GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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84:アズラエル

イタリカでの晩餐会に出席した俺たち混成深部調査大隊第3中隊第2チーム"アズラエル"はイタリカの北側にある山岳部と向かった。

アルヌス周辺は警戒部隊や現地の住民で構成されているアルヌス警邏隊がしっかりと固めていて、帝国主戦派の偵察隊や盗賊の出現を許さない。

 

だがこちらの勢力圏を出てすぐの溪谷にて事態は変わった。

 

 

 

「おいおい⁉︎ここには何もいないんじゃなかったのかよ⁉︎」

 

「儂が知るか⁉︎30年前に来た時には何もおらんかったんじゃ‼︎」

 

「んな大昔なこと役に立つかよ爺さん⁉︎」

 

「黙らんか若造‼︎」

 

「くだらない漫才なんて後にして走れ‼︎追いつかれるぞ‼︎」

 

 

 

資源調査にて俺たちが古い廃坑に入って、そこで標本サンプルを採取していたらいきなり俺たちを追いかけて来ている蟲と呼ばれる化け物が地中から出現してきた。

 

この蟲というのにはカマキリ型やコウロギ型、ゴキブリ型などがいて、今俺たちを追いかけてきているのは大型犬ほどの大きさをしたアリ型だ。

1匹や2匹だけだったら問題ないのだが、それが10匹以上の団体で来たから逃げるしかない。

 

しかし俺は時々振り返ってウォーハンマーを担ぐドワーフ族の老人テキラとリンドン派の杖を持つ魔導師のアブ・ソル・ベントを我が軍の最新小銃でもあるXT112で援護し、先頭にいた殺人アリの頭部に徹甲弾を撃ち込んで仕留める。

だが奴らの装甲はかなりの強度と跳弾性があるようで、徹甲弾を連射しても最初の数発は弾き返されてしまった。

しかしそれで脆くなったのか最後の何発かが貫通してそのまま動かなくなった。その間にも奴らの数は増える一方であり、その1匹を仕留めたらすぐに逃げる。

 

アリは口から粘着性の高い液体を吐き出して俺たちを捕まえようとするが、幸いにも岩に当たってくれたので難なく外に出た。

 

 

 

「どうした?」

 

「車に乗れ‼︎後ろから熱狂的ファンが来やがるぞ‼︎」

 

「あれ……アンツィ……」

 

「アブ‼︎運転頼んだ‼︎」

 

 

 

外で待っていたルフスと子供位の身長で紫のフワリとしたロングヘアのラエルノアをM1152カーゴハンヴィーに押し込み、アブが運転席に飛び乗るとすぐにアクセルを踏み込み一気に速度を上げて坑道から離れる。

 

 

 

「坑道から出すかよ‼︎ラエル‼︎AT-4を‼︎」

 

「………うん」

 

 

 

このままアリを外に出すわけにはいかないので、俺はラエルに指示を出し、彼女はハンヴィーの側面に積載していたM136 AT-4CSを構えて発射スイッチを押した。

 

バックブラストを抑える為の塩水が後ろに吹き出し、84mmHEAT弾が坑道内部に命中し、そのまま坑道は崩落を始めて外に出ようとしていたアリを纏めて下敷きにした。

 

危機を脱したのを確認したらXT112のマガジンを取り外してから即席ラックに取り付け、ブッシュハットを脱いで一息つくとルフスが顔をヒョコと出しながら話しかけて来た。

 

 

 

「谷、目的のものはあったか?」

 

「あぁ。廃坑はもう使えないが、サンプルの鉱物は入手できた」

 

「しかし谷。こんなダイヤの出来損ないに価値などあるのか?」

 

「この世界じゃあコバルトの加工なんて出来ないからな。だが俺たちの世界ではレアメタルなんて呼ばれてる位に貴重なもので、結構な金額で取引されるんだ」

 

「じゃったら谷よ。儂の生まれ故郷の鉱山の放棄場に山積みになっとるぞ」

 

「また蟲が出るんじゃねぇのか爺さん?」

 

「誰が爺さんじゃ若造‼︎それにまだ鉱山は使っとるから問題はないのじゃ‼︎」

 

「テキラさん。その故郷はどこに?」

 

「それが問題なんじゃ。場所はリィグゥ公国の西側にあるマルツァーというとこなんじゃが、距離が離れ過ぎとる」

 

「確かに遠いな……」

 

 

 

テキラさんの言葉にアームバンド式マップケースを開けて地図を確認する。

確かに地形は複数の山脈を超える必要があり、とてもではないが陸路では行ける距離じゃない。

 

だが重要な手掛かりにはなるのでマルツァーという名前の場所に有力な場所を意味する黄色で丸を書くと、今度はラエルが顔を出してきて、頭頂部を少し突き出した。

 

 

 

「………どうかしたかラエル?」

 

「……さっき外さないで当てた………だからご褒美……」

 

「ご褒美って………それでなんで頭を?」

 

「谷………ご褒美にラエルの頭…ナデナデする」

 

 

 

ご褒美って………確かにラエルが放ったAT-4はしっかりと廃坑を破壊したから褒美代わりとしてなら安いもんだ。望みを叶えてあげてラエルの頭を撫でてやると、ラエルと気持ち良さそうに目を細める。

だがラエルの頭を撫でているとルフスが後頭部を軽く小突き、彼女を見ると何だか不機嫌そうな雰囲気を出していた。

 

 

 

「……………」

 

「ど……どうしたんだ?」

 

「知らん………ふん」

 

 

 

あからさまに不機嫌になったルフスは後部座席の端に座り、暫く口を開かなかった。

仕方がないので暫く走行して休憩中に頭を撫でてやったら少し機嫌を直してくれた……………。

 




エース達と分かれた伊丹達。だが立ち寄った街にてレレイが謎の流行病に感染して倒れてしまう。
レレイを救い出す為、伊丹達が薬を探しに向かい、テュカは残ってレレイの看病をする。


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