GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版 作:ウルヴァリン
ゾルザルによる拉致被害者の奴隷化問題。
今まで復讐の相手は帝国そのものだと考えていたが、本当に復讐を果たす相手は帝国に戦いを強いる主戦派であり、その中心である目の前のクソ以下のゾルザルだ。奴は俺たちが勝てないと思い込んでいるようで、数人の手下をけしかけてきた。
「栗林‼︎右側はやる‼︎左側を任せた‼︎」
「了解‼︎」
「また廃棄にするなよ‼︎」
「向こうの出方によるわ富ちゃん‼︎」
軽口を叩き、同じように向かって来るバカに斬り込む。片手剣を振りかざした男の攻撃を屈んで回避し、そのままこいつの右腕を切断。立て続けに腹部に刃が貫通するほどの力で突き刺し、引き抜くと刺突を仕掛けて来た敵兵の右腕を叩き折り、そのまま首を刎ね飛ばした。
するとショートスピアーを持った敵がリーチの長さを利用して仕留めようとするが突き出した瞬間に懐に飛び込んで左手で裏拳を食らわして怯ませ、そのまま声帯を切断してやった。
辺りに飛び散る返り血。
そのまま盾を構えた敵に蹴りを浴びせて盾自体に痺れるような振動を与えて油断させ、素早くしゃがむと太腿を切って膝を付かせて口にマチェットを突き刺してなぎ払ってやった。
「う…迂闊に近づくな⁉︎返り討ちに遭うぞ‼︎」
「隊伍を組んでまわり込め‼︎串刺しにしてやるぞ‼︎」
右手に槍、左手に盾を構えた敵が隊列を組んで突撃しようとしてきた。
そのまま少し離れた敵にマチェットを投げ、額に命中させたら背中に預けていたM27 ICCを取り出してチャージングハンドルを引いて構える。
栗林も同じように64式小銃を構え、向かって来る敵兵にほぼ同時にトリガーを弾いた。撃ち出される5.56mm弾と7.62mm弾は難なく盾や胸甲、兜を貫通していき、周囲からは阿鼻叫喚の悲鳴が鳴り響いた。
「ま……まさかこいつら………緑の人⁉︎」
「や……やめてくれ⁉︎降参す…」
撃ち尽くしたマガジンを交換すると近くでもがいていた敵兵2名が降伏するも、俺はホルスターからM17A1を抜き取って額に銃口を突き付けてから射殺。すぐさまにもう1人に銃口を向けると左目に9mm弾を撃ち込んだ。
普通なら処刑となるので大問題となる行為だがどうだっていいし、何よりも民間人を攫っただけではなく奴隷としていた時点でこいつらは単なる犯罪者。しかも武装して仕掛けて来たからテロリストの条件が揃い、ジュネーブ協定には適応されなくなった。
目の前で処刑された仲間を見て敵は青い顔をしながら後ずさりを始めるも容赦なんかしない。
栗林に退がるよう伝えるとM17A1のマガジンを交換して左ホルスターからKel-Tec P11を抜き取って2丁撃ちにて残った10人程の敵全てに9mm弾をプレゼントしてやった。
玉座には死体の山が築かれ、辺りには生々しい血の匂いが充満し始める。
「ぐぐぐっ………」
「さて皇子……あなたは先ほどこちらの2名を生き残りだと仰った。それはつまり、他にも攫って来た者達がいるということですね?」
「ふ……ふん‼︎無礼な蛮族に答える義務などないわ‼︎」
「兄上‼︎ここはお引きになって下さい⁉︎」
「黙れ‼︎お前が此奴等を連れて来たのが原因だろう⁉︎汚らわしい妾の娘がいらぬことをしおって………恥さらしが‼︎」
「な……恥さらしはゾルザル兄の方です‼︎この際ですから言わせて頂きますが、我が友であるエース達の顔に泥を塗っただけではなく奴隷を禁止している異界の住民を奴隷化するなどと‼︎幾多もの無礼を働いたにも関わらず罵声を浴びせるなど次期皇帝たる者のすることではありませぬ‼︎」
「………ゾルザル。娘は帝国のことを想って連れて来たのだ。些か軽率過ぎるぞ」
「皇子……困るんだよ………質問に答えて貰わないとこっちもあんたに付き合っている程暇じゃないんだ」
ピニャと皇帝に咎められてもなお口を割らないゾルザルに敬語じゃなくなった伊丹は俺を手招きで呼び、俺もホルスターにハンドガンを戻して歩み寄った。
