GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版 作:ウルヴァリン
あの事件から3ヶ月が経過した。
俺たち自衛隊はかねてより準備していた異世界派遣を開始させる準備が整い、晴れ渡る雲ひとつ無い晴天の下、シェルターで厳重に封鎖されている門の前にいた。
「自衛隊の皆さん。そしてアメリカ軍、台湾軍の皆様。遂にこの時がやって来ました」
演説台では今の首相をしている本居首相が演説をしていた。その左右にはアメリカのディレイ大統領と台湾の周大統領の姿もあった。俺も64式小銃改2型を立て筒にしながら直立不動で耳にしている。
「これから皆様が向かわれるのは、我々の世界の人間が一度も踏み込んだことのない異世界の地。そこに待ち構える存在がどういうものか、どういう危険があるのか分かっていません。
恐らくは様々な危険が皆様を襲うでしょう。しかし私は日本国首相として、また1人の日本国民として強く確信しております。
皆様が与えられた責務を全うし、必ずこの世界に帰ってくることを………私は強く確信しております。そしてそれは私の隣におられるディレル大統領閣下と周大統領閣下も同じであります」
そういうと今度は左右のお二方が演説を始める。
「私はアメリカ大統領ディレルであります。勇敢な日本国自衛隊の皆様、盟友の窮地に駆け付けた台湾陸軍の皆様、そして我が誇りの海兵隊諸君。
この晴れ渡った日に諸君等は異世界へと出陣することになります。本居総理閣下のお言葉通り、貴方方が向かう異世界で何が起きるか分かりません。恐らくは辛い困難な試練が貴方方を待ち構えているやも知れません。しかし本居総理閣下と同様に、私も貴方方がどのような困難をも乗り越え、自らの使命を完遂させ、この日本国という国の大地を再び踏むことを確信しています。
ですのでどうか、私に帰還なされた皆様の元気な素顔をお見せ下さい。それはこちらにおられる周閣下も同じです」
「私は中華民国大統領にして政府首相周です。ここに集められた日本国自衛隊、アメリカ海兵隊、台湾陸軍兵士の皆様。私と本居総理、ディレル大統領が肩を並べ、手を重ね合う姿をご覧いただきたい」
周大統領がそういうと本居総理とディレル大統領が互いに歩み寄り、肩を並べて手を重ね合う。
「私から皆様に伝えたい言葉はただ一つ。どうか無理をなさらず、隣にいる戦友を支え合って頂きたい。
確かに私達は国や人種が違い、血は繋がっておりません。しかし私達は互いを助け合い、信じ、語り合える家族です。この絆は誰にも断つことは叶わず、崩すことはない強硬な強い絆という鎖です。
だからどうか、隣にいる家族と語り合い、信じ、支え合って、無事に私達が待つ家に帰って来て下さい」
周大統領がそういうと周囲にいる世界各国の取材班からのフラッシュが閃く。多分明日の朝刊に第1面で乗るだろうな………。
3人の演説が終わり、全員が敬礼で見送る。そして今度は88式鉄帽を被り、防弾チョッキ3型で固めた陸将が演説台に堂々と姿を現した。
「私が連合派遣団最高司令を務める狭間 浩一郎陸将である。1ヶ月前より何度も斥候部隊を門の向う側に派遣してはいるが、未だに実態は不明のままだ。即ち、門の向う側に着いた瞬間に戦闘となるという心構えだけはしてほしい」
狭間陸将の演説を聞きつつ、俺は門の側に設けられた献花台に視線を移した。そこには親族を亡くした母親に俺が銀座事件で救った女の子がいた。
あの事件で何人もの人の人生が狂い、連合派遣団に参加することになった知り合いのエースもすっかり変わっちまった。
「間も無く突入だ‼︎各員は速やかに搭乗し、配置につけ‼︎」
狭間陸将に敬礼し、陸将も答礼すると俺たちは一斉に弾嚢から弾倉を抜き取り、それを差し込んで薬室に弾を装填させた。そして全員が一斉にそれぞれの車両に乗り込み、俺も部隊の高機動車に乗り込んだ。
<運転開始‼︎>
<サクラ指揮車より各車。状況送れ>
<サクラ01及び02。準備良し>
<サクラ03及び04。準備良し>
<バルトイーグルから全部隊。準備はいいか?>
<リーパー隊指揮官。準備良し>
<デスサイズ隊指揮官。準備良し>
<高雄01から全車。状況を報告せよ>
<高雄02、準備良し>
<高雄03、準備良し>
車内の無線機でうちの74式戦車部隊にエースのLAV-25A2を使用する部隊と台湾軍部隊の無線が聞こえてくる。
そして門を封鎖していたシェルターが重い金属音と共に姿を現し、再び無線で陸将の声が響いた。
<全隊‼︎突入‼︎>
それを合図に74式を先頭にスティングレイⅡ、LAV-25A2、M113、引っ張り出してきたLAV-105の順で門の中へ突入が開始され、俺たちが乗る高機動車も運転手がアクセルを踏み、前進していった。
「ね……ねぇ伊丹2尉」
「ん?」
目の前に座ってる部下でもありオタク仲間の倉田3曹が話しかけて来た。
「向こう側の世界に………猫耳娘っていますかね?」
「いないわけないだろ?」
‘‘2つの世界を繋いだ門を人はこう呼んだ’’
‘‘GATEと……………’’
異世界に突入して連合派遣団を待っていたのは新たに攻め込もうとしていた異世界の軍勢だった。
先発隊として突入した台湾戦車部隊‘‘高雄’’も戦闘準備を進める。
次回[初の遭遇戦]