GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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第3章:動乱編
83:フェンリル


2週間における停職があっという間に終わり、復帰した俺たちはそれぞれの部隊に回された。

 

日本、アメリカ、台湾の他にイギリスとオーストラリアを加えた混成深部調査大隊"ノア"は各国の選抜された3名ずつ計15名の隊長を軸に現地協力者4名と共に本隊とは別行動をして資源調査や帝国に対する偵察を行なう。

書類上の規模は大隊となってはいるが連合の隊員数は50人弱と少なく、寧ろ小隊ほどしかいない。

だが大隊になった理由は民間からの協力者が多く、地質学者や歴史学者、生物学、宇宙学など様々な分野のエキスパートが集まって特地側と地球側にそれぞれ所属している人間がいるので大隊規模にまで膨れ上がった

 

伊丹は自衛隊の第1中隊の第1チームを指揮し、メンバーはテュカ、レレイ、ロゥリィとヤオを引き続き連れて、谷はルフスに加えてダークエルフ、ドワーフを雇い入れて台湾の第3中隊の第2チームを任された。

俺も第2中隊の第1チーム"フェンリル"を任されて、今はイタリカから北東方面を移動していた。

 

 

 

「いい天気だ。行軍には最高のコンディションだな」

 

「そうですね♪日向ぼっこをしたくなります♪」

 

 

 

フェンリル隊で武器や当面の生活必需品を積載したクーガーHEの助手席にて晴天の暖かさを満喫するミオ。

この隊にも他の部隊と共にミオを含めた4人を雇用しており、伊丹達と谷達と共にイタリカでの晩餐会に出席。

そこでメイドの仕事でイタリカに戻っていたミオを回収して伊丹は北で谷は西側へと向かい、俺もそのまま帝都に向かうように東へ向かう。

 

 

 

「お前達も乗り心地はどうだ?」

 

「少し狭いが荷車よりかは乗り心地はいいな」

 

「そうだニャ♪」

 

「一度は乗って見たかったところだが、乗り続けると尻が痛くなりそうだ」

 

 

 

クーガーHEを操縦しながら座席に座る3人に話しかける。

俺が雇ったのは龍人族の青年で名前はヴァルキル。戦士にしては珍しい素手で戦うモンクであり、赤い皮膚が表すように拳に炎を魔法で纏わせることが出来るらしい。

 

その隣にいるのがキャットピープルのシャム。腰に身につけた短剣が表すよう素早さの他に医学にも精通した衛生兵で怪我や病気においては彼女の出番となる。

 

銃座にてM2重機関銃を構えているのが傭兵のフォルア・ラー・クァンジュ。背中に背負っている弓の実力もそうだが優秀な斥候でもあるみたいだ。

因みに彼はアルヌス攻防戦にも傭兵としてアルグナ国に雇われていて、契約解消後に暫くしてからアルヌス街にやってきたらしい。

 

 

 

「しかし、炎龍退治に向かって生きて帰って来た人間と共に行動するとはな………世の中分からないものだ」

 

「ホントニャ♪しかも炎龍も倒しちゃうだにゃんて凄いニャ♪」

 

「はっきりいってギリギリだったがな……もし単独だったら間違いなく今頃は炎龍の腹の中にいるし、あれは伊丹達がいたから成し得たことだ」

 

「しかし旦那等の力って間違いなく帝国を簡単に殲滅できるだろうし、手間取ったとしても1ヶ月位で達成するんじゃねぇのか?」

 

「かも知れん。だが俺等の力は本土の戦闘力に比べたら微々たるもんだ。もし本気なら最初の1週間で帝都を制圧してるさ」

 

「………本気でそうなりそうだな」

 

「そうだ………ところでミオ。次の街までどの位だ?」

 

「はい。この速さでしたら到着は夜になってしまいます。途中で小さな村がありますからそちらで宿を探された方が宜しいかと……」

 

「分かった。だったらこの辺りで休憩だ。幸いにも川があるから魚でも釣って昼飯にしよう」

「やった♪お魚は好物ニャ♪」

 

「流石はキャットピープル………魚になると目の色が………んっ?」

 

