GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

72 / 89
*今回は残酷な拷問があります。ご注意ください


71:裏切りの報い

望月 紀子暗殺未遂………連合特地派遣団の怒りをかうには十分すぎるものだった。しかも暗殺を阻止する形で柳田は今も意識不明であり、暗殺を実行したデリラを騙したことに対してもだ。

 

翌朝からすぐに合同で調査が行なわれ、デリラが働いている食堂や同僚、更には住居にも捜索のメスが入れられている。

仲間を傷つけ、デリラを騙したクソッタレに復讐することこそ彼等の願いだった。

 

デリラが働いている居酒屋の亭主も彼女が何かを裏で調べていたことは知っていて、害を与えない限りなら干渉しないことにしていたようだ。

デリラの親友であるパルナとグリーレは彼女がこんなことをする筈ないと最初は調査班に食ってかかったが、彼女は今は病院で生死の境を彷徨っていると聞かされ、病院でずっとそばについたままだ。

 

そしてデリラの部屋を捜索していてから事態は好転した。

 

部屋にあったのは1枚の手紙で、望月 紀子を暗殺するよう指示を出した指令書だということが判明したが一番の注目すべきものは指令書の右下にあった。

 

イタリカを統治しているフォルマル家の紋章だ。

 

今回の暗殺未遂騒動にフォルマル家が何らかの形で関わっている可能性が浮上したことに狭間陸将は少し難色を示したが、シュガート達の協力申し入れもあってイタリカ封鎖を敢行。

 

封鎖の際に衛兵と小規模ながらも衝突はあったが、テーザーガンやゴム弾を用いて怪我人は出たが死者は出していない。

 

事態は最悪の方向に進もうとしていると感知したメイド長はペルシアとマミーナに事実確認をさせるべく指示を出し、暫くしてから自身も屋敷の地下にある尋問部屋へと足を運んだ。

 

 

 

「はぁ…はぁ……し…知らん……信箋の横流しなど……あぐっ⁉︎」

 

「……ミュイ様の前でも同じことがいえるか⁉︎」

 

「バーソロミュー、貴方が当家の信箋を横流ししたことは調べがついているのです。これ以上痛めつけられたくなければ本当のことを仰いなさい」

 

「知らん‼︎断じて私ではない‼︎コルト様の書斎には誰でも入ることが出来るのだ⁉︎ピニャ殿下も滞在中に利用していたではないか⁉︎」

 

「確かにそうです。しかし伯爵家の公印だけはバーソロミュー…あなたが管理していましたね?」

 

 

 

地下牢には椅子に縛り付けられ、怒り心頭のペルシアとマミーナにフォルマル家執事長のバーソロミューが痛めつけられていた。

 

バーソロミューの言う通り書斎には誰でも入ることが出来る。気付かれずに簡単な指令書を発行して不正を働くことも出来るが、伯爵家による正式なものなら話は別だ。

 

信箋は伯爵家の存在を対象者に証明させる非常に重要度の高い超一級品の宝物とさえされており、過去においては三国志時代の玉璽が分かりやすい。

これ1つあれば私兵部隊を誰にも察知させずにクーデターに参加させたり、不自然がられずに高級階級者を失脚させたりと奪われたらやりたい放題となるもので、管理を任されているのは当主以外で従事している者の中で最も位の高いもの………つまりフォルマル家においてはバーソロミューしか信箋を使用できないのだ。

 

ある意味で宝石よりも値打ちがある宝物だ。

 

 

 

「ペルシア代われ‼︎私がやる‼︎」

 

 

 

同僚であり友達だったペルシアが再び殴り掛かろうとしたら、マミーナが一気に距離を詰めてバーソロミューを蹴り飛ばした。縛られたままのバーソロミューは壁に激しく身体を打ちつけ、

 

 

 

「お前のせいでデリラが……デリラが‼︎」

 

「おやめなさい2人共‼︎私達は疑われているのです‼︎」

 

