GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版 作:ウルヴァリン
伊丹達を追う新生龍に命中した2発のAAM-3、それは神子田が率いるホークウィンドー隊によるものだった。
いきなりの攻撃で低空を飛行していた新生龍は地面に叩きつけられ、それに関羽隊が立て続けに攻撃態勢を整えて高度を落としていた。
<よっしゃぁああっ‼︎命中したぞ‼︎>
<こちら関羽01‼︎ガンレンジインサイト‼︎>
<ガーディアン01‼︎ガンレンジインサイト‼︎ガンズ‼︎ガンズ‼︎ガンズ‼︎>
ホークウィンドー隊に続いて関羽隊のF-5EがM39A2 20mmリヴォルヴァーカノン。ガーディアン隊のF-4EがM61A1 20mmバルカンで更に釘付けとする。
<ルーデル03からトールハンマー。ターゲットが動きを止めた。榴弾をたんまりぶち込んでやれ>
<こちらトールハンマーFDC。了解したルーデル03。これより砲撃を開始する…………トールハンマー指揮官から全隊‼︎方位301‼︎座標013-351‼︎榴弾装填‼︎測射開始‼︎>
OA-10Aを操るライトニング03の指示を受けた砲兵隊のトールハンマーが全部隊に砲撃を指示し、待機していた自衛隊の75式155mm自走榴弾砲と海兵隊のM777 155mm榴弾砲、台湾陸軍のT65 155mm榴弾砲が砲撃を開始し、新生龍に榴弾を次々とぶち込んでいく。
自衛隊と海兵隊とは違って台湾軍のT65は第2次大戦より使用されているM114だ。命中精度は見劣りがある。
だが台湾軍の砲撃技術は非常に優秀で、"砲撃の神兵"とも云われていて自衛隊やアメリカ軍も台湾軍砲兵隊には敵わないと口にしている程だ。
放たれた榴弾は曲射を描きながら地上に動けないままの新生龍に降り注いだ。
<こちらルーデル03‼︎目標に命中確認‼︎頭八咫烏‼︎そっちはどうだ⁉︎>
<確認した‼︎初弾命中確認‼︎座標修正の必要なし‼︎効力射‼︎>
<こちらFDC了解だ‼︎英雄3人達は確認出来るか⁉︎>
<弾着地点より500m下がった斜面にて確認‼︎生きている‼︎>
<了解だ‼︎ヘリ部隊を前に出させてくれ‼︎>
<了解だFDC‼︎頭八咫烏からハンター1‼︎目標赤‼︎ハンター2は目標黒‼︎>
<了解した頭八咫烏。目標赤、発射用意。ミサイル発射‼︎>
砲兵隊による続いていた砲撃が停止すると、低空にて待機していた自衛隊のAH-1SからBGM-71が発射された。
発射されたTOWはまっすぐ新生龍へと向かっていき、直撃を喰らい続ける新生龍は徐々に動きを弱めていくが攻撃はまだ続く。
<こちらルーデル01‼︎トドメは任せろ目標捕捉‼︎爆弾投下‼︎>
砲兵隊による砲撃、コブラによるミサイル攻撃に続いて最後の仕上げとして待機していたルーデル隊のA-10Aが急降下を開始。
Mk84低抵抗汎用無誘導爆弾が投下されて機首を上げて急上昇。
投下されたMk84はしっかりと新生龍に命中し、辺りに瓦礫を振りまいた。
この一撃で新生龍は身体中をバラバラにされて死骸となって横たわり、ジゼルはいきなりの状況に瓦礫に埋もれながら震えていた。
「な………なんだこれは……これが……エース・クレイグの力だっていうのか⁉︎」
新生龍であるが炎龍の子供を瞬く間に撃破されたことをエースの力だと誤解するジゼル。だが彼女にとってまだ続きがあった。
「ジ〜ゼ〜ルゥ〜。どこにいるのぉ〜?」
「げっ……お…お姉様………」
「幽閉してあげるからぁ……出てらっしゃあ〜い」
ジゼルはロゥリィの幽閉という言葉に恐怖を抱いた。
ジゼル達の世界にはかつて陞神するまで身体をバラバラにされて各地に埋められた禍神や同じくバラバラにされ、獣に腸や内蔵を食われ続けた神も存在している。
幽閉とは即ち"不死者に対する残酷を極めた拷問"だ。