「エース」
「分かってる」
「殺しちゃダメだからな?」
「分かっている。こんな殺す価値もない奴なんざ半殺し程度に納めてやる。それに新しいサンドバッグが欲しかったところだからな」
「き……貴様⁉︎何をする気だ⁉︎」
「新しいサンドバッグが目の前にあるから試しに使ってみようかと思っただけだ」
「ま……まさか皇子たるを俺に再び手を上げようなどと⁉︎」
「心配するな………骨の何本かを折られて貰う程度にしてやる。かなり慈悲深いだろ?」
「それの何処が慈悲深い……ぶぼっ⁉︎」
それだけいうと腰を抜かしたままのゾルザルの顔に回し蹴りを見舞って吹き飛ばし、素早く襟元を掴んで裏拳、立て続けに鉄槌打ち。そのまま正面から拳を数発ぶつけてから柱に奴を叩きつける。
「どうだ?貴様が彼女達に与えた苦痛に比べたら随分と優しいだ……ろ‼︎」
「や……やめ………話せば……」
「サンドバッグが喋るんじゃあ……ねぇ‼︎」
「ぐはっ⁉︎や……やめてぇ………ぶぼっ⁉︎ぐがっ⁉︎」
慈悲を乞うも一切聞き入れず、吊るし上げると腹に膝蹴りを何度も食らわしてから只管にゾルザルの顔を殴り続ける。
奴の顔は鼻が折れて歯も砕かれ、内出血を起こして腫れ上がって血塗れだ。
それから再び同じ場所に蹴り飛ばし、必死に逃げようとする奴の左肩を踏みつけて、左腕を掴んだ。
「あっ……う…腕はやめ………」
「しらねぇな……ふん‼︎」
「ぎゃあぁあああああああっ⁉︎」
掴んだ腕を俺は鉄槌打ちで関節を逆に曲げてやった。玉座に枝が折れるような音が響き、ゾルザルの悲鳴にピニャは青ざめ、皇帝は目を見開かせ、ハミルトンと侍女達はあまりの悍ましさに抱き合いながら震えていた。
「陛下⁉︎………うっ⁉︎」
奴の腕をへし折った直後に扉から他の家臣達が到着したようだが、目の前の惨状に言葉を失った。俺は再びM17A1を抜き取って奴の前にしゃがんだ。
「さて……喋りたくなっただろ?」
「……………」
「………いい加減に答えろよ……それとも脳を辺りに撒き散らしたいってか?」
喋らないゾルザルに向けたM17A1のトリガーに指を掛けた直後、誰かが間に割って来た。
身体中傷だらけだが白い肌に白い毛並み、血のように赤い瞳をしたヴォーリアバニーだ。あまりにもいきなりな事だったがそれ以上に彼女の妙な気配に俺は銃口をゾルザルから彼女に思わず向けていた。
「て……テューレ………」
「………殿下を殺さないで」
「…………最後の警告だからしっかり答えろ。他にも攫ったんだろ?」
「裕喜は⁉︎裕喜はどうなったの⁉︎一緒に銀座を歩いていたの⁉︎」
「弟もなの‼︎わたし……インターナショナルスクールの生徒で日本に遊びに来てた弟と一緒に捕まって……」
「………おい?」
「お………男は……奴隷市場に流した…………後は……知ら……」
それだけいうとゾルザルは意識を失い、テューレという女性は奴の容体を確認する。辺りを制圧したら菅原達が少し怒気を込めながら皇帝を見る。
「陛下、宴は拉致被害者が無事に帰還してからに致しましょう。そしてピニャ殿下、改めて彼等の返還についてお聞かせ頂けるものと期待しております」
「………約束させて頂く」
「栗林、先導しろ。富田は後ろを警戒」
「なっ⁉︎待て貴様ら⁉︎衛兵‼︎奴等を逃す「待て‼︎」⁉︎」
「いい加減にせぬか……これ以上この場で騒ぎを大きくするでない。控えておれ」
騒ぎを大きくしたくない皇帝は捕らえようと立ち塞がる衛兵を待機させる。
「確かに貴国達連合は恐ろしく強い。我が兵が子供に思える程にな………だが貴国達には大いなる弱点がある」
「弱点?」
俺たちを見据え、強力だが弱点があると口にする皇帝。それを静かに耳にすると少ししてからその弱点を皇帝は口にした。
「………民を愛し過ぎることよ………」
玉座を制圧したエース達。皇帝に弱点は民を愛し過ぎることだと言われ、外交官達は奴隷や国としての在り方を口にした。
次回[国の在り方]