「ああああああ!クソ!……クソ!」
人里離れた山の中、一人の男が怒りに任せて叫ぶ、
その男……鬼舞辻無惨は今日あった出来事に非常に怒りを覚えた。下弦の壱の魘夢のところへ、ターゲットであった耳飾りを持つ始まりの呼吸の使い手の人間が現れた。
鬼舞辻無惨は用心深い。少しでも危険分子が残っているなら根をつぶす。
そのため、たまたま無限列車の近くにいた猗窩座に向かわせた。
事前の情報では柱は一人もいなかった。だがら確実に根を潰せるつもりでいた。
いたのだが。
「何故柱にすらなれない男なんかに……クソ!」
その叫びで草木は大きく揺れる。
無惨は件の男を知っている。
一度は猗窩座が仕留め損ない、二度目は童磨から逃亡を成功させた。
逃げるしか出来ず、ただの雑魚の一隊士としか認識していなかった。
障害にはなり得ない。危険分子にはなり得ない。
それが無惨の獪岳に対する評価だった。
だが、それでも……それでも獪岳は障害になった。
柱でもない。首すらも斬ることすらできないただの雑魚によって。
「猗窩座を追い詰めたあの男……名は獪岳か。……覚えたぞ……危険にはなり得ないと思っていたが……認識を改めなければならない」
散々その場で怒鳴り続け落ち着いたのだろう。
無惨は警戒を目一杯にあげ、冷静に分析を始める。
おそらく、猗窩座の様子から仕留め損った。奴は必ず生きているだろう。
「次はない……私に恥をかかせた……真っ先に殺してやる」
無惨は日光を克服して完全に不死身の鬼になることが目的。
その目的の危険分子である鬼殺隊は滅ぼす対象。だが、数百年間も経っているのに今だに滅ぼすことができない。
しかも特定の人物にこんなにも警戒をするのは本当に数百年ぶりだ。
やるなら確実に息の根を止める。
そのためならば出し惜しみはしない。
「油断をしていたとはいえ、童磨も奴を取り逃していた。ならばーーー」
次は確実に仕留める。
その決意は固く、確実性を優先させるべく思考を始める。
少しでも不安要素があるなら、その思考は切り捨てる。
恥をかかせた。
次は必ず殺す。
「黒死牟!」
戦国の時代からの長い付き合いで、最も信頼をおいている鬼。No.2のポジションを一度も変わることなく守り抜いた鬼。
そして、かつて一度だけ無惨を追い詰めた継国縁壱の実の兄。
「お呼びでしょうか?」
無惨は黒死牟に一つの指示をだしたのだった。
獪岳がもたらした原作の改編は、本人の望む平和とは程遠い未来に進み始める。
無惨は獪岳を危険分子として認識をしてしまった。
いよいよ物語が大きく動き始める。
だが、そのことを獪岳は知らないでいる。
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