GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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57:衝撃の真実

帝都をいきなり襲った地震。

 

強さは伊丹達によると震度3か4らしく、その位なら地震大国とされている日本では結構な回数が発生している。

だが帝国側にとっては未曾有の出来事らしく、ピニャを含めて恐怖を感じているようだった。

地震自体は30秒ほどで収まり、見る限りではピニャの屋敷には石像が倒れた程度しか被害がなく、恐らく酷い状況になっているのは悪所が中心となるだろう。

 

因みに地震には正直言って不慣れな俺も内心でビビってたことは絶対に秘密にしておく。

 

地震が収まって安心したピニャに俺たちと菅原、ノイマン、孔は彼女にまだ早いと説明を始める。

 

 

 

「また揺れるだと⁉︎」

 

「えぇ。大きな地震の後には大抵揺り戻しってのがあるんですよ」

 

「この世界じゃどうか分からないが、俺たちの世界では地面の地下深くにプレートってのがあってな、地殻変動で伸縮や上下に動いたりするんだ」

 

「そのプレートが元に戻ろうとする力が揺れになって地上に伝わるって訳です」

 

「急いで父上に知らせねば………着替えをもて‼︎皇宮に参るぞ‼︎」

 

「分かった。俺らは屋敷で待っているから、終わったら知らせてくれ」

 

「えっ?」

「「「えっ?」」」

 

「えっ…ではない⁉︎一緒に来てはくれぬのか⁉︎」

 

「一緒にって言っても……なぁ?」

 

「あぁ、ピニャの父上っとなったら皇帝だ。緊急時とはいえ、交戦中の敵兵を招くっていうのは聞いたことがないぞ」

 

 

 

正論を俺は口にした。交渉の段階に入りそうとはいえ、一応は表向きでは連合と帝国は敵対関係にあり、そんな状態で皇帝との謁見など闇討ちしてくれと言っているようなものだ。

 

するとピニャは伊丹の迷彩服の裾をつまみ、俯いたまま口にする。

 

 

 

「お……お願いだ伊丹殿……エース……谷………妾と来てたもれ……」

 

「うん………うん………」

 

「あ……あの………わ…我等からもお願いします」

 

 

 

ピニャを始め、同じく寝間着姿のハミルトンや近衛兵までもが俺らに同行を申し出て来た。よく見ると全員が初めての地震が怖かったようであり、若干だがまだ震えていた。

 

それを見た俺たちは失笑してしまった。

 

 

「え……えっと………どうする?」

 

「俺にふるな………だが幾ら何でもこのまま放っておくってのはさすがに酷なんじゃないか?」

 

「ま……まぁ………皇帝を見れる絶好の機会なんだし…………なぁ?」

 

「そうですね………分かりました殿下、同行しましょう」

 

「コーエンス、すまないが残って指揮を頼む」

 

「了解です中尉」

 

「菅原さん……ここには古田を残します」

 

「はぁ……分かりました」

 

 

 

同行してくれると聞いて徐々に明るくなるピニャは、それから暫くして騎士団の服装に着替えると皇宮へと俺たちと共に向かう。

 

道中には近衛兵が確認されたが地震で完全に震えてしまっており、誰何の1つも無かった。

ピニャは小声で近衛兵の質の低下を嘆いていたが聞かなかった事にし、初めて訪れた皇宮にファンタジー小説に出てきそうな魔王の城を彷彿させる薄気味悪さに圧巻となっていた。

 

それから暫くして玉座の間に案内され、俺は玉座に座る1人の男を見据えていた。オールバックに髭を生やした帝国の皇帝でピニャの父親であるモルト・ソル・アウグスタスだ。

 

 

 

「良いか⁉︎まずは大臣や軍営達を招集して参集を命じるのだ‼︎武官は近衛兵を掌握し急ぎ皇宮の守りを固めよ‼︎」

 

『はっ‼︎』

 

「そなた達メイドは広場の片付けだ‼︎」

 

『はい‼︎』

 

「ふふっ………一皮剥けたようだなピニャよ……」

 

「はい?………か…皮が剥けるような怪我はしておりませぬが?」

 

 

 

先ほどまで的確な指揮をしていたピニャに対して褒めた皇帝に怪我のことだと勘違いしたピニャに思わず笑いかけた。

 

そんな真面目な返答が返ってくるとは思わなかった皇帝は少し呆れながらも話を続けた。

 

 

 

「ま……まぁそうであるな。怪我が無くて何よりだ……ところで、先ほどからそちらに控えているのは何者か?」

 

「は……はい‼︎陛下、紹介致します。日本国、アメリカ合衆国、台湾国の使節であられる菅原殿、ノイマン殿、孔殿です」

 

 

 

ピニャが皇帝に俺たちを紹介すると菅原達は会釈、俺たちは敬礼で挨拶する。

 

 

 

「そなたらが門の向こう側から来た使節か………そういえばピニャが仲介役をしておったな?何故ゆえこのような時にお連れした?」

 

「はい、申し訳ありませぬ父上。この者達は地揺れに精通しているそうで、これより揺り戻しがあると……」

 

「なんと⁉︎また大地が揺れるのか⁉」

 

「助言を求めようと同行して頂きました」

 

「そうであるか………使節殿方、歓迎申し上げる」

 

「はい、陛下におかれましてもご機嫌麗しく」

 

「いや、恥ずかしいが天変地異の直後に麗しい筈もない。だが娘の成長した姿を見ることが出来た。嬉しいことだ。寧ろ感謝しておるぞ。いつまで経っても戦ごっこをしておるじゃじゃ馬娘であると心配しておったからな」

 

