モブキャラのはずの俺が破壊神のナホビノってマジか?   作:兵庫人

1 / 3
今更ながら「真・女神転生5」のシヴァを倒して仲魔にできて、そのテンションで書いてみました。


第1話

 彼、不動カイがアニメやネット小説で根強い人気がある異世界転生を自分も体験していると気づいたのは、つい先程であった。

 

 学校が終わった放課後。クラスメイトに誘われた不動は最近「化け物が出る」等の噂があるトンネルで、自分を誘ったクラスメイトがトンネルに入っていく様子をスマートフォンのカメラで撮影していた時にこう思った。

 

(……あっ! これって『真・女神転生Ⅴ』のプロローグだ……!)

 

 真・女神転生Ⅴのプロローグでは、ロウルートの重要人物である「太宰イチロウ」がネット配信のネタ欲しさに怪しい噂があるトンネルの取材をして、丁度その時に魔界への転移が起こる。それによって太宰イチロウと偶然居合わせたゲームの主人公、カオスルートの重要人物の三人が魔界へと転移するのだった。

 

(確かあのイベントでは太宰と一緒にモブキャラの男子生徒も一人いたけど、それって俺のこと? 嘘だろ?)

 

 自分が異世界転生をしていると気づくと同時に前世の記憶を思い出した不動は、自分をここまで誘ったクラスメイトでありロウルートの重要人物である太宰イチロウをスマートフォンのカメラで撮影しながら内心で大量の冷や汗を流す。

 

(ゲームで太宰と一緒にいた男子生徒って、結局どうなったんだ? ……い、いや! 今はそれより先に逃げないと!)

 

 あのイベントの後、太宰と一緒にいた男子生徒がどうなったか不動は覚えていなかった。しかし真・女神転生Ⅴだけでなく女神転生シリーズでは一般人が悪魔に襲われてあっさり死ぬ展開はよくあり、彼はそんな展開から逃れるためにここから離れることを決める。しかし……。

 

「そこで何をしている!」

 

「っ!?」

 

 不動がその場から離れる前に、トンネルの向こう側から一人の男の声が聞こえてきた。彼が反射的に声が聞こえてきたトンネルの向こう側を見ると、そこには不動と太宰と同じ学校の制服を着た、意志が強そうな表情の眼鏡をかけた男子生徒の姿があった。

 

 敦田ユヅル。

 

 カオスルートの重要人物で、彼の登場こそがプロローグのイベント開始の合図であることを知っている不動は思わず顔色を青くする。

 

「あ、敦田……! ちょ、ちょっと待……!?」

 

 敦田の姿を見た不動が何かを言おうとしたその時、突然大きな地震が起こり、立っていられなくなり地面に倒れた彼は、少し離れた場所に自分と同じ学校の制服を着た青年の姿を見つけた。その青年こそが真・女神転生Ⅴの主人公であり、主人公の青年を見て不動は舌打ちする。

 

「ちっ! やっぱりイベントからは逃げられないのかよ!」

 

 そこまで言ったところで不動は目の前が真っ白になり、次の瞬間に意識を失った。

 

 ☆

 

「うう……。ここは……?」

 

 不動が意識を取り戻して目を覚ますと、彼は見渡す限りの砂漠で一人倒れていて、立ち上がって周囲を見回した不動はひきつった笑みを浮かべた。

 

「はは……、マジかよ? マジで俺、『魔界』に来たのかよ?」

 

 魔界。そこは文字通り悪魔が存在する異界。

 

 その正体は二十年前に神と悪魔の大決戦によって滅びて魔界と化した「東京」で、今まで人間達が暮らしていた東京は二十年に神の奇跡によって創られた偽りの東京であった。

 

「これからどうしよう……。このままだといつかは悪魔の餌食に……そうだ! 主人公だ!」

 

 自分がいつ死んでもおかしくない魔界に転移してしまったことに途方にくれる不動だったが、自分が助かる可能性に気づき大声を出す。

 

 プロローグのイベントで魔界に転移した主人公は、悪魔に襲われたところで「アオガミ」という神造魔人と出会い、合体することで悪魔と戦う力を得ていた。だから主人公と合流することができれば自分も助かるかもしれないと不動は考える。

 

「そうと決まったら主人公を探して……って、アレ?」

 

 光明が見えた不動は早速主人公を探そうと再び周囲を見回すのだが、そこで彼は気づいてしまった。

 

 自分の近くに主人公の姿どころか、「トンネル」すらないことに。

 

 魔界に転移した主人公と太宰は最初、転移する前にいた場所によく似たトンネルにいたのだが、現在不動がいる場所の近くにトンネルの影も形も見当たらなかった。どうやら魔界に転移した際に、不動は主人公と太宰から離れた場所に送られたらしく、その事実に彼は膝から崩れ落ちる。

