GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版 作:ウルヴァリン
伊丹達がテュカの心を救い出すべく炎龍退治に向かってからすぐ、見送っていたデュランは病室に戻る際に医務官に狭間陸将とシュガート大佐、趙大佐、更に各国のアドバイザーを病室に来るように頼み込み、ベッドで横になりながら全員を集めた。
「デュランさん。私が連合特地派遣団最高司令を務めている狭間です」
「おお、よく来たな。儂がみなを呼んだデュランじゃ。忙しいだろうが少しばかり付き合ってもらうぞ」
「構いません。しかし私達にあなたのことで話しがあると聞いておりますが、如何なるお話でしょうか?」
「まぁ待て。最後の1人がまだ来ておらぬ。その者が来るのを待たれよ」
「あと1人ですか?」
「失礼します。グラビさんを連れて来ました」
「ちょっ………だから私はこれからイタリカへの商隊警護の打ち合わせに…………」
医務官に連れてこられたアルヌス警邏部隊軽装鎧を纏ったグラビ。そして狭間陸将達が様子を伺う中で彼はベッドにいるデュランの姿を見て動きが止まった。
それに対してデュランは表情を友人を迎え入れるかのような表情でグラビに話し掛けた。
「………久しいな。少し痩せたようじゃが元気だったか?」
「………あなたも………すっかり老われた……………陛下」
「陛下?」
「あぁ………狭間とか言ったな……こんな姿で悪いが改めて名乗らせて貰おう」
陛下という単語に狭間陸将は戸惑うが、改めて名乗ろうとするデュランはベッドで横になりながらも姿勢を正し、指導者としての力強い表情に変えてから陸将達に話し出した、
「儂の名はデュラン。かつて帝国の隣国であるエルベ藩王国を束ねていた国王だった男じゃよ」
「なっ⁉︎こ……国王………失礼しました‼︎」
デュランがエルベ藩王国の王だと言われ、狭間陸将達は慌てながら踵を鳴らして一斉に敬礼をする。だがデュランは片手で制して首を横に振るった。
「いやかしこまらなくてもよい。儂は其方等にかなりの借りを作ってしまっているのだからな、それに端からみたら儂は虜囚のようなものじゃ。気にする必要などない」
「とんでもない⁉︎国王陛下と知らなかったとはいえ、このような場所におられてしまわれるなど誠に失礼致しました⁉︎」
「はっはっ………じゃから儂は気にしておらぬ。確かに敵対して片腕片足を失ったとはいえ、其方等は儂にこのような素晴らしい義手義足を与えてくれたのだ。まぁ食事は味が薄いというのは不満じゃったがな」
デュランは戸惑う狭間陸将達に冗談交じりなことを言って場を和ませようとする。
「まぁ冗談はさておき、今日お主等を呼んだのは他でもない。まずは儂の配下の生き残った兵達を助けてくれたこと、そして儂を救ってくれたことに感謝する」
「もったいないお言葉で………」
「もう1つ、お主等に頼みたいことがある」
「頼みたいこと………でしょか?」
「うむ………藩王国にて炎龍が出没したという話は聞いておろう」
「……はい。シュワルツの森にてダークエルフが全滅寸前となり、少し前にダークエルフの女性が我々に救援を申し入れて来ました」
「しかし藩王国とはなんの交流もない故に軍は動かせない。下手に動かせば諸国が黙ってはおらぬ……そういうことで動けぬのであろう?」
「なぜそれを………」
「昨夜に儂が月夜を見るべく部屋を抜け出して、伊丹なる者から聞いたのじゃ」
「伊丹がですか?」
「うむ。なんでも炎龍に同胞や家族を殺され、心に深い傷を負ったハイエルフを救い出したいが動けぬことに悩んでおってな」
「話だけならば聞いています。しかしなぜ陛下が……」
「あやつはその炎龍を討つべく少し前に協力者と共にエルベ藩王国へと向かいおった」
「なんと………」
「そういえば谷が単身でエルベ藩王国との国境周辺の地形調査に向かうという作戦計画書に目を通しましたが………あいつ………」
「伊丹と谷が向かったということはクレイグも私物の車両持ち込みや武器の持ち込み申請をして来ましたが、おそらく炎龍退治に………独自行動権があるから文句はいえませんな」
狭間陸将、シュガート大佐、趙大佐は3人の行動に頭を抱えた。PKOてもある連合特地派遣団の中で‘‘二重橋の英雄’’とされる伊丹と‘‘復讐の鬼’’ことエース、‘‘海岸の獅子’’とされる谷の3人組はかなり有名で、一部からは3馬鹿と称されてもいる。
しかも各国の首脳達に良くも悪くもかなり注目されてもいるし、友好国からも現代の3銃士とされている。
そんな連中が現地協力者と共に単独で炎龍退治に向かったのだ。頭を抱えても仕方が無かった。
「それで……陛下が我々をここに呼んだ理由というのは……」
「うむ。儂の生存が知れれば藩王国領主達は協力し、王太子より王国を取り戻せようぞ。其方らに頼みたいことは儂をエルベ藩王国への護衛を頼みたい」
「護衛ですか………しかし我々と王国とは何の交流も……」
「百も承知だ。確かに今すぐは急過ぎて決定に戸惑うじゃろう。じっくり話し合って決断を下してもらえぬか?」
「………承知しました」
それから暫く話し合い、明日の夜に誰かを向かわせて返答をすることとなった。
連合特地派遣団は伊丹、エース、谷という存在を中心に回り始めていることに狭間陸将達は感じ始め、デュラン陛下からの自国までの警護依頼を本国に伝えて承諾か拒否かという話し合いをするのだった……………。
騒ぎの根源でもある柳田、彼は狭間陸将の執務室に赴いていた。そこに健軍達戦闘団長や各軍司令官が集まっていて、伊丹達がドラゴン退治に向かったことを聞かされる。
事情を知った首脳陣達に睨まれて焦る柳田に狭間陸将はデュラン陛下に会うよう指示を出した。
次回[馬鹿を救う決断]