見つかったら間違いなく幽閉されることを知ったジゼルは大鎌を手にして見つからず、迅速にその場を離れた。
新生龍撃破後、次々と到着する騎兵隊を眺めながらエース達は若干の放心状態となっている。
「………終わったな……」
「あぁ………みんなの仇は取ったんだよな……」
「えぇ………」
「もぅ俺のこと父さんなんて呼ぶんじゃないよ?」
「…………嫌」
「どして?」
「だって言い慣れちゃったんだもん」
「…………そっか」
今まで通り伊丹のことを父親とすると公言するテュカ。炎龍を倒して父親や友達の仇を取ったことで吹っ切れたようであり、表情はかなりすっきりしたものとなった。
それをエースは肩にもたれ掛かりながら疲れて眠っているミオの頭を撫でていると、何かに気がついたロゥリィがエースに近付いた。
「エースゥ。あなたジゼルと戦って善戦したみたいねぇ。ヒトなのに亜神と戦うなんて無茶なことなのよぉ」
「みたいだな………お陰で左腕を負傷したし、危うく死にかけたからな」
「左腕に傷なんてないわよ?」
「なにいってんだ?こんなにパックリと………あれ?」
ロゥリィの言葉に指摘されたエースは自身の左腕を確認する。
本来ならば縫わなければならない傷口だったのだが、エースが触るとそこには傷口などなく、裂けた服だけだ。
しかもよく見ると身体中の傷が全て消えており、まるで最初から怪我などしていなかったような綺麗な状態となっている。
この異様な状態にエースは慌ててロゥリィに問いかけた。
「ちょっ⁉︎ロゥリィ⁉︎まさか伊丹と同じように俺も眷属にしたんじゃないのか⁉︎」
「いつ私があなたに噛み付いたのよぉ?」
「そういえばエース、お前いつ右腕に刺青なんかいれたんだ?」
「し……刺繍?」
今度は谷が見つけたのですぐにエースは確認した。
そこには小さいが確かに刺繍が描かれており、女性のシルエットに背中から肋骨が飛び出たような不気味な刺繍だがエース本人にまったく心当たりがない。
するとロゥリィが再び話しかけて来た。
「エースゥ……ジゼルと戦ってた時に何か変なことなかったぁ?」
「変なこと………そういえば声が聞こえたな……".純粋な復讐心"とか"あなたにしましょう"とか………」
「なるほどねぇ……あいつならやりかねないわ。その声の後に力が湧き出てきたでしょ?」
「確かにそうだが………」
「あなた………パラパンに気に入られちゃったみたいよぉ」
「パラパン………確か復讐の神だったような……………ちょっと待て……気に入られちゃったってどういう意味だ?」
「一言でいえばあなたも不死者……亜神になっちゃったってことよぉ」
「…………なに?」
エースは復讐神パラパンに気に入られて、その亜神になってしまったと話すロゥリィ。彼女によると復讐神パラパンは復讐と祈願成就、天空を司る神で彼女の亜神になるには純粋で綺麗な復讐心が必要という。
だが信徒ではないエースは慌てて否定した。
「いやいやいやいや⁉︎冗談じゃないぞ⁉︎そもそも俺は信徒でもない以前にこの世界の人間でもないんだ‼︎んなもん返すからどうにかしてくれ⁉︎」
「私に言われても困るわぁ。それにそういうことは本人に直接いいなさいよぉ。パラパンの神殿は氷雪山脈の更に奥にあるわぁ」
「………行けない距離だ……」
「にひひっ………仲間仲間♪……ぎゃんっ⁉︎」
「うっせぇ‼︎はぁ〜………」
自分と同じ人間が出来たことに嬉しがる伊丹にエースは即座に拳骨を降らした。
それから回収部隊がエース達と戦死したダークエルフ達の遺体と炎龍の首を回収し、そのままアルヌス基地へと帰還。勝手な行動をしたことにより3人は身柄を拘束されて暫く営倉へと放り込まれた。
炎龍討伐により物語は新たな局面を迎えた……………。
軍の方針に著しく違反したエースは今回の事案で軍事法廷への出廷を命じられる。2度と伊丹達に会えなくなることを覚悟するが、結果は意外なことになる。
次回[旅の後]