鬼に遊ばれ、逃走し続けどのくらい経っただろう?
山に入ってどれだけ走っただろう?
体は限界に達し、ついに立ち止まってしまった。
「はっはっは!!ついに限界かガキ。もう少し抵抗したらどうなんだ。つまらないなー」
こいつまじムカつく。なんでこんな性格してんだろう?
本当に殴りたくなってくる。でも、無理だ。
俺にそんな力は無いのだから。
「た……助け……」
と俺は全て言わずに黙る。
これでは原作の獪岳と同じだからだ。
「なんだ?助けを請うのか?」
鬼が俺が喋ったことに反応し質問してくる。
「なら、そうだ「黙れこの野郎」……何?」
鬼が何かを提案してこようとしたところに俺が言葉を挟み、気に入らなかったのか鬼は怒り始めた。
「せっかく生かしてやろうとしたのに。もういい」
そう言い、鬼は俺に近づいてくる。
なんでこんなことになる?俺何かやった?
転生して気がついたら目の前に鬼がいた。
クズにならないと思い、決意した。
少しでも争うために逃走した。
なんでこんな目に遭わないといけないのだろう?
でも、絶対に人を売ることだけはしたくない。
それは俺の倫理に反する。
もういい。全てを終わらせよう。
そう思い、鬼を見る。するとこんな提案をしてきた。
「心優しい俺様が一つ提案してやろう。お前の家族の場所を言え。そうすればお前を見逃してやろう!!」
こいつはどこまでクズなんだ。
おそらく原作の獪岳はこの提案を受け入れて家族を売ったんだろう。
でも俺にはできない。
記憶がなくても家族を売るなんざことは何があってもしない。
俺は最後に心からの叫びを鬼に伝える。
「殺すなら殺せ!!俺は………俺は死んでも家族は売らねぇ!!」
そう叫ぶと。
「はぁ……。残念だ。自ら助かる道を塞ぐとは、時間の無駄だったな」
そう言い、鬼は俺を喰らうために迫ってくる。瞬間!!
「雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃」
一筋の雷と共に鬼の首が落ちる。
俺は助かったとわかった瞬間、意識を手放した。
起きたら知らない天井だった。
「知らない天井だ」
俺はそう呟き、意識が覚醒するのを確認する。
そして改めて助かったのだと自覚した。
あたりを見渡すと、和風の部屋で俺の近くに火が焚いてあった。
すると起きたのに気づいたのか、一人の老人が話しかけてきた。
「起きたか?よかったワイ。丸一日寝ておったからな。」
そう言い、俺に近づいてきた。
「お腹すいたろ?これでも食べろ。うまいぞ!!」
そう言い、老人は俺にお粥が入っている皿を渡してきた。
俺は無我夢中で食べた。
死線を潜り、身体中に疲れが溜まっていたからだ。
おじいさんも笑いながら俺を見ていた。
「お主、名前はなんと言う?」
「………獪岳」
「そうか獪岳か」
俺はおじいさんの名前を聞かれて答える。
「では獪岳、家族はどこにおる?心配しているだろう。送ってあげよう」
「俺に……家族はいない。帰るところもない」
そう。俺は獪岳だ。
寺に帰ってもどうせ迷惑なだけだ。
人が良すぎる悲鳴嶼なら受け入れてくれるだろう。
でも、俺は正直戻りたくない。
寺のみんなが知ってる獪岳とは別人なのだから。
俺がそう言うと、おじいさんが少し考え、ある提案をしてくる。
「そうか……獪岳、よかったらワシの弟子にならんか?」
俺はおじいさん……桑島慈悟郎の提案を受け入れた。
こうしておじいさんのおかげで俺は生き残れた。
よかった!!