GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版 作:ウルヴァリン
<敵影発見‼︎>
ゲートを抜けた第1声がそれだ。
俺はCM21に搭載されているM36E1昼/夜間兼用サイト越しにゲートを抜けた先を伺う。
抜けた先はどうやら丘みたいになっているようであり、比較的穏やかな傾斜に木々などは見当たらない。だが熱線映像装置で映し出された映像は丘を下った先に篝火と共に複数の密集した熱源が映し出されていた。
「熱源の総数測定不能。相当数の敵部隊を確認」
「確か敵の装備や編成は中世ヨーロッパ程度だったよな?」
「そうです中尉。それに加えてゴブリンやオーク、豚のバケモンも編成に加えているようです」
「てことは熱源の規模と数を考えて実に数十万ってとこか……序盤戦にしては数がエゲツないが、こっちが負けてるのは数だけだ」
「そうですね。火力、機動力、防御力、戦術。全部の面で俺たちの圧倒的有利ってやつですかね?」
「敵にドラゴンの姿は見当たらないな……対空警戒を厳にしつつ、敵を砲撃していくぞ」
「了解」
「袁。初弾はHEAT-MPを装填。林はいつでも撃てるように砲身を向けておけ」
「「了解」」
「中尉。自衛隊が前に出ます」
「よし。俺たちは自衛隊の74式に合わせて右翼に展開する。10時方向にある窪みに布陣して横隊だ。高雄隊全車了解か?」
<高雄02及び03了解>
<04及び05了解>
「孫、目の前にある窪みに車体を隠せ」
「了解」
孫に指示すると戦車は指定された窪みに向かい、砲塔のみを出しながら車体は完全に隠れた。他の車両も同じように窪みに移動してダックインで敵を攻撃する準備をする。
<サクラ00より全部隊に通達。照明弾撃ち上げ後に攻撃を開始。敵を近付かせず遠距離から脅威を排除せよ>
「こちら高雄隊指揮官了解。当部隊は貴官等の戦車隊の反対側に布陣。そちらの合図でいつでも砲撃可能」
<サクラ00了解。台湾軍本隊到着までの間、当官が指揮を執る。貴官の武功に期待する>
指揮官からの無線に応答すると引き続きサイトを覗き込む。敵に動きは見られない。
<81mm迫撃砲。照明弾発射……………弾着……5秒前………弾着…今>
「始まるな………各車砲撃用意‼︎合図で敵にたんまり榴弾を叩き込んでやれ‼︎」
暫くしてから自衛隊の迫撃砲部隊により照明弾が上げられ、月明かりのない夜空に眩い光が広がって周辺を照らした。M301A3照明弾がパラシュートに揺らされながら辺りを照らしているのだ。
いきなり辺りが明るくなったことで敵は混乱しているようだが間髪入れずに次の指令が入ってきた。
<攻撃目標、敵武装組織。戦車榴弾。班集中………撃て>
「撃て‼︎」
サクラ00の合図で74式戦車が一斉に砲撃を開始し、俺たちも一斉にHEAT-MPを発射させた。
発射させた砲弾は吸い込まれるように敵に飛来していき、爆発音が鳴り響く。
それを合図にしたかのように前方に展開している自衛隊とアメリカ軍もそれぞれの銃火器で攻撃を開始し、更に敵へ打撃を与えていく。
5.56mm弾に7.62mm弾、12.7mm弾、更には25mm砲弾や105mm砲弾による嵐だ。
敵にとっては豪雨となるだろうな。
「命中確認‼︎次弾装填‼︎」
「中尉‼︎敵騎馬兵が突撃を開始‼︎あわせてモンスター共も突撃してきます‼︎」
「そいつらは俺が対応する‼︎林は引き続き砲撃を実施‼︎判断は任せるぞ‼︎」
そういいながら俺はハッチから身を乗り出し、備え付けられているM2重機関銃を操作して接近を開始した敵部隊に銃撃を開始。
撃ち出された12.7×99mm NATO弾は見えた敵兵を次々と薙ぎ払い、直撃を受けた敵兵やモンスターは身体を木っ端微塵にして息絶えていった。
暫くしてから自衛隊迫撃砲部隊も新たに照明弾を撃ち上げ、明かりを絶やさないようにして味方部隊を支援していく。
<サクラ00より全隊に警告。上空に敵増援を確認。ワイバーン接近>
「日本に現れたドラゴンだ‼︎各車対空戦闘用意‼︎戦車長はドラゴン撃墜に専念しろ‼︎」
サクラ指揮官の通信通り複数のワイバーンがこちらに接近していた。事前情報によれば機動力はそれほど高くは無いが体を覆う鱗は12.7mm徹甲弾でようやく貫通したらしい。
つまり5.56mm弾や7.62mm弾では苦戦は免れないようだ。
照準をワイバーンにあわせてトリガーを弾くと数発外した後にワイバーンの翼の付け根辺りに命中し、そのまま地上に落下していった。
前方に展開しているLAV-25A2も対空戦闘を開始したようであり、12.7mmより強力なM791 25×137mm徹甲弾を撃ち出しているので直撃を受けたワイバーンは身体を引き千切られて次々と撃墜されていく。
そして程なくして飛来してきたワイバーン全てを叩き落としたみたいだ。
<全ワイバーンの撃墜を確認。引き続き地上部隊殲滅を実施せよ。終わり>
「五月蝿い爬虫類は叩き落とした‼︎そのまま決着を付けてやれ‼︎」
「「「了解‼︎」」」
無線が聞こえたのか、高雄隊が一斉に敵集団に対して猛烈な砲撃を再開させて決着は暫くしてからついた。
全く接近することが出来なかった敵集団は我先にと逃走を開始し、敵が撤退していった後には実に6万もの死体が確認された。
序盤戦における遭遇戦は死傷者が全くいない俺たちの完全試合となり、朝になってから陣地構成を開始する。
異世界における戦いは始まったばかりである……………。
アルヌスから約600km離れた帝都。そこではアルヌスに関して話し合いが行われていた。
だが何の解決策もない状態で皇帝はある手段を取る。
次回[皇帝]