 

「い、いやいや……。待ってくれよ? 流石にこれはないって……。悪魔と戦うチート能力も無しで主人公と離れた場所に転移とか。世界はどれだけ俺を殺したいんだよ? 俺、何かしたか?」

 

 生きる望みを絶たれ、絶望に染まり今にも泣き出しそうな表情となった不動はしばらくの間、膝から崩れ落ちた体勢のまま彼方を見つめていたのだが、ふと何かに気づいて立ち上がる。

 

「……? 何だ? 今のは?」

 

 何かに呼ばれたような気がした不動はゆっくりと砂漠を歩き、やがてある場所にたどり着くと両手で地面を掘り始めた。

 

 一体誰が自分を呼んだのか? 一体自分は何をしているのか?

 

 不動も全くわけが分からないが、それでも彼は自分の手が傷だらけになろうと構わずひたすらに地面を掘り続けた。すると地面の中から綺麗な四角形の小さな金属の塊が出てきた。

 

「何だコレ? ……もしかしてコレが俺を呼んでいたのか? ……っ!? う、うわっ!」

 

 地面から金属の塊を掘り出した不動は、土まみれになった手を金属の塊に向けて伸ばす。すると彼の指先が金属の塊に触れた瞬間、金属の塊と不動の身体が強い光に包まれ、光がおさまると彼の姿は大きく変わっていた。

 

 今の不動は全身が青を基調としたボディスーツで覆われ、顔には両目と額の部分に青白い光を放つ眼があるだけの仮面があり、右手の甲には黄金に輝く三叉の槍の穂先が一体化している姿をしており、自分の身体が大きく変わったことに気づいた彼は思わず大声で叫ぶ。

 

「な……! 何じゃこりゃーーー! 一体どういうことだよコレ!? 何で俺が全身タイツの特撮ヒーローみたいになっているんだ……うぐっ!?」

 

 大声で叫んでいた不動は突然強い頭痛に襲われると同時に脳内に大量の情報が流れ込んできて、それによって自分に起こった状況を理解することができた。

 

「嘘だろ……!? 俺、『ナホビノ』になったのか?」

 

 ナホビノ。

 

 それは世界を創造する知恵と永遠の生命を持った神の本来の姿。

 

 遥か昔、世界には多くのナホビノがいたのだが、ある時この世界を創造した神は他の全てのナホビノから知恵を奪い、ナホビノを「神」から「悪魔」へと貶めた。そして奪われたナホビノの知恵は「知恵の実」として楽園で管理されていたのだが、それを人間達が食べてしまい魂と一体化して、以来ナホビノの知恵は人間達の魂に受け継がれていくことになった。

 

 悪魔は自分の本来の力と姿を取り戻すために自分の知恵を探し求めており、悪魔が人間を襲うのもそれが理由である。

 

 ゲームの主人公はこの魔界で出会った神造魔人アオガミと合体するのだが、その合体した姿こそがナホビノなのだ。

 

「しかも俺が合体した力の持ち主ってシヴァ!? あの破壊神の!?」

 

 破壊神シヴァ。

 

 ヒンドゥー教で世界の破壊と再生を司るとされている最高位の神で、女神転生シリーズでは常に最強クラスの悪魔とされている。不動は自分がそのシヴァの知恵を持つ人間であった事実に、信じられない気持ちでいっぱいであった。

 

 不動がナホビノに変身した原因である先程の小さな金属の塊。それはシヴァの象徴とも言える三叉の槍トリシェーラの欠片で、そこに宿るシヴァの力に触れたことにより彼はナホビノとなったのである。

 

 もちろんナホビノとなったと言っても不動が得たのはシヴァの力のほんの一欠片で、本来の力とは程遠い。しかしそれでも破壊神シヴァのナホビノとなった彼は絶大な力を得たのは変わりなく、合体したのが武器の一欠片だけなので完全に自分の意思で力を振るうことができた。

 

「あとこのステータスとスキルって、俺がゲームで仲間にしたシヴァのと全く同じじゃないか」

 

 ナホビノとなった現在の自分の力を確認した不動は、悪魔と戦えるようになった事実に胸を撫で下ろす。

 

「とりあえずは悪魔に殺されることはなくなったみたいだけど……。これからどうしたらいいんだ? というか、モブキャラのはずの俺が破壊神のナホビノってマジか?」

 

 

 

 

 

【オマケ、主人公のステータスとスキル】

力:104 体:83 魔:92 速:91 運:79

至高の魔弾、ターンダヴァ、エナジードレイン、氷結無効、延長強化・大、奈落のマスク、万能プレロマ、万能ギガプレロマ




……続く?

もし続きが気になるのでしたら「867マッカ」を頂戴します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。