GATE 連合特地派遣団 彼の地にて斯く戦えり リマスター版   作:ウルヴァリン

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87:平和を望むなら備えよ

帝国にて発生したモルト皇帝毒殺未遂。幸いにも命を落とさずに済んだが皇帝は意識不明の重体に陥った。

その隙を突くかのようにゾルザルが主戦派を率いて軍事クーデターが発生し、講和派への取り締まりを短期間で強化していた。

 

その情報はタスクフォース サーヴァントによって齎され、事の重大さを感じた本居は緊急3カ国首脳会談開催を開いた。

 

 

 

「みなさん、特地にてクーデターが発生したのは情報通りです」

 

<あぁ。ゾルザル筆頭の主戦派が動いたか>

 

<それで……オプリチニン……でしたか?>

 

<周、オプリーチニナだ>

 

「はい。現地の言葉で"皇帝の主権及び権威を擁護回復する為の委員部会"の略称とのことです」

 

 

 

緊急なのでテレビ電話での会談となるが、情報の共有は迅速にされている。今回は緊急性が高いということもあって今後の動きはまず日本、アメリカ、台湾で基本形態を話し合い、その後にそれぞれが分担してオブザーバーの国々と調整して最終的に決めることとなる。

 

 

 

<ゾルザルのクソはこれを使って講和派を抑えるつもりだろう>

 

「はい。帝都全体に戒厳令と夜間外出禁止令を出しているようで、逮捕者も出ているようです」

 

<使節団の安全は確保されているのですか?>

 

「今のところは大丈夫です。しかし問題はこのオプリーチニナです」

 

<確かに……情報によればこの特別法では帝権干犯か否かを委員会自体で主観的に判断できるとなってる>

 

<要約すれば証拠が無くて冤罪であったとしても強制捜査や逮捕が出来るということです。つまり文句どころか疑問を抱くことすら出来ない監視政治になる>

 

「はい。まさに中国共産党と全く同じです。更にオプリーチニナの構成員は主戦派貴族と軍人を中心に増加中です。その中には先日解放した銀座事件の逮捕者も確認されました」

 

<本居、確認された奴等の顔写真を提供してくれ。そいつ等は捕まえ次第すぐに射殺すべきだ>

 

<総理、こちらも顔写真をお願いします。全軍に通達して絶対に縛首にしてやります>

 

「分かりました」

 

 

 

本居、ディレル、周はオプリーチニナに嫌悪感を明確に示す。オプリーチニナがやっていることは旧ソ連のNKVDや中国共産党人民委員会と全く一緒だ。

戦時中では一般兵を無駄に突撃させて、一歩でも下がった人間の背中を撃つ。自分達の考えや方針に少しでも疑問を抱いたら適当な理由をつけて逮捕して人権を一切無視した尋問や拷問、処刑が黙認されて独裁を強めていく。

 

かつての台湾独立戦争でも中国兵が子供を攫って身体に爆弾を巻きつけたり、ウクライナ戦争でもロシア軍が返還された捕虜を国家反逆罪を偽って銃殺にしたりとやりたい放題だ。

 

すると本居に部下が耳打ちし、それを聞いた本居は顔をこわばらせながら口を開いた。

 

 

 

「………狭間陸将からです。オプリーチニナによる講和派への弾圧が開始されたそうです」

 

<もうか……早すぎる>

 

<奴等は最初からそのつもりで準備していたのでしょう>

 

「現地の情報によれば既にかなりの数が逮捕されていて、少しでも反抗したら女子供問わず殺害しているとのことです」

 

<なんてことを……>

 

<本居、講和派の救出はするのか?>

 

「今はやめておいた方がいいでしょう……悔しいですが下手に救出すれば主戦派に講和派が売国奴であるというこじつけを事実化させてしまいます」

 

<確かに……だが本居、このままいけば奴等は見境を無くして使節団に牙を向けるのは時間の問題だ。動けるようにはしておいた方がいい>

 

 

 

主戦派の予想よりも早い行動に忌々しく感じる。

 

 

 

「無論です。自衛隊には既に厳戒態勢を命じて何かがあれば動かせます」

 

<我が軍でも増援をすぐに送る>

 

<我々もです>

 

「はい。このままでは交渉は間違いなく不可能となります。私としては事前協議にて取り決めていた4101号の発令を検討しなければならないと思いますが、如何でしょうか?」

 

<賛成だ>

 

<私もです。主戦派にまだ良心があることを願いたいですが、ここまで来たら絶望的でしょう>

 

「では全部隊に厳戒態勢発令を。その後にオブザーバーへの状況説明と協力要請をしていきましょう」

 

 

 

それから緊急会談は数時間に及んで決議され、当面の方針では全部隊に厳戒態勢は発令されるが様子を窺って、講和派の保護も現段階では執り行わない。だが何かあればそれは主戦派が暴走したということを意味し、交渉は失敗に終わったことを示す。

 

そうならないように願いたいが戦端が開かれるのはほぼ確実ということで"4101号"発令も視野にいれることとなった……………。

 

 

 




近づく本格的開戦。アルヌス航空基地でも慌ただしく増強をしていた。来るべき作戦に備えてアルヌスに戻って来たヴァローナ隊は滑走路にて戦力増強にて再び空に舞うことになった老兵を見つけ、戦争の混沌を危惧し始める。


次回[グランパ ホームカミング]
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