極めろ熱界雷!!目指せ一撃逃走   作:花河相

47 / 74
……………………は?

 俺は生き残れたのだろうか?

 まぁ、呼吸ができているので、現時点では生きていることはわかる。

 

 

 勝つためとはいえ、無理をしすぎた。

 体を酷使してしまった。手足の間隔(感覚)がなく動かすことができない。

 

「ふぅ……」

 

 俺は呼吸に集中して、傷ついた体の止血にかかる。

 左下脇腹は猗窩座の攻撃で貫通してしまっているが、内臓は事前に移動していたので、傷ついてしまっているが致命傷にはなっていない。

 

「ふぅ……」

 

 よし。

 これで傷ついた内臓の止血は終わった。

 だが、体に空いた穴が大きすぎて、完璧には止血できない。

 誰かに上から止血はしてもらわないと……マジで死ぬ。

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ」

 

 先ほどの型は風の呼吸。

 不死川だろう。

 あの威力で技を放てるのは柱のあいつしかいない。

 

 それにしてもあまりにもタイミングが良すぎる。

 不死川のやろう、完全に機会を窺ってやがったな。まぁ、その奇襲が成功して猗窩座の首を斬れたわけだが……。

 

 もう少し早く来てもよかったのではないだろうか。そうすればもっとやりようはあったし、ここまで無理をする必要もなかった。

 ま、仕留めてくれたので文句は言わないでおこう。

 

「チッ!……まだ再生しようとしてやがるのかよ!」

 

 ……うん?

 今不穏な声聞こえたけど、聞き間違いか?

 

 だめだ!指一つ動かせない。

 あいつまさか、俺がここまで体張ったのに。

 

「お前ら!その死に損ないを退けろ!」

『弐ノ型 爪々・科戸風』

「はい!」

 

 え?……何がどうなってんだよ。

 不死川の一声でかまぼこ隊の3人は俺の側に移動し丁寧に抱え、移動させる。

 ……今何が起こってんだよ。

 

「……一体……何…が?」

 

 ゆっくり運んでくれている炭治郎に問いかける。

 

「……わ、わかりません。首がない状態で応戦してます」

「なんで首ないのに動いてんだよ!うわ!斬られてんのにすぐ再生してるし!」

 

 

 首がないと言うことはちゃんと切断したらしい。

 炭治郎と善逸の返答で大体状況はわかった。

 今猗窩座は自身の過去と鬼になった時の回想を見ているのか。

 

 俺の背後から戦いの後が聞こえる。

 内心焦るがとりあえず今やらなきゃいけないことは。

 

「早く止血はしてくれ……マジで死ぬ」

「え?……わかりました」

 

 炭治郎が慌てながら了承し、猗窩座から離れた後、焦りながらも布を取り出し止血を開始してくれた。だが、止血するための布が足りないらしく少し探している。

 

 

「俺の羽織を使ってくれ」

「でも」

「やぶいてくれて構わない。命には変えられない」

「は、はい!」

 

 炭治郎は俺の羽織を破り傷口を抑える。

 

「炭治郎、俺のも使ってよ」

「ありがとう善逸」

 

 善逸は自分が着ていた黄色い羽織を脱いで止血に使うために渡してくれる。

 

「……悪いな」

「いいよ。獪岳の命には変えられない。それにじいちゃんに言えばまたくれるから」

 

 大切な羽織なのに、俺のために使ってくるとは。

 ありがたく使わせてもらうか。

 

 俺は呼吸に集中し、止血を試みる。

 善逸が貸してくれた羽織は止血が必要な腰回りに巻いてある。

 

「ふぅ……これで止血は済んだ。ありがとう」

 

 炭治郎と善逸、伊之助の3人は安堵のため息をする。

 後は、処置だけだが、これはしのぶとカナエに頼めば大丈夫だろう。

 

 これで出血多量で死ぬことは無くなった。

 

 それにしても、猗窩座と不死川の戦闘は続いていた。

 原作でも炭治郎が首を斬ったあともそうであった。猗窩座の過去には同情する。

 

 猗窩座の本名「狛治」。

 狛治は幼い頃、スリの常習犯だ。それは病弱の父親に薬と食べ物を届けるため。だが、その父親は狛治が捕まったことを聞いて自殺をしてしまう。

 

 狛治は親父の遺言「真っ当に生きろ、まだやり直せる。俺は人様から金品を奪ってまで生き永らえたくはない。迷惑をかけて申し訳なかった」

を読み、ショックを受けてしまう。

 

 自暴自棄になってしまった狛治であったが、地方を渡り歩いていたある日、慶蔵と恋雪と出会う。

 

 その出会いが狛治を真っ当にした。恋雪との恋。そして慶蔵の後継になる。

 だが、狛治の幸せは長くは続かない。

 

 ある日、恋雪と祝言を上げることを父親に報告するため、墓参りに行った時のこと。

 狛治が留守にしている時、慶蔵と恋雪は毒殺をされてしまう。

 

 せっかく見つけた幸せを大切な人たちを全て失ってしまうのだ。

 狛治は怒りに任せ毒を流した者たちに復讐をする。その後、無惨と遭遇し、記憶を消されたまま鬼にされてしまった。

 

 狛治は可哀想で悲しい過去を持つのだ。

 

 今猗窩座は自分と戦っている。

 無惨に戦えと強要され、それに抗っている。

 

 だから早く猗窩座を仕留めてあげてほしい。早く自由にしてあげてほしい。

 

 二度戦い、命を取り合った。

 猗窩座がいたから今の俺がある。猗窩座と合わなければここまで強くなれなかったし、カナエとも今の関係になっていたかもわからない。今ある出会いもなかったかもしれない。

 だから、友人として……いや、戦友として感謝している。

 だから呪縛から解放させてあげてほしい。頼むぞ不死川。

 不死川は苦手だが戦いに関しては信用している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「首が生えてきやがった!こっちに来やがるぞ!」

 

 

 

 

 

 

 ………………………は?

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。