GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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73:炎龍再び

テュカの心は徐々に壊れていっていた。

 

頭痛が時々して少しでも俺が離れたら過敏に不安となる不安症に始まり食べることが徐々に辛くなる摂食障害まで見られるようになってしまった。

 

M-ATVを運転してるんだが、急がないと取り返しのつかないことになる。

だから俺たちはヤオの案内を受けて炎龍の巣を知っている仲間が隠れているというロルドム渓谷に向かうこととなった。

 

森というより樹海……ギアナ高地みたいなシュワルツの森を迂回して次の日の朝、遂にロルドム渓谷に到着した。

 

 

 

「ここがロルドム渓谷かぁ………シュワルツの森がギアナ高地だったらここはグランドキャニオンみたいだ」

 

「対空監視を怠るな。ここは炎龍の縄張りなんだからな」

 

「あぁ、LAMをいつでも使えるようにしておくさ」

 

「すまないがここで待っていてくれ。到着を知らせて荷物持ちを数人ほど連れてくる」

 

「逃げるなよ?」

 

 

 

75発入りドラムマガジンを取り付けたRPKのバリエーションであるバルメM78を担いでヤオを睨むエース。

 

マシにはなったがやっぱり心を許してないようだ。谷もルフスと共に谷底を覗いていて谷底にはかなり急な川が流れているみたいだ。

 

AKMSUを肩に担いで、帰ってくるまでの間に地形把握を兼ねた対空監視をしているとレレイの魔法が解けたのか、テュカがM-ATVから降りてきた。

 

 

 

「よぅテュカ。よく眠れたか?」

 

「うん♪とっても♪」

 

「テュカ、少し寝癖がついてるわ」

 

「ありがとうミオ。それでここどこ?」

 

「シュワルツの森の先にあるロルドム渓谷って所だ。ダークエルフの隠れ里だよ」

 

「やっと着いたんだ?あのダークエルフを降ろせるわね」

 

 

 

そういいながらテュカも谷とルフスと一緒に谷底を覗き始めた。

 

 

 

「どうしたんだ?」

 

「緑がほとんど無い………なんでこんな場所にわざわざ住んでるんだろ?」

 

「…………」

 

「伊丹、適当にごまかすしか無い…………さぁ…なんでだろうな?」

 

「外敵から身を守るためじゃないか?ダークエルフってのも確か希少種らしいから奴隷狩りを逃れるためとか……」

 

「そうなのかな?」

 

「多分だがな……………んっ?」

 

「谷……誰かに見られている」

 

「ミオ、位置は分かるか?」

 

「…………後ろです‼︎」

 

 

 

位置を突き止めたミオはすかさずフランキスカを取り出して構え、ルフスとロゥリィ、レレイもハルバートとデスサイズ、杖を構えた。

もちろん俺とエース、谷もそれぞれバルメM78とAKMSUを構えて臨戦態勢を整えた。

 

 

 

「動くな‼︎」

 

「お前達何者だ⁉︎この渓谷に如何なる用だ⁉︎」

 

 

 

岩陰から現れたのは弓を構えてこちらに鏃を向けているダークエルフの集団だった。

最初はヤオが連れてきたのかと思ったがヤオの姿はなく、多分は炎龍を警戒していた一団だろう。

だが向こうはかなり気が立ってるみたいで、今にもこっちを攻撃しようとしていた。

 

 

 

「いきなり弓を向けるな‼︎」

 

「武装を解除しろ‼︎さもなくば射抜くぞ‼︎」

 

「てめぇ等こそ武器を捨てろ‼︎さもなきゃ射殺するぞ‼︎」

 

「…………⁉︎」

 

「どうしたミオ?」

 

「まずい………来ます‼︎」

 

 

 

ミオが何かを察知した矢先にショートソードを手にして近付いていたダークエルフの上半身に何かが食らいついた。

 

あまりにもいきなりだったので呆気に取られたが食らいついたダークエルフを噛み切り、雄叫びをあげたことでそれが何かわかった。

 

 

 

「………炎龍⁉︎」

 

 

 

いきなりの炎龍出現によりダークエルフも弓矢を射掛けるが虚しく弾かれてしまう。

そして隻眼となった右目が恐怖で動けなくなったテュカを捉えてしまった。

 

 

 

「逃げろテュカ‼︎」

 

「くっそ⁉︎こんな時に⁉︎制圧射撃‼︎」

 

「動くんだテュカ‼︎やられるぞ‼︎」

 

 

 

すぐ炎龍の顔に銃撃を加える俺たち。だが炎龍はテュカを捕食すべくゆっくりと近づくが、いきなり炎龍の身体が揺れた。

 

