GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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78:Hessu-amnt

炎龍により散っていくダークエルフ。

 

それに圧倒される伊丹達。

 

その一部始終を目を覚ましたテュカと防御魔法で守っていたレレイは見守っていた。

 

そしてテュカはコアンの森にて起こった炎龍襲来と親友ユノ、そして父親ホドリューが死んだことを思い出し、涙を流していた。

 

自分のせいで父親が死んだ。

 

あの時に自分も逃げずに立ち向かっていたらと自分で自分を責め、強大な力を持つ炎龍に戦いを挑んだことを後悔していたが、レレイがそれを振り向かずに否定した。

 

 

 

「わ……わたしのせいだ………わたしのせいで父さんは……ユノが……」

 

「それは違う」

 

「レレイ………」

 

「あなたの父と故郷を奪ったのは炎龍。あなたではない」

 

「でも……」

 

「伊丹達は間違っている。この先、永遠の時を生き続けるあなたにとって心の病など些細なこと。今そこにある問題をなんとかしなければと思うのは、命に限りがある人種の発想。

あなたは炎龍を倒せないと決めつけ、怒りを向け易い自分自身にむけた」

 

「だって……勝てる訳がないじゃない⁉︎あんなのにどうやって勝てばいいのよ⁉︎勝てないんだったら誰を呪ったらいいの⁉︎自分自身を呪うしかないじゃない‼︎」

 

 

 

炎龍に勝てない。

 

そうレレイに心を打ち明けたテュカを苦しめていたのは何を隠そうテュカ本人だった。

 

 

 

「私とて……こいつに故郷を奪われ、多くの友人を失った。そして私達は勝てるかどうかの分水嶺にいる。あなたは私があれを斃すのを指をくわえて見ていればいい」

 

 

 

珍しく口数が多いレレイ。

 

そういうと詠唱魔法を唱え始め、近くにあった剣を宙に舞わせて炎龍に加速をつけてから突き刺そうとする。

だが剣は炎龍の硬い鱗に遮られ、虚しく弾き返されてしまった。

 

そしてあることを思い出す。

 

それは伊丹と谷がC4爆薬を仕掛けた際に敷いていた剣の山。

理由として爆発の威力で炎龍の腹に突き刺さるようにということだが、そこにレレイは方法を見出した。

 

異世界に行った際に買った科学の本にあった連環円錐だ。

 

そして再び炎龍目掛けて剣を飛ばして、その途中で別の詠唱魔法を発動。

すると加速していた剣は柄の部分より爆発が起き、更に勢いを増して炎龍の鱗を貫通。

 

そのまま突き刺すことに成功した。

 

 

 

「刺さる………ふふっ……刺さる‼︎」

 

 

 

そして炎龍は攻撃を加えたレレイを睨みつけるが、今のレレイを見て脅威を感じ始めた。

 

 

 

「………ふふっ………ふふふふふ……」

 

 

 

不気味に笑い出すレレイ。

 

彼女が掲げた右手と左手に持たれた杖から魔力が溢れ出し始めるが水色の魔力をしている彼女から発せられているのは黒いものだ。

しかも今のレレイは笑ってはいるが眼が笑っていない。

 

殺意だ。

 

今のレレイからは炎龍に対する殺意が溢れるように体外に流れ出していた。

そして不気味な雰囲気を醸し出すレレイは両手を掲げて膨大な魔力を放出させ、辺りに散らばっていた刀剣類をこれでもかと何時くらいに漂わせる。

 

その見たこともない膨大な魔力もそうだが、まるで炎龍によって殺された人々の意思を持つかのような刀剣類が一斉に炎龍を狙い、炎龍もレレイという1人の少女に本能で恐れを抱いていた。

 

 

「クククククッ………死ね‼︎クソッタレのトカゲ野郎‼︎」

 

 

 

レレイが叫んだ瞬間、宙に舞っていた刀剣類が一気に加速して炎龍に迫り、次々と炎龍の身体を貫いていく。

その豪雨のような剣の嵐は比較的柔らかい炎龍の翼を破いていき、身体中に剣が刺さった状態で炎龍は痛みの呻きをレレイ達に聞かせることになった。

 

それを間近で見ていたテュカも目の前の光景に対して信じられなかった。

ドラゴンを斃すにはまず尻尾を奪って身体のバランスを崩させるか、翼を破壊して飛び立てなくするかの2つしか有効的手段がなく、レレイはその片方をやり遂げたのだ。

 

だが無理な魔力解放をしたのでレレイの魔力は枯渇。レレイはそのまま意識を手放した。

 

 

 

「レレイ殿⁉︎」

 

「魔法使いを頼む‼︎俺は奴を‼︎」

 

 

 

またとない好機と判断したクロウはレレイの保護をヤオに任せ、自身はカットラスにて炎龍に斬り込む。

だがそれでも炎龍の鱗は硬く、何とか突き刺すことには成功したが炎龍のブレスがクロウを襲った。

 

 

 

「ぐあぁああああああっ‼︎⁉︎⁇」

 

「クロウ⁉︎クロウ⁉︎」

 

「やめろ行くな‼︎」

 

「放してくれ伊丹殿⁉︎クロウが⁉︎」

 

「奴は死んだ‼︎死んだんだ‼︎」

 

「まずい………奴がこっちに気付いた⁉︎」

 

 

 

ヤオを除いて最後のダークエルフだったクロウもブレスの前に命を散らし、必死に助けようとするヤオを伊丹が腕を引っ張って引き止める。

だが辛うじて致命傷を免れた炎龍が伊丹達を見つけ、それに気付いた谷は洞窟に逃げるようみんなに促すが、総てを終わらせようとブレスで焼き払おうとする。

 

 

 

「お父さんが………みんなが死んじゃう⁉︎」

 

 

 

目の前で再び仲間が死ぬかもしれない。その光景にテュカは何かを決意し、両手に魔力を集中させると………。

 

 

 

「あぁあああああああああああっ‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

電気を発する魔力を炎龍の頭上……デュマ山上空に打ち上げた。

その瞬間、デュマ山上空に分厚い黒雲が広がり、そこから地上に放り注ぐ高密な雷。だがその雷は炎龍にのみ降り注ぎ、身体中に突き刺さった刀剣類が避雷針ともなり、炎龍は苦しみ悶え始めた。

 

異世界において天災だった炎龍の終焉の瞬間だった……………。

 




レレイとテュカの魔法で炎龍を倒したエース達。崩れていく洞窟を脱し、外で負傷したロゥリィと猊下と呼ばれるジゼルがあった。
そしてジゼルにより口にされた真実にエースは今までにない怒りをジゼルにぶつける。


次回[邪神と猊下の戯言]
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