「しかし⁉︎こいつは私達の仲間を騙して連合に危害を加えさせた‼︎いっそ殺して首を差し出した方が⁉︎」

 

「メイド長、ここからは我々がやらせて頂く」

 

 

 

怒り心頭のマミーナとペルシアを冷静にさせた直後、複数の証拠と尋問に使う道具を手にしたハイデッガーと部下のタナカとロジャーとキムが入ってきた。

 

 

 

「すまないがあんた達3人も容疑者の1人なんだ。口封じでもされたら溜まったもんじゃない」

 

「そんな⁉︎」

 

「便箋が出てきた段階で当然の処置だ。これ以上疑われたくなければ黙ってるんだな」

 

 

 

そういいながらそれぞれが準備を進め、3人の準備が終わるとハイデッガーはタバコを吸いながら話しかけた。

 

 

 

「よぅMr.バーソロミュー。俺はアメリカ軍から派遣されたクワイゼル・ハイデッガー捜査官だ。今からお前を担当する尋問官のようなもんだからよろしくな」

 

「じ…尋問………何を尋問することなど………」

 

「昨日の深夜に基地の中で戦闘があってな、聞いてるか?」

 

「あっ……あぁ……」

 

「拉致被害者を狙った胸糞悪い話でなぁ……んで暗殺者を撃退した代わりに自衛官の1人が意識不明になったんだ。それで暗殺を実行しようとした奴がおたくのメイドで、しかも命令書まで出てきたんだ」

 

「何が……言いたい?」

 

「命令書にフォルマル家の便箋が使われてて、しかもそれが本物で便箋を管理してるのがあんただって話じゃないか?何か知ってるか?」

 

「し……しらん…」

 

「本当か?」

 

「私は知らん‼︎私はフォルマル家に仕え続けている執事長なのだぞ⁉︎それこそピニャ殿下が私に罪をなすりつけようとしているのではないのか⁉︎」

 

「まぁまぁ落ち着け。血圧上がって体に良くないぞ。それで聞きたいんだが、あんた指紋って知ってるか?」

 

 

指紋という単語に聞き覚えがないバーソロミューに、ハイデッガーは押収した命令書を突きつけた。

 

 

 

「指紋ってのは指にあるこの丸が連なったような柄だ。あんたや俺達はもちろん指がある生物には大抵ある。滑り止めの役割があるんだが、こう言うふうに汚れなんかで紙に写っちまうことがあんだ」

 

「それがなんだというのだ⁉︎それで誰がやったと分かるとで「分かるぞ」な…なんだと?」

 

「指紋は個性にも関係していてな。同じ柄は絶対に存在しないその人間にしか持ち得ない唯一のもんだ。赤丸は実行したデリラのもので青色は恐らく暗殺を指示した奴のもんだろうが、この黒丸の左手で紙を押さえた際についたようなのは誰の何だろうな?」

 

 

ハイデッガーがそういうとポケットからインクと紙を取り出した。

 

個人を特定できる痕跡があったと聞かされたバーソロミューは体を震わせて握りこぶしを作って指紋を隠してしまう。

 

 

「なぜ指を隠すんだ?自分が無実なら何の問題もないし、何よりも証明できるぞ」

 

「わ……私ではない……」

 

「………さっさと指を出せ。さもなきゃ腕ごと切り落とすぞ」

 

「私ではない……私では……」

 

「ちぃ……まどろっこしい………あんたたち、すまないがこいつの腕を押さえてくれ」

 

「ま…待て⁉︎私ではない⁉︎私ではない⁉︎」

 

 

 

なかなか指紋を取らせないバーソロミューに対して苛立ったハイデッガーはマミーナとペルシアに左腕を押さえさせて結束バンドで固定。そのまま指を無理やりこじ開けて何とか指紋を採取した。

 

すぐに重ね合わされて調べたが、結果は黒丸の指紋と合致した。

 

 

 

