GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版 作:ウルヴァリン
伊丹達がロルドム渓谷に到着した頃、帝国とエルベ藩王国の国境付近上空にて航空隊が飛行していた。
「現在高度11,000。方位1-9-0。速度280kt。国境まであと10分、ターンヘディング………ナウ」
「了解」
<ホークウィンドー02、旋回する>
<ガーディアン01 Copy>
<ガーディアン02、Copy>
国境に近付いたことで旋回する神子田率いるホークウィンドー隊のF-4EJ改と空軍から派遣されたセルモンド・R・ロアン少佐率いる"ガーディアン"のF-4E。
彼等航空隊に与えられた任務は国境付近の偵察と炎龍の捜索、可能ならば巣を特定することだ。
アメリカ空軍は日本のファントムⅡと整備用パーツを共有できる利点を考え、マルチロール機を日本と同じくF-4Eとした。
「今日で3日目だ、いい加減見つけたいね」
<レーダーに引っ掛かってくれたらいいんだが、相手は生物だからな………どういう反応になるか想像がつかん>
「それはそうと神子田、分かってると思うが目的は戦力評価だ。闇雲に突っ込んだりするなよ?」
「分かってるよ。だが親父さんに頼んでASMかロケットを積んで来るんだった」
<相手は戦車並かそれ以上だっていう硬い奴なんだぞ神子田。久里浜、しっかりバカの手綱を握っておけよ?>
「うるせぇ………ん?」
<レーダーに反応。ガーディアン01、そっちはどうっすか?>
<こちらでも確認した。方位1-2-7、高度3,200>
「目標は方位1-8-8に向かって移動中、高度そのまま。距離は近いな……レーダー反応率がF-22並かそれ以下だ」
<追撃する。6時方向に回り込むぞ。見失わないように注意しろ>
レーダー反応があった方角に神子田は視線を向ける。すると小さいが赤い色をした飛行物体を確認した。巨大な翼に赤い身体………間違いなく炎龍だ。
「タリホー‼︎」
「特地甲種害獣ドラゴン……炎龍と確認」
「派手な色で優雅に飛んでやがるぜ………50km先からでもわかるな」
<空の支配者気分っすかね?>
<ガーディアン01だ。ガンレンジインサイト、どうする?>
「手の内を見せる必要はない。それに20mmの豆鉄砲が歯が立たん。やるならA-10がいるぞ」
<そうらしいな………じゃあさっさと始めるとすっか。加速して奴を挑発してやる‼︎ガーディアン01‼︎エンゲージ‼︎>
そういうとロアンのファントムⅡが速度を上げて一気に炎龍の頭上スレスレを通過。いきなりのことで炎龍は体勢を崩したがすぐ立ち直ってファントムⅡの追撃を開始した。
<ははっ‼︎やっこさん怒ってやがるぜ‼︎>
「くっそ〜………本当なら最初にやりたいもんだがな……」
「まぁバカは放っておいて………羽ばたきなんだが意外に速度があるな。しかも旋回半径がWWⅠの複葉機並かそれ以下だ」
<こちらホークウィンドー02、身体が自由に曲がるからなぁ……ドッグファイトは無理ですよ>
「そんな映画が昔あったよな?」
<近付かれたら終わりだ。次は急上昇からの急降下を測定する>
追いつかれないように速度をあげつつ一気にロアンは機体を急上昇させ、捻り込みで急降下すると炎龍も翼を畳んで急降下する。
翼を畳むことで風圧を抑えることとなり、今にも右手と牙でファントムⅡを捕らえようとしていた。
「チェックシックス‼︎食い付かれるぞ‼︎振り切れ‼︎」
<問題ない‼︎ファントム爺ちゃんがトカゲなんざに負けるかよ‼︎>
後方に迫る炎龍を地上すれすれで機首を上げて振り切り、対する炎龍も翼を広げてエアブレーキを掛けることにより激突を免れ、そのまま翼でホバリングして体勢を整える。
「ヘリ並の機動力にホバリング能力もあり。しかも頭も回るみたいだ」
「守護者、そっちの検査項目はおわりか?」
<あぁ。大体わかった>
「んじゃ‼︎今度はこっちの番だな…………A/B点火‼︎やってやるぜ‼︎」
ロアンのファントムⅡとすれ違い、今度は神子田と久里浜のファントムⅡが一気に炎龍に向かっていく。
航空自衛隊屈指の実力を有する彼等はエースという名前がピッタリであり、実際に彼等はファントムⅡを駆り模擬戦では世界最強のF-22を相手に勝利してみせたり、台湾動乱でもJ-20を含めた中国軍機を複数撃墜したりと実力のみで勝ち上がって来た撃墜王でもある。
向こう側では流石にF-4EJ改は退役したのでF-35Aを使っていたが、ファントムⅡに愛着がある神子田達はこの老兵が帰って来たことを喜んでいた。
「ドッグファイトってのは魂のぶつけ合いだ‼︎テメェがどんなタマか見せてみやがれ‼︎ウォオオオオオオオオオオッ‼︎‼︎‼︎」
そう勇敢に叫びながらシャークマウスが描かれたファントムⅡが炎龍とぶつかりあった……………。
……それから暫くしてのアルヌス基地滑走路。
「…………で……これか?」
青筋を額に描きながら帰還した神子田と久里浜を睨む整備班長。その滑走路には消化剤まみれとなったススだらけのファントムⅡ。そんな状態で整備班がよく持ち堪えたことや電装系パーツが総取り替えだと言っていたりしている。
「お前らは爺様を過労死させたいのか?アメさんがパーツ寄越してくれてるが、それも無限じゃないんだぞ?」
「し……しかし親父さん⁉︎あんの野郎‼︎ガチンコで火ぃ吐いたんスよ⁉︎火ぃ‼︎漢らしくねぇじゃないっスかドチクショウ‼︎‼︎………ギャンっ‼︎⁉︎⁇」
なんとも子供みたいなことを……そこに雷親父のゲンコツが神子田の頭に降り注がれた。
「バッカ野郎‼︎‼︎デケェトカゲ野郎にんなこと分かるか⁉︎だいたいメスかもしれんだろうが⁉︎」
「ぐぉおおっ……」
「お前ら滑走路3往復‼︎西元‼︎瑞原‼︎テメェ等2人もだ‼︎」
「「「「えぇええええええっ‼︎⁉︎⁇」」」」
「あ……相変わらず日本の整備班長ってのは怖いな……」
「まったくだ……触らぬ神に祟り無しってな……」
「因みに連帯責任だ‼︎アメ野郎共も一緒に走って来やがれ‼︎」
「「えぇええええええっ‼︎⁉︎⁇」」
結局ホークウィンドー隊とガーディアン隊の面々は滑走路を走らされることとなった。
因みに航空隊の印象なのだが全員が満場一致で‘‘バカ’’だということは言うまでもない……………。
龍が留守の間に巣に罠を仕掛ける谷達。地雷や爆薬を逐次セットしていき、その準備が終わった直後に炎龍が戻る。
暫しの睨み合いの中、ノッコがPG-7 VLを撃ち出したことで戦いの幕があがった。
次回[炎龍再戦]