『破壊殺 滅式』
「はああああ!」
『雷の呼吸 伍ノ型 熱界雷 十連』
俺が決死の覚悟で放った熱界雷は猗窩座の血鬼術とぶつかり合う。
猗窩座が使ったのは『破壊殺 滅式』は原作では杏寿郎の限界を超えた奥義をも相殺する威力がある。
結果だけ言ってしまえば俺の熱界雷は猗窩座の攻撃を相殺できた。
おそらく八連のままだったら押し負けてその時点で死んでいたかもしれない。
少し贅沢を言うなら相殺ではなく、俺の方が少しでも威力が優ってくれていた方が良かった。
だが、できなかったことを言っても仕方がない。
今は目的を達成するため、全力を出さなければ!
「あはは!」
猗窩座は技が相殺した後、笑いながら右手で俺の顔めがけて拳打をしてくる。
「はああああ!」
それに対し俺は素早く刀を鞘に収めてもう一度熱界雷を放つ。
『雷の呼吸 伍ノ型 熱界雷』
だが、残念ながら、いつも通りの威力は出せなかった。
限界を超えた一撃は思っていた以上に負荷が大きかったらしい。
だが、そんなの気にしてられない。
俺は拳に刀が当たるように抜く。
「く!」
猗窩座の拳と俺の刀がぶつかり鈍い音が響く。
だが、俺の方が押し負けてしまい、後方へ退き、体が崩れてしまう。その隙を見逃す猗窩座ではない。
猗窩座は今度は左の拳で追撃をしてくる。
今度は鳩尾に放ってくる。
右手をスライドさせ、刀の柄のぎりぎりをもち、左手を柄の鍔近くに持つ。
左足がつく瞬間俺の体制は右側が前の半身状態で、左足がついた瞬間地面に踏み込む。
足をついた瞬間足に激痛が走るが、今は気にせずに踏ん張る。両手で持つ刀を少し斜めに立てた状態で猗窩座の拳に当てる。
そして、俺の左脇腹付近にくるように急所を外すため、猗窩座の技の軌道を逸らすことのみに集中。
今のこれまでの動き。幸いなことに全て想定内だ。
狙った場所に拳を逸らすことに成功した。
四年間のうちに俺は天元の指導で薬を服用と筋肉の操作のやり方を学び、内臓の移動方法を学んでいた。
技を放つ前に少しだけ右に動かしておいた。
体に風穴が開くが死ぬことはないだろう……多分。
「ふおおおお!」
「あは!」
俺の刀と猗窩座の拳がぶつかる。
ぶつかった拳と刀は流れるように軌道が外れ、俺の左脇腹に。
そして、俺の刀の柄の先は猗窩座との距離があと数センチという距離で止まる。
そして。
狙い通りに貫通させることができた。
だが、めちゃくちゃ痛い。
一瞬気を失うかと思ったわ!
「あ……あああ……あ……獪岳さぁぁぁぁん!!」
爆風が治まり、姿を見えたのか、炭治郎が俺の名を呼ぶ。
……まぁ、側からみれば俺の負け決定みたいな感じに見えるしね。
慌てるのはわかる。
「やはり、お前は鬼になるべきだ獪岳」
猗窩座は左手が俺に貫通している状態で話しかけてくる。
いや、早く抜こうとしろよ。
「最後で己の限界を越えた。俺の技を相殺するだけでなく、その後も抗い続けた。最後の一撃は……見事であった」
猗窩座は俺に……おそらく今までで最上位の賞賛をしてくれている。
いや、だから早よ抜けって!
なんで刺さったまま話してんだよ。
まぁ、別にいいけど、後は完全に油断しているところに俺の奥の手を放つだけ。
タイミングを誤るな。
俺はゆっくりと剣の柄頭を猗窩座の体に近づける。
「けほ!……はぁ…はぁ」
俺はその場で血を吐いてしまう。それを見て猗窩座は微笑みながら話を続ける。
「鬼になるといえばすぐに鬼にしてやる。お前は……選ばれし数少ない人間なのだから」
あ、完全に油断してるわ。
チャンスだ!今、ここしかない。
俺はその場で刀の柄にあるボタンを押す。
すると柄頭から2本の細い注射器が発射される。
その速さは銃弾と同じ速さ。
刀の構造を工夫してバネを工夫した。
流石の猗窩座もここまでの至近距離。しかも油断している状況だ。
反応するのは難しかっただろう。
「……くそ!」
「かは!」
猗窩座は即座に左手を俺の左下脇腹から引き抜き、刺さった注射器を抜き、俺は蹴飛ばされる。そのせいで数メートル飛ばされて転がってしまう。
いってぇぇぇ!
「……貴様……何をした?」
俺は横になったまま動けないが、視線を向ける。
今の猗窩座は苛立ちが抑えられないのか、額に血管が浮き出ている。
ざまぁ。
油断してるからそうなるんだよ。
「……あまり、人間を舐めるなよ猗窩座。俺個人では完敗だ。手も足も出なかった。……だがな、人の強さとは武力だけが全てじゃない。考えることができるのも人間の強さだ。今お前に刺したのはその叡智の結晶だ」
今、俺が刺したのは二つの液体。
一つは現時点で毒素が最も強い藤の毒、そしてもう一つは不死川の稀血だ。
今、猗窩座はどう思っているだろう?先程まで優勢だったのが、一気に劣勢に。
即死していないが、毒で大分弱らせた。稀血で酔わせて変な感覚だ。
「殺してやる!」
……ああ、このままだと完全に死んでしまう。
俺はもう動けない。手足に力が入らない。
そう、このままだとだ。
人は頭に血が上りすぎていると視野が狭くなる。それは生きている生物皆同じだろう。
それは鬼だろうと同じだ。
その一瞬の動揺が取り返しのつかないことになることもあるのだ。
「死ねぇぇぇぇ!!」
猗窩座は俺に夢中で殺しにかかるため、接近してきた。
一瞬の油断、一瞬の意識の外れ。
今猗窩座の視界には俺しか写っていない。
『壱ノ型 塵旋風・削ぎ』
螺旋状の竜巻が地面を削りながら猗窩座に迫り、猗窩座の頸がスパンと切れたのだった。
……最後に持ってかれたなぁ
体内の内臓を移動する方法……そんなものないと思うかもしれませんが、宇髄天元なら知ってそうだな……忍者だしと思っていただければ幸いです。