GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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68:馬鹿を救う決断

テュカの心を救う為、与えられた任務を桑原曹長に託すという形で放棄。

その考えを予想していたエース達と共に炎龍討伐に独断で向かうこととなる。

 

このような暴挙は絶対に如何なる理由があるにしても許されるはずが無い。

柳田に降格処分や名前すら聞いたこともないような僻地への左遷という可能性があるという警告も振り払い、装備を返納した後にエースから貸し与えられた装備を再装着してエルベ藩王国へと向かった。

 

一方で柳田も伊丹の正当性をでっち上げる為の理由を作り上げ、伊丹の上司である檜垣3佐と自身の上司である今津2佐の承諾を得ることに成功し、同時に2人の考えや気持ちを聞かされた。

 

少し前にPXにて買い物をしていた檜垣3佐は泣きながら炎龍退治を悲痛な表情で頼み込むヤオに対して何も出来なかったことと、人の可能性を示した伊丹達が羨ましいと聞かされた。

 

今津2佐からは公には提案だが現地協力者で構成された特地資源調査隊を日米台合同でできないかと実質は伊丹の逃げ道を示した。

 

そして最後の署名が必要な為に柳田は狭間陸将の執務室に向かうが、彼はそこで硬直することとなる。

 

 

 

「………………」

 

(な……なんでこんな時に限ってお偉方が集まってんだ?………俺なにかヘマしたか?)

 

 

 

執務室にて柳田からの報告書に目を通す狭間陸将。そして部屋には柳田を睨むように凝視するシュガート大佐に趙大佐、健軍1佐、加茂1佐、神子田2佐が柳田を睨む。しかし当人は全く理解が付いていなかった。

 

 

 

「伊丹達はなにを考えているんだ?」

 

「はっ‼︎連合特地派遣統合任務部隊最高司令部からの特地における資源調査の重要性が伊丹2尉達の今回の理由となります‼︎」

 

「それは表向きだろ?あのあたりには炎龍が確認されているし、伊丹達と仲がいいエルフの少女に何があったのかは知っている。しかもCIAによればエルベ藩王国に何やら不穏な動きが見られるし、裏側の真の狙いはそこじゃないのか?」

 

「表も裏も伊丹2尉は資源調査、谷中尉は地形調査‼︎クレイグ中尉は独自行動権を行使した両名の警護に同行しただけであります‼︎」

 

「そうか……」

 

 

 

冷や汗をかきながら考えた理由を述べる柳田に対し、伊丹の行動は実際はテュカを救う為だと察している狭間陸将。

 

 

 

「………らしいが諸君。どうするかね?」

 

「陸将の御心のままに……」

 

「いつでもどうぞ」

 

「我々アメリカ軍も同じく」

 

「台湾軍もまた然りです」

 

「我が日本は他国の戦争で他国の為に請われて戦ったことは台湾を除いてほぼ皆無だ。どうやらそんな馬鹿をする者とそれを支える馬鹿が我々の中にもいたようだ」

 

「馬鹿とはいえ大事な日本国民と同盟国民です。見殺しには出来ますまい」

 

「はい。それに馬鹿だからこそ愛着が生まれる。だからこそみんなは奴等を慕うのです」

 

「その通りだ諸君‼︎あの3馬鹿を死なせてはならない‼︎加茂1佐‼︎」

 

「はっ‼︎」

 

「必要戦力を捻出後に待機を命じる‼︎あの3馬鹿の探査支援の準備せよ‼︎」

 

「了解‼︎」

 

「健軍1佐‼︎」

 

「はっ‼︎」

 

「陸上部隊支援の為にヘリ部隊を待機させておけ‼︎編成は任せる‼︎」

 

「了解‼︎」

 

「神子田2佐‼︎」

 

「はっ‼︎」

 

「航空隊はエルベ藩王国国境周辺の航空偵察実施‼︎必要ならば近接航空支援を頼みたい‼︎」

 

「了解‼︎」

 

「シュガート大佐‼︎趙大佐‼︎」

 

「「はっ‼︎」」

 

「アメリカ軍および台湾軍にも協力を要請します‼︎持てる力を持って現地支援を願いたい‼︎」

 

「もちろんです‼︎」

 

「久々の実戦だ‼︎丁度良い‼︎」

 

「イギリス軍とオーストラリア軍にも道中の補給支援を要請しろ‼︎」

 

 

 

柳田は目の前で飛び交う命令に唖然となった。

 

アメリカと台湾、更には協定に署名した国々との間で確保した資源は均等に分け与えられるが柳田は少しでも日本に有利な状態に持って行きたいと策を練り、ヤオを利用して日本しか動けない状況を作り出そうとした。

 

だが予想外でエースと谷も伊丹について行ってしまい、それによりアメリカ軍と台湾軍も動けるようになった。

 

更に1番の予想外なのがあっさりと越境が決まってかなりの規模の部隊が派遣確定といった大盤振る舞いの状況で柳田は動かなくなってしまい、首脳陣達は意気揚々と準備に取り掛かる。

 

 

 

「………こんなあっさりと越境できるならヤオを焚き付けないで普通に進言した方がよかったような気が………」

 

「伊丹達が行動を起こさなかったら、あの方は名乗り出なかっただろう……柳田2尉、特地語は使えるな?実はある人物に会って来て欲しいのだが………まずは冷や汗を拭きたまえ」

 

「あ………ある方?」

 

「あぁ。今日の晩にこちらから人を送ると約束していてな、実は我々の越境許可も本土の承諾もその人物が名乗り出したからこそなのだよ」

 

「いっ………いったい誰なのでしょう?」

 

「………エルベ藩王国国王のデュラン陛下だ」

 

 

 

柳田は狭間陸将から聞かされた名前に再び硬直することとなった……………。




炎龍討伐に向かう数日前、柳田を殴って暴れたことで自室にて謹慎処分中のエースは予見していた事態に向けて密かに暗躍をする。

全ては友を助ける為、エースはある人物に電話を掛ける。


次回[ガンスミス]
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