GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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59:国の在り方

「……民を愛し過ぎることよ……」

 

 

 

皇帝の言葉に脱出しようとしていた伊丹たちは皇帝に振り向く。先程までの驚愕した表情から一変し、指導者としての面構えで言葉を発していた。

 

 

 

「仁に過ぎることは大いに煩わされ、義に過ぎることは考えを疎かにさせ、情に駆られるは大いに損をする。かつて遥か南側に位置した帝国に次ぐ大国は貴殿等のように民を愛し過ぎ、高度な文明を持ちながらも遂には蛮族に滅ぼされた」

 

「我々も同じ末路を辿ると?」

 

「民を愛するなとは言わぬ。しかし行き過ぎた仁は相手に隙を見せることとなる。貴殿等も心しておくがよい」

 

「………陛下。我が国々はその弱点を国是としております」

 

「ほぅ………」

 

「我がアメリカにもかつて帝国と同じように奴隷制度が存在しました。貴族達による奴隷の酷使、差別、陵辱など肌の色が違うだけで虐げられた……しかしかつての指導者達が奴隷を無くし、全ての民が一つの旗の下、愛国心を持って危機の際に国は民を支え、民は国を支える。旗に記された星々はそれを表しております」

 

「陛下、我が台湾もまた然り………かつて独裁国に虐げられた苦しみから日本とアメリカに助けられ、遂に長年の悲願であった独立を勝ち取ったのです。だから我が国は日本の窮地には国民政府が一致団結し、恩義に報いる………そしてそれを可能とする為に我が軍があります」

 

「そして我々の軍………自衛隊やアメリカ軍、台湾軍はそれ等の国是を守護する為に日々鍛錬しております。なんでしたらまたお試しになられますか?」

 

 

 

菅原達の脅しに近い返答に軽く身震いを起こす。

 

彼等の試すということはつまり、真正面から当たって来てみろということであり、痛い思いをもう一度味わってみろと言っているのだ。

この世界における外交とは恐喝と賄賂が基本。武力をチラつかせて優位な条件を獲得し、抱かす飲ます食わすの3つで反体制派を味方に引き込む。

 

 

 

「ふふっ……なんの………そなた等に抗せる筈もなし。和平交渉を始めるがよかろう」

 

「感謝します陛下。しかし我々も十分に弁えております。平和とは次の戦争の準備期間であるということを……」

 

「それに我が世界は帝国など足下にも及ばない血塗られた黒歴史で成り立ち、我がアメリカにはウラ・ビアンカを一瞬で更地にしてしまう兵器を幾つも所有しております。それを使われたくなければ我々の怒りを買わないようにされた方がよろしいかと……」

 

「和平交渉の最中に帝都を失うことを是非とも恐れて頂きたい」

 

「………だがそれでもそこもとらは交渉を拒否できぬ。違うか?」

 

「確かに………それ故に虚言に対する鉄槌は目を当てられぬすさまじいものとなります。どうかお覚悟して頂きたい」

 

 

 

モルトが最も恐れているのは和平交渉の最中に帝都を失うことだ。

 

話は聞いていたが初めて目の当たりにしたライフルの存在に対し、兵の質や武器の質、戦術の質なんかが自分達など遠く及ばないと察した。

 

ここが引き際であると感じ、一歩引くことにしたのだ。

 

 

 

「その言葉………我等を信じていると受け取った。今は難題だが我の名において攫った民の消息と返還を約束しようぞ。我が愚息の奴隷をみな連れていかれよ。我も此奴の奴隷の扱いには虫唾が走っておったのだ」

「分かりました。こちらで保護させて頂きます」

 

「ではこれにて」

 

 

 

皇帝による拉致被害者問題解決を確立させ、睨みつける近衛兵を警戒しながらエース達はテューレというヴォーリアバニーを除いた他の亜人の奴隷を連れて玉座を出て行った。

それから伊丹は無線機にて拉致被害者発覚をアルヌス駐屯地に報告し、アルヌスの狭間陸将を経由して政府に報復実行を進言。

アルヌスより後に帝国から“空飛ぶ剣”と呼ばれる存在が夜明け前に帝都へと向かった……………。

 




伊丹達により発覚した拉致被害者の奴隷化。混乱を極めて最小に抑えたアルヌスから7つの翼が舞い上がった。目標は帝都への報復爆撃。
新たに参加したアメリカ空軍も帝都の軍港にある無人倉庫へと向かった。

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