「ごっこはとっくに卒業しました‼︎」

 

 

 

なんというか、皇帝といっても実の娘には何処か甘い箇所が見受けられる。皇帝も人だというのが印象だ。

 

 

 

「はははっ……本来ならば盛大な宴で歓迎したかったのだが、今宵は勘弁して貰いたい」

 

「心得ております」

 

「我がアメリカ政府も交渉の場を頂ければ十分でございます」

 

「台湾政府もまた然り………このようにお会いして頂けただけでも陛下には大変感謝致しております」

 

「父上‼︎」

 

 

 

皇帝と話を進めていると扉が乱暴に開け放たれ、そこからピニャの兄であるゾルザル・エル・カエサルが武装した私兵達を引き連れて入ってきた。

息子であり、臣下でもある奴だけなら何の疑問もなかったが、一番衝撃的だったのが奴の左手の輪っかにつけられている鎖に繋がれ、引きずられた全裸の女性達だった。

身体中傷だらけで意識が酸欠により朦朧としている女性も存在し、伊丹達は目を開かせ、俺は静かにゾルザルに対して怒りを抱き始める。

 

 

 

「ご無事でしたか父上⁉︎早く安全な場所に参りましょうぞ‼︎」

 

「お待ちください兄上⁉︎いま主だった臣下に招集を……」

 

「そんな悠長なことを言っている場合ではない‼︎すぐにでもまた地揺れが起こるとノリコとマミーナが言っておるのだ‼︎」

 

「ノリコ……マミーナ?」

 

 

 

ゾルザルが口にしたノリコとマミーナという名前に疑問を感じたがピニャは間髪入れずにその2名が誰なのか尋ねる。そしてゾルザルは2本の鎖を引っ張り、俺はその2名を見て言葉を失った。

 

どう見ても日本人とウクライナ人だったからだ。

 

だが間違いであるという可能性もあったので様子を伺っていたが、それを奴自身が露見させた。

 

 

 

「こいつらだ。これがノリコとマミーナだ。門の向こうから攫って来た黒髪と白肌の生き残りよ」

 

 

 

そういいながらゾルザルは黒髪の女性を踏みつけた。間違いなく2名は俺たちの世界から拉致してきた人間であり、同時に我慢の限界に達したのがよくわかった。伊丹も同じ状態のようですごい剣幕で殴りかかるが、タッチの差で先に………。

 

 

 

「この‼︎」

 

「クソ野郎が‼︎」

 

「ぶっ殺す‼︎」

 

 

 

意外にも普段は冷静である谷がゾルザルの右頬に殴り掛かった。それに続いて俺が反対側に殴りかかり、最後に伊丹が真正面から殴り飛ばした。

あまりのいきなりの行動だったのか、周りの人間は唖然としてしまうも、目の前にいるクソ野郎は顔を摩りながら俺たちを睨みつける。

 

 

 

「き……貴様等⁉︎皇子たる俺を殴ったな⁉︎」

 

「無礼者共‼︎皇子殿下に手をあげるとは‼︎」

 

「一族郎党皆殺しの大罪だ‼︎生きて帰れると思うな‼︎」

 

「「「黙ってろクソ野郎共が‼︎‼︎」」」

 

 

 

三下連中が騒ぎ出したのを怒声で黙らせると栗林がノリコとマミーナという女性の首輪をCQCナイフで切り取り、彼女達に話しかけた。

 

 

 

「大丈夫?私達は陸上自衛隊よ。あなた達日本人とウクライナ人よね?」

 

「た……助けに……きてくれたの?」

 

「ええ、絶対に連れ帰ってあげるか、安心して」

 

「まさかこんな所に日本人とウクライナ人がいるとは………どういうことでしょうか⁉︎陛下‼︎」

 

「ま……待ってくれ菅原殿⁉︎こ…これは何かの手違いだ⁉︎ここは妾に免じて………」

 

「知らないでは済まされないんだよ‼︎」

 

 

 

何とか場を鎮めようとするピニャに俺は思わず彼女に怒鳴りつけてしまう。

 

 

 

「ピニャよ、もう遅い。こやつ等の国の命運は決した。貴様等が何処かの蛮国かは知らぬが、今更慈悲を乞うても聞かぬ‼︎全て貴様等のせいだ‼︎我が身の罪深さを呪って死ぬがよいわ‼︎」

 

「………その言葉………そっくりそのまま返してやるよ。ゴミが……」

 

「富田、栗林。彼女達の脱出を優先させる。各自の判断で手下等を射殺しろ」

 

「こいつ等に一切の情けは無用だ。人の皮をかぶった獣だと思え」

 

 

 

そういいながら俺は背中からシュベーレマチェットを取り出し、伊丹は20式拳銃、谷はM1911A1のスライドを動かして初弾を装填し、栗林は64式小銃、富田は64式小銃改2型に銃剣を着剣してから初弾を装填。

 

 

 

「伊丹、今回は止めるなよ?」

 

「分かってる。こいつ等に情けはいらない」

 

「俺は外交官達を死守する。思いっきり暴れてこい」

 

「分かった…………覚悟はいいな貴様等‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

そういうと俺と栗林がゾルザルの飼い犬共に突撃を敢行。

 

害虫駆除の開始だ……………。

 

 




玉座にて明らかになったゾルザルによる拉致被害者の奴隷化。怒りが頂点に達したエースはゾルザルの手下に無慈悲な死を与える。
そして見守っていたピニャもエース達の顔に泥を塗ったゾルザルに怒りを見せ、鎮圧後にモルトも国の在り方を彼らに問いかけた。


次回[玉座での戦い]
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