極めろ熱界雷!!目指せ一撃逃走   作:花河相

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あ……あぶねぇ

 まずは現状整理から始めよう。

 

 今回の柱合会議、一番に考えるべきことは炭治郎と禰豆子、珠世さんと愈史郎の処遇を決めること。

 

 決めると言っても保留か罰するかの二択。

 保留にすれば良いし、柱全員を納得させることが必要だ。

 

 まず、話し合いをせずに納得しているのは俺側にいるしのぶと義勇、無関心の時透。

原作でもお館様がくるまで待機すべきとしていた甘露寺さんだけだ。

 

 後は不死川を除いて俺が事前に手紙で伝えた返答次第。

 とりあえず、話を進めてみないことには何も始まらない。

 

「お館様の命により、当事者である竈門炭治郎、竈門禰豆子を連れてきた。……お館様はまだ?」

「ご苦労様ですお義兄さん。……まだお館ーー」

「てめぇの近くにいるのが鬼連れの鬼殺隊で間違いないんだな?」

 

 しのぶが俺の質問の返答をしてくれたのだが、不死川が遮っていた。

 やっぱり絡んできたか。

 何する気だこいつ?

 

「そうだ。……彼がお前の言う鬼連れの鬼殺隊だ」

「そうか……で、鬼はどこにいんだ?まさかおいてきたわけじゃねぇだろうな?」

「……はい、この箱のなかに……?!」

「あぶな!?」

 

 不死川が禰豆子がどこにいるのかわかった途端瞬間的に距離を詰め、炭治郎のもつ箱を奪おうとした。

 

 俺は炭治郎を抱え、最小限の動きで避ける。

 やろう……。

 

「……え?……何が起こって?」

「怪我は無いか」

「……大丈夫です」

 

 やはり絡んできたか。

 炭治郎は何が起こったのか、わかっていなかった。

 まぁ、怪我がないようで何よりだ。

 

「チッ……流石だな。逃げ足だけは」

「褒め言葉と受け取っておこう。……それにしてもなんのつもりだ?」

「何って……鬼殺隊が鬼を殺そうとして何か問題あるか?あん?」

「おまえ……今竈門炭治郎に怪我をさせようとしてたな?立派隊律違反だぞ?」

「はん!そいつは罪人だ。隊律違反もクソもねぇよ!」

 

 あーあ、こわいこわい。

 これだから不死川は嫌いなんだ。

 原作では弟思いとか最終回ではいいやつオーラが出ていたが、実際に関わってくると面倒臭くて嫌になる。

 

「平然としてるが、てめぇは同罪だ。冨岡、テメェもだ!聞いたぞ。お前らは以前から知っていたらしいな」

「不死川さん……それについては説明をしたはずですが?」

「鬼を匿っていた奴は黙ってろよ」

「ですから、それはお館様の命で」

「そんなん関係ねぇよ。鬼は存在自体が悪なんだ。そんな連中を庇うなんざ言語道断。俺らだけで対処可能だよなぁ?」

「待て不死川、他の柱の意見も聞くべきだ。柱合裁判はお前の一個人の決定で決められるものじゃないだろ」

「そうですよ。私も皆さんの意見を聞くべきかと思いますが?」

「……聞くまでもないだろう?」

 

 一人暴走する不死川に俺、しのぶと意見を言う。そして何も言わずにそっぽを向いている義勇……いや、なんで何も言わないんだよ。

 

 不死川は他の柱に意見を求めるようにそう言う。

 

 不死川は俺が柱に勧誘された当初からいた。柱は鬼を絶対の悪としている。そんな人たちが鬼を庇うことを許さないと思っていた。自分の考えに賛同すると思っていた。

 だからこの場で反対意見を募ろうとしたのだろう。

 

 だが、残念ながらそれは叶わない。

 

「うむ……不死川が言いたいことはわかる。だが、我らだけで対処するべきじゃない!お館様を待つべきだ!」

「獪岳が理由もなくこのようなことをするとは思えない。……何か事情があるのだろう?」

「……は?」

 

 安心した。

 杏寿郎、悲鳴嶼さんはどうやら中立になってくれたようだ。

 手紙の内容を読んで考え答えを出してくれたようだ。

 

 でも、何かあった時、味方になってくれは俺贔屓になるので、大体予想できたが、まさか杏寿郎まで認めてくれるとは。

 俺は不死川に意識を向けながら、二人に話しかける。

 

「悲鳴嶼さん、ありがとう俺を信じてくれて。……それにしても杏寿郎まで中立になってくれるとは思わなかった」

「心外だぞ獪岳!竈門少年はお前のような男に命をかけると言わせた男だ。信用をしたまでだ」

「ああ、獪岳よ……お前はどこまでも慈悲深い男なんだ」

 

 杏寿郎といい悲鳴嶼といい。ここまで俺の評価が高い。……下手したらカンストしてるかもしれん。

 作中でも最強の一角の二人に味方をされた。

 ……でも、二人の評価がいい分、不死川の機嫌はさらに悪くなり、炭治郎は俺をみて感動していた。

 

「俺はまだ認めないぞ獪岳」

 

 杏寿郎、悲鳴嶼さんが中立になると宣言したあと、伊黒が松の木から話しかけてくる。

 なんか、不死川が伊黒の言葉を聞き、少し焦りがきえたか?

