GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版 作:ウルヴァリン
帝都を突如として襲った大地震。
活火山が存在する地域を除き、地盤が極めて安定している特地の住民達にとって恐怖に駆られるに十分な状況だった。
逃げ惑い、冥府の神であるハーディに怒りを鎮めるよう祈ったり、震えて動けなくなった者が至る所に存在していた。
「きゃあぁあああっ⁉︎」
「落ち着いて‼︎」
「こ……この世の終わりよ⁉︎もうおしまいよ⁉︎」
「落下物に注意してください‼︎身を屈めて頭を守ってください‼」
「黒川ぁあああ‼︎⁉︎⁇」
「大丈夫よ。すぐに収まるわ」
「にゃあぁあああ⁉︎」
「お……俺にはペルシアさんが……けど今だけは……」
「きゃあぁあああっ⁉」
「テュワルさんには是非とも気象庁で勤務して貰いたいな………」
「きゃあぁあああっ⁉︎きゃあぁあああ⁉︎」
「ちょっ⁉︎ギブ⁉︎ギブ⁉︎し……締まってるから⁉︎」
地震発生を確信させて避難誘導していた娼婦達もいきなりの地震に混乱していた。あまりの怖さに抱き合ったり、近くの隊員に抱きついたりしているが、それでも混乱はやまない。そんな中でミーアは身を屈め、4本の腕で頭を抱えながら地震に身を震わせていた。
彼女が悪所にて娼婦をしているのには理由があった。
幼い頃はアスラ族の集落にて貧しいながらも平和に暮らし、誰もが一目で分かるくらいの幸せな家族だった。
だが彼女が12歳の頃に帝国による亜人狩りで捕まり、家族も殺害されて彼女自身も陵辱された後に奴隷として連行。逃げ出したのはいいが亜人受け入れに積極的なイタリカに向かう道中で別の奴隷商に捕まってしまう。
今度は奴隷になるまいと抵抗して連れて行かれる道中で商人を絞め殺し、悪所に逃げ込んで生計を立てる為に娼婦を仕方なくしている。
そんな不幸続きの彼女に同じ娼婦達は友人として接し、互いに生き抜くよう励ましあったりしたが、彼女には家族という存在が欲しかった。
自身の支えになる存在が欲しい。
娼婦にとって夢物語であるが、彼女にとって叶えたい願望だった。
「助けて……父ちゃん……母ちゃん……誰か………誰か……助けて……」
この世の終わりだと錯覚し、今は亡き両親に思わず助けを求めるミーア。身体を恐怖で震わせ、涙を流す彼女に誰かが歩み寄ってきた。恐怖を和らげようとして抱き付こうとした矢先にその歩み寄って来た人物が優しく包み込んで来た。
「大丈夫だ……すぐ収まる………大丈夫」
そこにいたのはスティーブだった。
彼は地震により怖がっているミーアをみかねて優しく包み込み、落ち着かせようと頭を撫でながら落ち着かせようとしていた。
そんな彼に対して暫く唖然としていたミーアだが、近くに木材が落下してくると彼にしがみ付き、怖いのを紛らわせようとする。
そんな彼女にスティーブは頭を撫で続けてすぐに収まると言い聞かせる。
「大丈夫だ。ただの地震だから怖くはない」
「ス……スティーブ………」
「大丈夫だから……大丈夫………」
ミーアが見上げるとスティーブは屈託のない笑顔をして頭を撫で続ける。やがてミーアの先ほどまでの恐怖は徐々に和らいでいくのを感じ、落ち着きが取り戻しつつあることを感じた。
そして暫くしてからスティーブの言った通り地震が徐々に小さくなっていき、やがては揺れなくなった。
「………終わった……」
「ほらな?」
「こ……怖かった………」
「もう大丈夫だろう。だから……その………」
「な……なんだよ?」
「そ……そろそろ………身だしなみを直して貰いたいんだが……」
そういうとミーアは自身の服を確認。するとしがみ付いた際に娼婦の服がスティーブの装具に引っかかったようであり、その際に結び目が解けて彼女の身体が露出していた。
それを確認したミーアは徐々に顔を真っ赤にさせていき、やがて震わせていく。
「な……こ………」
「こ?」
「この……エ…エロエロ魔神‼︎⁉︎⁇」
「あぶっ⁉︎な……なぜ………」
羞恥心が極限に達したのか、ミーアは身体を隠しながらスティーブに平手打ちをかましてしまう。それをまともに食らってしまったスティーブは軽く吹き飛ばされてしまい、頬にくっきりと手形を残しながら若干理不尽に思いながらも意識を手放した。
少ししてからスティーブの意識は回復したものの、仕事以外で裸体を見られたミーアの機嫌は直らない。そんな気が締まらない話から次の日の深夜に伊丹達からのある無線で特殊部隊員としての表情に変貌させていった……………。
ようやく収まった地震。だが揺り戻しがあると聞かされたピニャは皇帝の下に向かうため、エース達に同行を依頼する。
初めて皇帝の謁見が叶った中、ゾルザルが現れて信じられない光景を目撃する。
次回[衝撃の真実]