GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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74:ダークエルフ

ロルドム渓谷に到着した俺たちは警戒中だったダークエルフからの洗礼と炎龍の奇襲をいきなり受ける形となった。

 

炎龍出現により隠し通せなくなった伊丹が事実を伝え、それによりテュカは錯乱状態となってますます心が壊れていった。

 

今まで我慢していたが爆発させても問題はないだろう。

 

それは谷と伊丹も同じで、迎えに来たヤオと数人のダークエルフに荷物を持たせて奴等の族長が待つ広場に向かっていた。

 

 

 

「……………」

 

「こ……ここが此の身達の長がいる洞窟だ……」

 

「………そうかよ」

 

 

 

ヤオの言葉にも冷たくあしらう。

 

俺は別にダークエルフが嫌いって訳ではないがテュカの心を壊したこいつらが嫌いなだけだ。ヤオを先頭に広場に到着と同時に蝋燭と焚き火が灯され、中には7人のダークエルフの老人達がいた。

 

 

 

「伊丹殿、クレイグ殿、谷殿。こちらにおられるのが我がダークエルフの7賢人……」

 

 

 

ヤオの紹介を無視して俺は族長の1人に歩み寄り、そのまま殴り倒した。

あまりにもいきなりだったのでその場にいたヤオや族長、更には周りのダークエルフ達が唖然となるが怒りを隠さず長老達を睨みつけた。

 

 

 

「………次に殴り倒されたいのはどいつだ?」

 

「なっ⁉︎……貴様⁉︎族長様になんということを⁉︎」

 

 

 

俺が殴り倒したことで周りのダークエルフ達が一斉に武器を構え、対する伊丹と谷もAKMSUを構えて一触即発の状態となる。

 

だが殴り倒した族長がそれを片手でダークエルフ達を静止させる。

 

 

 

「よいのだ……皆の者。武器を降ろすのだ」

 

「しかし⁉︎」

 

「この御方等の怒りはごもっともな事だ……武器を降ろすのじゃ」

 

 

 

族長にそう言われて若いダークエルフ達は渋々武器を降ろし始め、俺たちはいつでも攻撃出来るように構えたままになる。

 

 

 

「緑の人達よ。そなた等の怒りはヤオから聞いております。ダークエルフの族長として謝罪申し上げますぞ」

 

「ふざけてるのか?………テメェ等は自分達の助命の為に無関係で……炎龍に家族や仲間を殺されたテュカの心を壊した…それだけのことをしておきながら謝罪だけだと……ふざけるのも大概にしろ‼︎‼︎」

 

 

 

この目の前の老耄の言い草が癪に触り、奴の頭に銃口を突きつけたが、谷がそれを制した。

 

 

 

「エース、気持ちはわかるが落ち着くんだ」

 

「谷殿………でしたかな?」

 

「台湾軍所属の谷と申します。まずは言っておきますが、我々は貴方達を助けに来たのではありません。目的は自分達の仲間を救うべく炎龍を倒しに来た。自分自身もダークエルフの存亡などに興味は有りませんし、本音を言いましたら自分もあなた達を八つ裂きにしてやりたい気持ちです」

 

「皆様の怒りはご理解できましょうぞ……大事な仲間を陥れ、自らの利益になり得る成果を出す。義心や仁心溢れる方々ならば我々を恨まれても当然です」

 

「他人の心を土足で踏み荒らす奴等が今更道徳を語るのか?」

 

「知・慮を兼ね備える者ならば、危険に際し他人を見捨てることもありましょう。しかし仁と情を兼ね備える者ならば、知己の為に自ら危険に踏み入り、時に則を破りましょう」

 

「…………何が言いたいんだ?」

 

「例え如何なる不評を買おうとも、あらゆる手段を尽くすというのが我らが美徳……奸計大いに結構というのが我らの習わしなのです」

 

「随分とご立派な習わしだな………目的の為なら他人が幾ら死んでも構わないってんだから、何人お前等の身勝手さに犠牲になったか知りたいもんだ」

 

 

 

長老達の言葉に悪態をつきながら耳を傾けている。

 

 

 

「族長………自ら起こした行動に対する責任と代償は当然背負うべきであり、それを覚悟しなければいけない……例え死という結果であったとしてもだ」

 

「ヤオにも話しました。一命を懸けてでも贖罪するということなどただ楽になりたいが為に逃げるだけと………」

 

「それに……ヤオに手段を選ぶなと命じたのは他ならぬ我々なのです。本当の償いとは長く険しく重い………我らもこれまでに幾多もの犠牲を出しながら生きておるのは1人の罪を皆で償うため………だから我々は生き永らえておるのです」

 

「……………」

 

「緑の人達よ………確かに我々は申し訳ない事をした。許される筈などないことも自負致しております。されどどうか我等の心情も御理解いただきたいのです。それなりの償いもします故に改めて祈願致します。どうか我が一族を………我らダークエルフを御救いくださいお願い申し上げます」

 

 

 

そういいながら長老達は頭を垂れ、周りのダークエルフ達も武器を置いて跪いた。

 

その光景に俺たちは呆気にとられるも俺はため息を吐きつつ、構えていたM78を肩に担ぎ直し、族長達を見直した。

 

 

 

「………条件を3つ付ける」

 

「…………」

 

「まず炎龍討伐を手伝え。自分達だけ安全な場所で隠れてるだけなど許さん」

 

「無論です。最高の戦士を用意致します」

 

「次に伊丹だ。こいつは与えられた任務を放棄して勝手に抜け出したからかなり不味い立場にある。面目が立つ手段を掲示しろ」

 

「ちょ……エース……」

 

「まぁ見てな………んで?」

 

「炎龍に苦しめられておる国や部族は多い……共同で賞賛と感謝を贈るよう使者を送り出しましょう。さすれば面目も立ちましょうぞ」

 

「最後に………1つでも違えたりテュカが手遅れになった場合は炎龍討伐に使う武装を貴様等に使うことになる。それだけは覚えておけ」

 

「分かりました」

 

 

それから俺は伊丹達を連れてロゥリィ達が待つカーゴハンヴィーとM-ATVに戻った。

 

それから渓谷に隠れ住むダークエルフ達に召集が掛けられ、生き残ったダークエルフ達が集結した。

 

炎龍討伐前の宴が開かれて炎龍討伐に参加するダークエルフの若者であるクロウ、メト、バン、フェン、ノッコ、コムと女性のセィミィとナユが紹介され、次の日の朝に全員で炎龍の巣があるとされるテュベ山に向かった……………。




伊丹達がロルドム渓谷に到着した頃、炎龍の力を測定すべく航空隊は偵察任務を続けていた。そして国境付近でようやく発見して翼が混じり合うこととなる。

次回[バカ達の翼]
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