正直、ついに来たかー、と言った感じだった。
だっておかしかった。
大炎上しているのに、テレビ番組にオファーが来る事が。
メジャーデビュー出来た事に関しては、コアでお金を貢いでくれるファンがめちゃくちゃ多いからだけれども……。
もうメロンパンには存在がバレてるの確実なので、いつかこうなるだろうな、とは思っていた。
巻き込んだバンドメンバーに関しては、本当に申し訳ない。
それにしても、意外なのは本体が俺の目の前に来たこと。
そう俺は、群衆に押さえつけられて、黒幕の前にいた。
いや、意外でもないか。
だって、俺は非術師。しかも、使えるのは成仏の歌だけで、つまり人間にはどうにもできない。
だって仕方ない。俺ってばエセとはいえ、僧侶だもの。
戦士ではないのだ。
そんなメロンパンだが、俺が万一の時に夏油傑に渡るようにしていた手紙をこれみよがしに目の前で読んでいる。
ちなみに護衛の特級は祓われ済みだ。
そして、読み終わった手紙をパチンと閉じた。
「いや、興味深いね!! 君、非術師だよね? 何者なのかな。どこで私の事を知った?」
「俺はBoz! 歌手でエセ僧侶だ」
「そこはエセなんだね。本当に祓えるんだから、わざわざエセを名乗んなくてもいいのに。いや、凄いよ、君。才能がある。五条悟に見せて結果を知りたかった所だけど、仕方ないね」
メロンパンは手を振り下ろし、俺は文字通り、群衆に死ぬまで嬲られた。
歌が、聞こえる。
誰かが、泣きながら歌っている。
俺の為に、歌ってくれている。
「わかってるんだ。こんなのは君の望みじゃない」
「わかってるんだ。これを考えた誰かがいるんだろう?」
「わかってるんだ。わかってる。わかってる。わかってるわかってるわかってる。それでも、私の、選ぶ本音は……非術師が、憎いよっっっ……!!!!!」
俺の為に泣きながら歌ってくれるのは、怨嗟を放つ目の前の男ではない。
だって、これは魂に焼きついた記憶なのだから。
俺は、そっと顔を上げて、目を逸らしていた記憶を直視した。
二人組の、似非ではない本物の僧侶で歌手が歌っていた。
俺の、前世の親友だった。
ああ、そっか。
俺、悪霊だったんだ。悪霊になっちゃったんだ。
それを親友2人が、俺の大好きな歌で葬送ってくれたから。俺は、歌のチートを来世に持ってけたんだ。
それならさ、親友。
俺に、もう一度奇跡をくれないか。
俺が、再構成されていく。
貰った命で。貰ったチートで。最後に、救わせてくれ。
怨嗟を吐いていた男は、呆然と、呪霊となった俺を見た。
俺は、マイクを持って歌う。
「俺の最後の歌……聞いてくれ」
「タケ……」
「歌うぜ! JOH! 仏」
全身全霊を込めて歌う。
目の前の特級の男を、最下級へと落とす為に。
呪霊による、術式による殺人を行わせないために。
そして、呪術界からの敵視を一時的に削ぐ為に。
俺の全身全霊を込めて!! 歌う!!!!!
力を貸してくれ、親友!!
俺の歌声は祈りの光となり、夏油の呪霊を祓っていく。
その歌声による力は、俺にまで及んでいく。
それでいい。
「夏油、お前、呪術師辞めちゃえよ。特級のお前なら逃げられないけど、4級なら目溢しされるだろ」
笑ってやると、夏油はボロボロと泣いた。
「じゃあな」
俺は、光へと還元されていき……
「やだ」
なんて?
聞き返す間もなく、クルンと呪霊玉にされて、パクりと食べられてしまった。
次回エピローグです。
ゴーストスイーパー美神で、おキヌちゃんが
「私、幽霊だったから……」と奥義に目覚める場面と似たようなのを描きたくて、
この話を書きました。
なので友人が歌で送ってくれたのと、「俺、呪霊だったんだ……」は最初から決めてて書きました。
唐突な感じになってないといいのですが。
予告通り今晩中に書けそうで良かったです。
お読みいただきありがとうございます。