「やはりな………残念だよバーソロミュー。完全な黒だったようだ」

 

「ち………違う…私ではない…………私では…ない」

 

「………いい加減にしろよ……穏便に済ませてやるつもりだったが気が変わった。徹底的にやってやる……ロジャース、準備は?」

 

「あぁ、いつでもやれるぞ」

 

「キム、タナカ。3人を外に出せ。こっから先は地獄だ」

 

「了解だ」

 

「こっちだ」

 

 

 

あまりにも往生際が悪いバーソロミューにハイデッガーはペンチを取り出し、メイド長達を地下室から出すと奥歯を挟み込むと一気に引き抜いた。

 

 

 

 

「ぎゃあぁああああああっ‼︎⁉︎⁇」

 

「痛むだろ?だがな………まだまだこんなもんは序の口だ」

 

「おごごごごごっ⁉︎」

 

 

 

奥歯を全て麻酔なしで抜歯し、そこに次々と電動ドリルで穴を開けていき、電極付きのネジを捩じ込んだ。

 

 

 

「や……やめ……」

 

「せっかくだから痺れるくらいホットな刺激をしっかり味わえ」

 

「ぎゃあぁあ‼︎⁉︎⁇」

 

 

ロジャースから受け取った電源のスイッチを押す。その瞬間、電極付きネジを通じて歯神経に直接電撃を流されてもがきまくる。

 

歯神経に電気を流されるということは想像を絶する激痛で、古来より続く拷問の抜歯と現代の電気拷問を混ぜ合わせたハイブリットともいえる拷問にバーソロミューは気絶すら出来ずにいる。

 

 

 

「あがががががががっ⁉︎」

 

「柳田とデリラが味わった痛みに比べたら微塵よりも優しいだろ?」

 

「や……やめ……⁉︎⁇」

 

「だったらさっさと言え‼︎首謀者は⁉︎誰の指示でこんな暗殺指示をしやがった⁉︎」

 

「がががががががががががっ⁉︎」

 

「おら‼︎さっさと吐け‼︎自衛隊なら自白剤使うで止まっただろうが俺等は容赦しねぇぞ‼︎死なせねぇから吐くまでずっと付き合ってやるからな‼︎」

 

「わ…………分かった……言う……言うからや……めてぇ……」

 

 

 

自衛隊ならこんな人道的処置を度外視しまくり、鬼畜の中の鬼畜をかましているハイデッガー。

 

もちろんこんなことをしていることがバレたら1発で国際問題に発展するが相手は単なるテロリストに加担したクズ。それにここは異世界の建物の地下室で監視機能なんて存在しない。

だから証拠なんて残らないし、遠慮する必要がない。

 

あまりの痛さに耐えかねたバーソロミューが自白したのはすぐだった。

 

それによるとバーソロミューは多額の借金と女癖の悪さ故行った横領をばらすと脅迫され、望月 紀子の暗殺指令ををデリラに下した公印付白紙便箋を主犯に渡したようだった。

 

自白後ただちにイタリカ封鎖は解除されてミュイも解放された。

 

事情を説明してすぐに首謀者拘束の為に宿に突入したが一歩遅く逃げられた後だった。

 

捨て駒だったバーソロミューはフォルマル家を陥れようとした罪により斬首が可決され、数日後には断頭台にて刑が執行された。

 

諜報部の調査により首謀者の可能性が最も高いのは帝国皇太子ゾルザルであるという結論に達し、暗殺失敗と連合外交団の帝都訪問という情報を敢えて流し、情報の流出先を突き止めることとなった……………。

 

 

 




帝都に潜伏している第3偵察隊の古田とタスクフォース ナイツの劉は特別任務でゾルザル主催の無礼講に料理人として潜入している。

料理に対して先見の明があるゾルザルの特性を利用して貴族に料理を振るいながら目標が来るのを待ち、そこで古田はテューレと初めて出逢った。


次回[懐へ潜入]
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。