GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版 作:ウルヴァリン
ゾルザルが主犯となる拉致被害者発覚。
奴等は日本人である望月 紀子とウクライナ人のマミーナ・シェスチェンコを拉致しただけではなく奴隷にして痛めつけていた。
PTSDの可能性も考えられてすぐにアルヌスに帰還する必要があったのでエース率いるリーパー隊、耀司率いる第3偵察隊はチヌークとの合流地点に向かった。
「よし。ヘリには全て乗せたな?」
「あぁ。帝都周辺の植物サンプルに鉱物サンプル、マフィアからの貴族に関する記録にタスクフォースが撮影した帝国軍の建造物の写真。全てリアカーに乗せてチヌークに積載したよ」
「解放した奴隷達もヘリに乗せているから、後は俺たちが乗ったらすぐに離陸だ」
「分かった。という訳だから見送りはここまででいいよ」
「そうはいかない。見えなくなるまで見送るというのは礼儀だからな」
「全くね。無礼なんて思われたらあの子に顔を合わせられないわ」
そういいながら俺は後ろにて見送りに来ていた薔薇騎士団2名に話し掛ける。
紫のショートヘアに性格的に竹を割ったようなさっぱりした印象が強い女性騎士と赤色のショートヘアにピニャ殿下やハミルトンと比べたら細目だが胸が大きい隻眼の女性騎士がいて、前者の名前はヴィフィータ・エ・カティで後者はプレデュー・ド・フィズ。
ピニャ殿下が指揮する薔薇騎士団の中ではグレイ・コ・アルドに続く非常に数少ない実戦経験者であり、ピニャ殿下のことを呼び捨てに出来る数少ない騎士だ。
薔薇騎士団が正式に設立されてからも騎士団の実績と指導教官育成目的で複数の実戦や討伐戦に参加し、特にプレデューは右目を失っても実戦に対して積極的に参加していたらしい。
因みに前々から気になっていたんだが、彼女達の名前って大半が俺たちの世界ではカクテルやワイン、ウィスキーといった酒の名前だよな?
そうしていると救出した望月さんとマミーナさんが栗林と黒川に付き添われてやってきた。
「準備はいいか?」
「はい。簡単な応急処置は終わりましたし、バイタルも問題ありません」
「服も私達のものを用意しましたし、ご飯も食べれてますから大丈夫みたいです」
「何から何までありがとうございます」
「構わないよ。民間人を守るっていうのは軍人の責務だからね」
「ようやく母国に帰れると考えたら嬉しくて………」
「望月 紀子にマミーナ・シェスチェンコ………だったっけ?」
「は……はい」
「オレはピニャの部下でヴィフィータ・エ・カティでこいつはプレデュー」
「ボクはプレデュー・ド・フィズよ」
「望月さん、マミーナさん。この人達は俺達に協力して下さっているピニャ殿下の部下だ。ゾルザル達とは違うから安心して」
「この度の非道な無礼……ピニャに代わって謝罪させて頂く。すまなかった」
簡単に自己紹介するといきなりヴィフィータとプレデューが頭を下げた。それにはさすがの俺達も驚きを隠せなかったが状況を理解して彼女達に頭を上げるように説得して場を収めた。
「オレ等騎士団は連合に助けられたっていうのに、その恩を仇にして返すようなことをしちまった……」
「ボクからも謝らせて………だけどピニャは本当に何も聞かされていなかったの……だからあの子だけは許してあげて」
「そ……そんな……謝らないでください」
「確かに私達も初めはあなた達をすごく恨んだけど、今は違う……クレイグさんや谷さん達に話を聞いてピニャ殿下って人は和平に尽力してくれているって知ったから………」
「………そういって貰えると気が楽になるよ……」
「全くだ。罪滅ぼしになるかどうかなんて分からないけど、あなた達の恋人と弟君の消息は必ず突き止めるわ。約束する」
「2人とも、彼女達は信頼できる。だから安心してくれ」
「谷、そろそろ乗り込むぞ」
先に準備を進めていたエースがM27 ICCを手に呼びに来てくれた。
「じゃあ俺たちはこれで……」
「あぁ。ピニャになんか伝えておきたいことはないか?」
「う〜ん………特にないな」
「右に同じく」
「だったら‘‘いきなり怒鳴ってしまってすまなかった’’と伝えてくれ。本当ならば直接伝えたいんだがな……」
「承った」
エースが発覚の際に思わずピニャ殿下に対して怒鳴ってしまったことを謝罪として伝言を預けた。
あれ以来エースは気にしていたようであり、思わずカッとなってあんな怒鳴り声を挙げてしまったんだろう。
ヴィフィータとプレデューの見送りを受けながら俺もチヌークに乗り込み、後部ハッチがゆっくり閉鎖されると機体に振動が走り、離陸していった。
俺は耀司やエースとは違って本来は戦車兵だ。
だから次に帝都に来るのはいつになるか分からないが楽しみにしておくのも悪くはないだろう……………。
アルヌスに帰還したエース達。柳田は夜に3人を呼んで不在中に何があったのかを話し出す。そしてその帰りにテュカの下に向かうが、そこには悪夢が広がる。
次回[悪夢の再来]