 まぁ、たしかに自分側だと思っていた二人が中立を示したら急出すに決まっているか。

 

 ……さて、伊黒はどう結論出したんだ?

 

「その小僧を拘束するどころか普通に連れてきた時点で気に入らないんだ。お前の普段の行いから気に入らない。なぜ、鬼を庇う?何故早く連絡を入れなかった?そういうのは事前に報告すべきだろう?貴様は常識もないのか?」

 

 ああ、このネチネチ感、さすがは伊黒だわ。

 だが、今伊黒が言った内容の中には俺への怒りも含まれているだろう。

 

 ここで一つ宣言するとしたら俺と伊黒の仲は、悪くない。

 一応、友人と言える存在だ。

 初対面では何故柱でもないのにここにいるとか、気に入らないとかよく言われたが、甘露寺さんとの仲を取り持ち、話に混ぜたり、甘露寺さんとカナエを含めた4人で飯を食べに行ったりと交流し続けたらなんか仲良くなれた。

 

 ちなみに初めはカナエを抜いた3人でいこうとしたのだが、それがバレてハイライトが休業中のカナエに問い詰められ、行くことになったのはここだけの話。

 

 つまり、伊黒が怒っているのは何故話さなかったのかという点。

 別に信用なかったわけじゃないんだが。

 

「そんなにおこるなよ」

「別に怒ってない」

「いや、決して信用してなかったわけじゃないだ。……お館様から言われてたんだ。怒るな」

「どうだかな?」

 

 ……面倒くせぇ。

 ここまでネチネチしてるのは久々だ。

 まぁ、いい。

 とりあえず手紙で事前に伝えていた物を渡せばこいつも納得するだろう。

 俺は懐から1枚の札とチケットを取り出し投げる。

 

「伊黒、これを」

「……こんなもので本当に」

「とりあえず鏑丸につけてみろ」

「……」

 

 伊黒は黙って札を鏑丸につける。

 すると驚いた表情をした。

 伊黒の右目は弱視でほとんど見えない。戦闘に置いても相棒の鏑丸のサポートありきで戦っていた。

 俺が渡したのは愈史郎に頼んで作ってもらった視界を共有する札。

 そしてもう一つはスイーツ食べ放題のチケットだ……いやぁこれ本当に高かったんだよなぁ。今のこの時代、食べ放題という概念はない。

 知り合いの店に頼んで、大金を払って食べ放題を引き受けてもらったんだ。甘露寺さんと一緒に行ってこいという意味も込めてそれを渡した。

 

「約束は守ったぞ」

「チッ……いいだろう、好きにしろ。俺は何も言わん」

「悪いな」

 

 俺は伊黒に感謝を込めてそう言った。

 今回の件で二つの条件、鬼の件での愈史郎の血鬼術の札と甘露寺とのデートをセッティングすること。

 それを条件に引き受けてもらった。

 一方的に条件を言ったのは俺だし、本当に納得してもらえてよかったわ。

 まぁ、これで伊黒の実力向上が図れるのでよしとしよう。

 

 ……あとは説得が必要なのは一人だけ。

 俺は天元に視線を向ける。

 

「……約束は守ってもらうからな」

「ああ、勿論だ。俺のできる範囲でなんでも一つ言うことを聞く」

「……わかったよ」

 

 天元と約束したのはなんでも一つ言うことを聞く。

 これだけ。まぁ、あいつが言いそうなことはなんとなくわかる。

 多分、遊郭の件の可能性が高い。

 その時になってからじゃないとわからないが。

 

「ふ、不死川これでいいか?」

「てめぇ……何しやがった?」

 

 あ、これまでないほどにブチぎれてるわ。

 

 事前準備が違うんだよ。一か八かの賭け要素があったものの、結果は俺の勝ちだ。

 普段の行いの成果だなぁ。

 

 ま、これを言うと怒られるので心の中に留めておくが

 

「舐めてんのかテメェ!」

「な、なんだよ急に」

「何が普段の行いだ?!ただずる賢いだけじゃねぇか!」

 

 胸ぐらを掴まれ、文句を言ってくる不死川。

 ……やばい、心の声が漏れていたらしい。

 

「そんなに怒るよ。お前以外の柱は反対、または中立を示したんだ。文句はないだろ?」

「大有りだぼけぇ!」

 

 本当に口が悪い。

 唾飛ぶからやめてほしい、ダダでさえ人相悪いのに顔傷だらけで余計怖い。

 できたら離れてほしいな。

 

 ビキ。

 

 突然不死川の額の血管が浮き出てる。

 あ、また心の声が漏れてたか?

 

 どう弁明したものか……。

 だが、その心配は無用であった。

 何故ならば、

 

「よく来たね。私の可愛い子供たち」

 

 俺たちを招集した張本人、産屋敷耀哉が現れたからだ。

 柱たちはその場に跪き、頭を下げた。

 

 

 

 

 

 あ……あぶねぇ。

 




最後まで読んでくださりありがとうございました。
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