「うーん。交流会自体は最後までさせたげたかったけど、無理かー」
「うえっうえっ」
真希に縋り付いてグシュグシュ泣く真依に、五条先生は苦笑いする。
「先生……」
「メカ丸。僕に何か言わないといけないことがあるはずだね。健康にしてもらうのを条件に、情報売ってたんだって?」
「メカ丸!?」
「五条先生……」
「本体の現在地。教えてくれるね?」
優しく語りかけた五条先生。ピッチングマシーンはガタガタと動く。
「うーん。参ったなこれ。昨日使ってたメカ丸の機体出してくれない? 喋れさえすればいいから」
「な、何かの間違いです! メカ丸は、メカ丸は……!」
三輪がメカ丸を庇うが、ピッチングマシーンことメカ丸は三輪を優しく押して三輪の前に出た。
「どういうことだ、悟」
「メカ丸が内通者だと?」
「ちょっと、どういうことよ」
教師勢が五条先生に詰め寄る。
「いや。色々リークしてくれた子がいましてね。その子の身の安全の為に詳細は伏せさせていただきます。皆もそれでいいね? 後、京都校の皆は滞在伸ばして欲しいかな」
「はーい」
「真依か」
「えっえっえうっ」
「はーいはいはい、追求しない! 真依もショックなのはわかるけど、そろそろ泣き止もう。メカ丸は、全部喋ってくれるなら、僕が守ってあげるから。その代わり、ちゃんと、どんな些細な事でも教えて欲しい。さっき飲み物買い出しに行った皆は僕の所に来てね。お願いしたい事があるから」
「私も混ぜろ」
「真希は通常通り、任務に行って欲しいかな」
「私も混ぜろ! こんなに泣いてる真依を放置出来るか!」
「お姉ちゃ、私、一人で頑張れ、えうっ」
「絶対させるか」
「やれやれ、仕方ないね。真希と真依には確認したい事もあったし、ちょうどいいか」
「おい悟。また勝手に判断するな」
「その子のリーク内容が内容ですし、内通者は一人ではなさそうですからね。安全の為です」
「俺は五条先生の指示に従うぞ!」
「なん……だと……」
東堂の宣言に恐れ慄く京都校一同。こいつ誰かに従うことがあるのか。
という事で、伊地知さんも一緒にサイトについて報告を上げることとなった。
東堂は当然連絡先を持ち替えるという任務を貰って握手会である。
事情を知らない京都校教師勢からはこんな状況でも握手会は行くのかとゴミを見るような目で見られていたが。
さて、五条先生を虐める動画は重要な情報源である。
どのように亡くなるかが出ているのだから。
それをチェックしながら、一年生組は相談する、
「高田ちゃん、情報を持っている人、もしくは見える人求むって……不特定多数に呼びかけるような。誰に対してのサイトなんだろうな」※転生者です
「関係者っつったら五条先生とか筆頭だと思うんだけど、そっちむけでもなさそうだしな」※転生者向けです。
「この最初のパスを入れる動画、高田ちゃんと1時間が鍵になってそうだけど?」※転生者向けです。
「想像がつきませんね。そもそも、五条さんの事は一般人は知らないはずです」
「「「うーん。わからん!!」」」
「……お姉ちゃんは、力が欲しい?」
「お前の命が必要だって言われて、はいそうですかって力が欲しがれるかよ……力より真依が欲しいよ。当たり前だろ。っていうかな。お前、知ってたなら言えよ。言えよ!! 一緒に落ちぶれてって、そういう意味だったって言われたらもうちょっと考えたわ」
報告書を纏めると、後は伊地知さんがメカ丸の証言との整合性を調べる作業である。
直、未来情報を抜いた分に関してはメカ丸の証言と共に上層部に提出済だ。
伊地知がまとめる間、一年生3人組は隔離続行で野球での汗を流した。
どうやら、サイトの内容には嘘はなさそうだ。
乙骨との連絡も取れ、本人が少し照れながら、「純愛だよ」という決め台詞(パスワード)を教えてくれた。これで保険は掛けられた。
東堂も連絡先を貰って戻ってきて、五条先生、伊地知さん、一年生、真希真依でお食事タイムとなった。
「いや、参ったね! 千年かけて集めた術師の呪具に1000万の呪霊! 僕の親友の肉体が人質で、獄門疆って呪物で封印準備万端! 沢山の特級呪霊と大量の人間の盾(列車によるお代わりあり)をご用意してお待ちしております! 大歓迎じゃん!」
「先生、殺気抑えきれてないから」
「ごめんごめん」
「こうなると悠仁は僕のそばにいた方が良いね。真希も悪いけど監視させてもらう」
「未来で実家皆殺しって今でも信じられねーけどな」
「補助監督にはとりあえず防刃ジャケット装備させるかなー。それでちょっとは被害減るでしょ」
「あの、ごめんなさい。私が騒いだから、メカ丸の追求早まって、向こうにもバレちゃって」
「相手の罠がガチすぎて、わかっててもカウンター仕掛けるの面倒臭そうだったから、手間的にはあんまり変わらないかなー。むしろこっちの腹は決まったから、気にしなくていいよ」
真依が謝罪するのに五条はヒラヒラと手を振る。
「うーん。七海や禪院の爺さんでも厳しいとなると、僕が動くしかないねぇ。なんとか少しずつ削れればいいんだけれど。ってことで葵。連絡先貰ったんでしょ、メールして」
「うむ!」
東堂は震える指で連絡をする。
帰ってきたメールは簡潔だった。
『東堂くんは、私のお仲間ですか? もしそうなら、平成の次の年号を教えてください』
『すまん、わからない。だが、渋谷で大量の呪霊が現れるのならなんとかしたいと思う。高田ちゃんの助けになりたい』
『もしかしてサイトに来てました?』
『そうだ。今の所、俺達しか発言していない。五条先生もそのサイトについては知っている。ただ、高田ちゃんの名前は伏せてくれるそうだ。そのサイトは早めに削除した方がいい。呪霊はネットをしないが、呪詛師はする』
『うああああああ。そっか。そっか……。どうにかなりそうです?』
ならなそうなどと、正直に言えるはずもなかった。だが、高田ちゃんに嘘もつきたくない。
『わからない。高田ちゃんの協力が必要だ』
『そうなりますよね。私に答えられる事なら答えます』
『それじゃあ、スピーカーモードにして電話をしたいので電話番号を教えてほしい。今時間は大丈夫だろうか?』
『今ちょうど空いてるので、いいですよ』
憧れの高田ちゃんと電話。
東堂は感激した。