極めろ熱界雷!!目指せ一撃逃走   作:花河相

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最高の気分だよ

 

 炭治郎たちの止血により出血死を免れた直後、伊之助の言葉で俺は焦る。

 首を斬られたはずの猗窩座が俺のいる方向に向かっているそうだった。

 

 ……いや、冷静に分析したけどかなりまずい。

 てか不死川!何してやがる!

 お前柱だろ?ただのおこぼれで首斬っただけだろ!ちゃんと仕留めろよ。

 

 手負の奴くらい早く仕留めろよ!

 俺と違ってお前万全の状態だろ!

 

 文句を言いたいが言えない。大声を出せないのだ。

 

 え、まってせっかく助かったのに俺死ぬの?

 嫌なんだけど。

 どうすれば……どうすればいいんだよ!

 

「獪岳さんはやらせない!」

「いやぁぁぁぁ!来ないでぇぇ!」

「俺が相手してやる!」

 

 かまぼこ隊の3人が俺を庇うように守る。

 

 お……お前たち。

 俺を守るために……。

 善逸、弱気でも体を張ってくれるのか。成長したな。

 

 だが、死ぬなよ。せっかく助けたんだから。

 

 頼む頼む頼む頼む。

 神様!仏様!不死川様!

 

 助けて!

 

 あれ?何も起きない?

 

「あいつ何してやがんだ?」

 

 伊之助の声が聞こえるが、俺もわからない。

 首が動かないし。

 

ドカーン!

 

 すると、猗窩座がいる方向から爆発音が聞こえてくる。

 誰か……誰か説明を!

 

「……え?……な、なんで?」

 

 炭治郎頼むから説明プリーズ。

 

「こっちに来るけど……何が起こってるんだろう?」

 

 何が来るの?猗窩座か?

 なら、なんで道を開けるようにしてるの?

 まさか、俺を見捨てる……ことはないと思うけど。

 

 俺は目を動かし、何が起きているのか周囲を見る。

 

 俺の付近に顔が復活仕掛けている猗窩座がいた。所々に身体中に穴が開いていて、重症であった。まさか、自身で傷つけたのか?

 

 混乱して思考が纏まらない。

 猗窩座は俺の近くまで歩くと、膝をついている。

 炭治郎と善逸が何もせずに止めないってことは俺に害はないってことか?

 

「……え?」

 

 俺は猗窩座と目が合い戸惑う。

 消えかかっている猗窩座は最後に俺を見て微笑んでいた。

 

 確か原作でも同じようなことがあったような。

 

 ……そうか。

 最後の最後で無惨に抗うことができたということか。

 

 きっかけは炭治郎たちかもしれない。

 誰かを守る。

 それは猗窩座にとっては意味の深い言葉。

 

「炭治郎……猗窩座からどんな匂いがした?」

 

 炭治郎は感情の匂いがわかる。

 俺の予測が正しければ……

 

「……はい……感謝の匂いがしました」

「……そうか」

 

 猗窩座……最後に無惨の呪縛を解いたのか。そして、最後に恋雪さんと再会することができたのか?

 

 ……だが、なんで俺に感謝の気持ちを伝えようとしたのだろう?

 

 俺は唯勝つことに精一杯で卑怯な手段を使った。

 猗窩座はそのような人間は弱い人間と同じくらい嫌いなはずだ。

 

 ……わからない。

 

 恨まれることはあっても感謝の要素はない。

 猗窩座はもう成仏した。死人に口なし。確認のしようがない。

 

 猗窩座との因縁は四年前からだ。

 短いようで長かったこの数年。

 やっと断ち切ることができた。

 

 猗窩座……。安らかに眠ってくれ。

 

「炭治郎」

「はい」

「猗窩座の血をとっておいてくれ」

「?!……はい。わかりました」

 

 猗窩座の血は貴重だ。

 四年前に採取したが、とっておくのに越したことはない。

 炭治郎は忘れていたらしく慌てて採取用のナイフを消えかかっている猗窩座から血を抜き出す。

 

 これで珠世さんたちの研究が捗る。

 

「おい、死に損ない、気分はどうだ?」

 

 不死川から急に声がかかる。

 流石に命懸けで弱体化させた俺は対する言葉じゃない。

 もう少し言葉はないのだろうか?

 

「な!……何もしてない人が獪岳さんになんてこと。謝ってください!」

「そうだぞ!何もしてねぇ奴は黙ってろ!」

「そ、そうだぞ。おこぼれで首を斬った癖に「あん!?」……ひぃ!ごめんなさいなんでもないです!」

 

 炭治郎、伊之助、善逸が反論してくれる。

 

 だがなぁ、善逸。

 言ってくれるなら堂々としてろよ。

 炭治郎の背中に隠れながら言うなよ。不死川のガン飛ばされただけでめっちゃビビってんじゃん。

 

 だが、これはあいつなりの心配だ。

 もう、ツンデレかよ。

 

「三人とも、今の言葉は不死川なりに心配してくれてるんだ。そう言ってやるな。……不死川、首を斬ってくれて助かった。タイミングバッチリだな。まさか、待機してたのか?」

「……チッ!ああ、そうだ。鬼を倒すためだ。文句あるかァ?」

 

 やはりか。

 戦うための情報は少しでも多い方がいいのは確かだ。

 鬼を倒すための最善の行動だ。

 俺は死んでないし、これ以上は何も言うまい。

 

「別にいいさ。ただ、奇襲をするならちゃんと仕留めて欲しかったがな?」

「そ、そうだそうだ!「あ?!」……ひぇ!なんでもありまそん」

 

 善逸、頼むからいつなら堂々としろよ。

 最後まで言う気ないなら、黙ってればいいのに。

 

「……チッ。……まぁ、オメェがいなけりゃ上弦の鬼は殺れなかった」

 

 不死川は素直になることは少ない。

 それほど心配していると言うことだろう。

 変な雰囲気になり、耐えきれなくなったのか不死川が話しかけてくる。

 

「……任務はこれで終わりだ。俺は一足先に帰る。後処理はお前たちでやれ」

 

 不死川は俺に最後にその言葉を言い、帰ろうとする。

 俺はまだ不死川に伝えなければいけないことがある。

 俺は不死川を呼び止める。

 

 

「不死川」

「んだよ」

「いや何、…さっき質問の答えをしようと思ってな」

 

 俺は不死川に笑顔でこう言ったのだった。

 

 

「最高の気分だよ」

「……早く」

「は?」

 

  珍しいな。

  間読むなんて?

 

「早く怪我治すんだな」

 

 不死川からの優しい言葉。本当に珍しいな。

 本当に不死川はいいやつだ。

 

 今度些細らで好物持って行ってやろう。

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