 

 

「ハアァアアアアッ‼︎ハッ‼︎」

 

 

 

炎龍の顔にロゥリィがハルバートで一撃を食らわせて、レレイが魔法を使って怯ませる。だが回避したら飛び立ってブレスをロゥリィに浴びせる。

 

 

 

「シィッ‼︎」

 

 

 

だがブレスをルフスがデスサイズで薙ぎはらって打ち消してロゥリィへの直撃を無くした。

 

 

 

「アォオオオオオッ‼︎」

 

 

 

狼の雄叫びを上げながらフランキスカを炎龍の右目目掛けてミオが投擲。

直撃はしなかったが顔への攻撃を嫌がる炎龍を怯ませることには成功した。

 

 

 

「谷‼︎3人を援護しろ‼︎奴の顔にぶち込んでやれ‼︎伊丹はランチャーを‼︎」

 

「了解だ‼︎だがまずは奴を地面に引きずり下ろさなきゃ直撃は難しいぞ‼︎」

 

「とにかくぶっ放せ‼︎」

 

 

 

エースと谷もそんな3人を援護をする為に引き続き射撃を加える中、俺はテュカの顔を炎龍に向けさせていた。

 

 

 

「よく見ろテュカ‼︎あいつが炎龍だ‼︎お前の村を焼き払い、父親とお前の仲間を殺した仇の炎龍だ‼︎」

 

「う……嘘よ⁉︎だってお父さんは死んでない………だってお父さんはここに……」

 

「俺はお前のお父さんじゃない‼︎俺は伊丹 耀司‼︎お前の父親のホドリューじゃない‼︎」

 

「‼︎⁉︎⁇」

 

 

 

父親じゃないことを俺は明かした。

 

だがテュカは今まで抑えつけていた混乱が一気に表面に現れてしまった。

 

 

 

「いやっ⁉︎いやぁああああっ⁉︎」

 

「落ち着けテュカ⁉︎」

 

「どこなの⁉︎じゃあ私のお父さんは何処よ⁉︎」

 

「お前の父さんは殺されたんだ‼︎あいつに‼︎あいつは仇だ‼︎父親と仲間を奪われた怒りを込めて………奴を討て‼︎」

 

 

 

錯乱状態のテュカに俺はLAMを持たせようとする。だが振り向いた炎龍はLAMを見た瞬間に何かを恐れているように目を見開かせて再び羽ばたき出した。

 

どうやら奴は片腕を吹き飛ばされたことを覚えているようであり、ランチャーを使うことを理解したみんなも炎龍を地面に留めるように攻撃する。だが炎龍も必死に振り払って飛び立ち始めた。

 

 

 

「テュカ‼︎目を開け‼︎クソッタレを照準の中央に合わせて引き金を弾け‼︎」

 

「いやぁああっ‼︎⁉︎⁇」

 

「いいからぶっ放せ‼︎‼︎」

 

 

 

恐怖で引き金が弾けないでいるテュカの耳元で叫び、その瞬間に対戦車榴弾が撃ち出された。

 

けどガク引きとなってしまって弾頭は奴の左側に飛んで行って岩に直撃してしまった。

辺りに破片と砂煙が舞う中、ランチャーを恐れた炎龍は何処かに飛んで行ってしまった。

 

だが撃退には成功したけどテュカは射出機を地面に落として俺にしがみつくように泣き出してしまった。

 

 

 

「もう嫌ぁ⁉︎なんでこんなことさせるのよお父さん‼︎⁉︎⁇もういや⁉︎家に帰ろっ‼︎わあぁああああああっ‼︎⁉︎⁇」

 

「テュカ………ごめん……」

 

 

 

この場合はアルヌスなのかコアンの森なのかは分からない。だが泣き出したテュカに俺は心が痛くなった。

 

 

 

「…………谷」

 

「なんだ?」

 

「……奴等の族長に1発ぶん殴ってやらなきゃ気が済まん」

 

「……俺もだ」

 

 

 

テュカをこんな風にしたダークエルフに対して怒りを隠そうとしないエースと谷。

俺も同じでテュカにこんな辛いことをさせることになったダークエルフは好きにはなれそうにもない。

 

暫くしてから唖然としていた生き残ったダークエルフをエース達が拘束していき、ヤオも案内役と荷物持ちを連れて戻ってきた……………。

 

 

 




テュカの症状が悪化に加速している。そんな中でエース達はダークエルフの隠れ里に到着して長老の1人に殴り掛かる。
ダークエルフの若者達がエースに武器を構えて一触即発となるが、それを長老が制する。


次回[ダークエルフ]
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