「ご主人様………こちらに近づいて来る一団があります」

 

 

 

昼飯にしようと車を停めようとした矢先、離れた場所にこちらへ向かって来る砂けむりを見つけて双眼鏡で確認する。

 

 

 

「………盗賊団だな」

 

「うむ……さらにはこちらに気が付いている」

 

「付け加えたら全員が剣や槍を構えてこっちに向かって来てるぜ」

 

「ふぅううっ………お昼ご飯の邪魔されたニャ」

 

「ご主人様……如何いたしましょうか?」

 

「戦闘用意。引き返してくれるんだったら問題ないが、戦闘になったらなるべく懐に飛び込んでから仕留めろ。道中は長いんだからな」

 

 

 

そういいながらクーガーHEを停車させ、俺はM27 ICCに初弾を装填。ミオも握り拳から爪を出現させてヴァルキルも魔法で拳に炎を纏わせる。

シャムも毛を逆立たせながら短剣を両手に持ち、フォルアも弓を手にする。本来ならば可能な限り戦闘は避けたいが向かって来るなら仕方がない。

 

だけど警告だけはしておいた方がいいだろう。

俺は増設してある拡声器を取り出して騎馬隊に警告する。

 

 

 

「接近中の騎馬隊に警告‼︎こちらに敵意はない‼︎直ちに引き返せ‼︎さもなくば戦闘も辞さない‼︎」

 

 

 

警告をしてみるが騎馬隊はスピードを緩めずこちらに接近してくる。

もう一度やろうとした矢先、俺に目掛けて弓矢が飛んできたが素早く反応して掴み取った。

 

 

 

「撤退する気はなしか……いい腕をしてるってのに勿体無いな」

 

「旦那の警告が逆に煽っちまったんじゃねぇか?」

 

「そのようだ……接近する騎馬隊を敵と認定。こちらの存在を知らせる訳にはいかなくなった。速やかに殲滅するぞ」

 

「御心のままに……」

 

「ヴァルキルとシャムで先陣を切って敵の陣形を乱してくれ。フォルアはここから防矢で止まった奴を狙い撃て。ミオは俺と一緒に畳み掛けるぞ」

 

「承知した」

 

「ふぅううっ‼︎ご飯を邪魔された恨みを晴らしてやるニャ‼︎」

 

「殲滅しちまっていいんだな?」

 

「構わない。それに雰囲気から察するに奴等はかなりの村を襲ってる。容赦してやる必要は全くないからな?」

 

 

 

敵の殲滅を指示するとヴァルキルとシャムが駆け出し、接近中の騎馬隊の間を縫うように駆ける。

だがしっかりと敵を仕留めていき、ヴァルキルのストレートで敵は巻き込まれながら吹き飛び、シャムは敵の声帯を切断していく。

フォルアも足を止めた敵の額に次々と弓矢を放ち、その放たれた弓矢は一寸も狂わず眉間の中央に命中していく。

 

 

 

「あいつら……見込んだ通りいい動きをしてるな」

 

「はい。一癖も二癖もある方々ですが、味方なら心強い方達です」

 

「だな……俺等も向かうぞ。さっさと片付けて移動しなきゃならないからな。俺の背中を任せたからな」

 

「はい。ご主人様に私めの背中をお預け致します」

 

「ふっ…………さぁ行くぞ‼︎」

 

 

 

そういいながら互いに背中を預けた俺とミオも混乱している盗賊団に突撃する。この後に盗賊は何の抵抗も出来ないまま排除され、死体はそのままにしてクーガーHEに乗り込み、その場を後にした。

 

銃を使っていないから仮に帝国兵が発見したとしても別の騎士団や傭兵団が排除したと勘違いしてくれるだろう。

 

リーパー隊を離れたことには少し寂しいが、負けず劣らないこいつらと仲良くやっていきたい。

そう感じながら俺はハンドルを手にアクセルを踏んだ……………。

 

 




イタリカから西に進んだ谷率いるアズラエル隊。仲間の案内を受けて廃坑を調査していたが、その終盤に厄介な奴等の歓迎を受けることになった。


次回[アズラエル]
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