか?」

 

「そうだが……お前は?」

 

「ビリー・コーエンス最上級曹長であります。シュガート大佐よりリーパー隊の副官に任命されました」

 

 

 

敬礼しながらそういう男は自分をビリー・コーエンスと名乗る。

 

明らかに俺より年上であり、叩き上げの軍人という印象が強い白髪が混じった男だ。

俺も敬礼で返すとビリーの持つショットガンに目をやった。

 

 

「M870か………曹長。射撃の実力は?」

 

「選抜射撃評議会で首位を頂きました。なんでしたら撃ってみせますか?」

 

「構わん。だがなぜショットガンを?」

 

「自分は元々はポイントマンだったからです。しかしいま噂の‘‘ラスト サムライ’’の部隊の副官を命じられるとは……」

 

「ラスト サムライ?………なんだそれは?」

 

「巷に広がっている市民達から広がった中尉の異名です。銀座事件にて敵兵6名を瞬く間に制圧した姿が監視カメラに記録されていまして、それがテレビ公開されて本国では人気を博しています」

 

「……なんてくだらない」

 

「そう仰らず………いつの時代でもヒーローという存在は必要なのですから……」

 

「曹長……俺が周りからなんて言われているか知ってるか?」

 

「話だけでしたら………」

 

 

曹長に俺がなんて言われているか問うと、俺は再び手にしたM27 ICCを持って出口に歩き出した。

 

 

「曹長……俺は鬼だ。ヒーローなんかじゃない。それだけは覚えておけ」

 

 

振り返らず言い放つと俺は射撃場を後にした。

 

特地派遣まで1ヶ月、奴等に復讐する日は近付いていた……………。

 




遂にやってきた特地派遣の日。出陣式には自衛隊、アメリカ海兵隊、台湾陸軍が集まり、出陣の意思を固める。その中には伊丹、エース、谷の姿もあった。


次回[異世界へ]
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