極めろ熱界雷!!目指せ一撃逃走   作:花河相

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約束守れないかも

「うぅ……」

 

 体の痛みがあり、俺は意識を覚醒させた。

 ……あれ?ここは?

 

 意識が覚醒ばかりか、記憶があやふやだ。

 ……なんで俺は寝ている?なんでこんなにも身体中に激痛があるのだろう。

 

「ここは……病室か?」

 

 動が動かないので周りを見るとそこは見慣れた光景であった。

 カナエにやられて目が覚めた時と同じ。

 

 そうか、ここは蝶屋敷か。

 でも、何故ここに?

 

 またカナエにやられたのか?だが、今まで体が動かせなくなることはなかった。

 

「んん……」

 

 あれ?誰の声だ?

 突然近くから人の声が。一体誰だろう。そう思い、声のした方向を見ると……そこにはカナエがいた。

 椅子に座った状態で寝てしまっている。

 もしかして看病してくれていたのか?

 

「カナエ……」

 

 俺はカナエを呼ぶ。

 

「ううん……あれ?」

 

 それから数秒し、カナエは少し可愛らしい寝ぼけた声を出した後、起きたらしい。

 

「おはよう……でいいのかな?」

「はい、おはようございます獪岳……さ…ん」

 

 カナエは目を見開く。

 そして、目から涙を流す。

 

 

「もう起きないんじゃないかって……心配させないでください」

 

 カナエは俺の手をゆっくりと握り、泣き始めてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから三十分ほどでカナエは落ち着いた。

 泣きじゃくる理由が分からず、そのままだったが、落ち着いてからは一から説明をしてくれた。

 その説明を聞いていくうちに全てを思い出した。

 そうだ……俺は魘夢に遭遇した後、猗窩座との対決したんだ。

 

 命懸けで。

 カナエから話を聞いたあと、思い出したものの、全てではない。

 まだ少しだけ思い出せない部分がある。

 

 それは魘夢の戦闘の記憶。

 少し格好つけたりしたのは覚えてるんだけど、何故か他のことを思い出せない。

 

 俺は何か夢を見せられたと思ったんだけど……なんだっけ?

 

 人は精神に異常をきたす出来事があると精神を守るために、記憶障害が発生することがあると聞いたことあるけどもしかしてそれだろうか?

 

 まぁ、覚えていないことは気にしなくていいか。

 今はカナエとの会話に集中した方がいい。

 

「……なんで無理をしたのですか?」

 

 全てを語り終えたカナエから一番に出てきた言葉。

 

「……乗客を守るため……。大切な後輩を守るため……任務を達成するため。……このどれかに該当すると思う」

 

 原作のため。炭治郎たちには死なれたらまずい……君に悲しい顔をして欲しくなかった。それが理由だ。

 

「死ぬかもしれなかったんですよ?」

「カナエに心配をかけて申し訳ないと思ってる…それでも……どうしても守り抜きたかったんだ。……死なせたくなかった」

 

 炭治郎たちは直接関わった期間は短い。

 だが、かけがえのない存在になりつつある。失うのはどうしても嫌だった。

 

「私が悲しんでもよかったんですか?」

「それは違う!……ヴ……ケホッ…ケホ」

 

 違う。そんなことはない。

 すぐ否定しようとするも、咳き込んでしまう。大声をだそうにも何故かうまく声を出せないし、肺が痛い。

 

「どうぞ」

「……これは?」

「痛み止めです」

「……ありがとう」

 

 カナエに薬の入った瓶を渡されたので、飲む。

 ああ、痛みが引いてきた。

 これなら話せそうだ。

 

「……君に悲しい顔をさせたくなかった。……君は人が死ぬ時とても悲しい顔をする。それは初めて出会った最終選抜の時もそうだった。一緒に最終選別を受けた者の死体を見るだけで悲しい顔をしていた。……鬼の戦闘で弱り、病室で息を引き取った人の時もそうだ。……それは関わりを持った時間が長ければ長いほど悲しい顔をする」

 

 そう。原作を抜きにしても俺が後輩を守った一番の理由はやっぱりカナエだ。

 

「……あなたが死んでしまうことは考えなかったのですか?私にとってあなたは世界で最も大切な人なのですよ?それを理解してますか?あなたなら炭治郎くんたちを置き去りにして逃げる事はできたはずですよ」

 

 何かを試すような……真剣な表情で質問をしてくるカナエ。

 逃げる選択肢はあった。でも、その選択は戦闘が始まった時点で省いていた。

 

「ごめん……それは考えが浅慮だったのかもしれない。だけど、俺は死ぬつもりはなかった。……信用してもらえないかもしれないけど」

 

 カナエは黙って聞く。

 でも、カナエに心配をかけてしまうのは申し訳ないと思う……でも。

 

「たしかに見捨てれば怪我もせず逃げられたかもしれない……でも、俺はどうしても守り抜きたいと思った。無限列車に乗っていた乗客には待っている家族や知人がいるはずだ。その人たちに悲しい顔はさせたくなかった。人が死ぬ事はとても悲しいからね」

 

 全てを守り抜こうとしたわけじゃない。カナエのために炭治郎たちは死なせたくない。だから……。

 

「目の前で救えるかもしれない命がある。………俺はそう思うと居ても立っても居られなかった」

 

 少し大袈裟に言っているが、これは俺の本音だ。猗窩座をどうにかしなければどれだけの被害が出ていたか。

 

「………これ以上獪岳さんに何を言っても無駄みたいですね」

「カナエ?」

 

 一人納得したようだが、わからない。

 今の説明で文句を言われると思っていたのだが。

 

「獪岳さんは頑固ですからね。もうこれ以上は言いません。ただ、ひとつだけ約束してください」

「……何?」

「……どんなことがあっても死なないでください」

 

 もちろん死ぬつもりはない。

 

「わかった。……約束するよ」

「もしも約束破ったら私も後を追いますから」

「……それは、責任重大だな」

 

 おそらく今のは本気だ。

 なら俺も一言だけ。

 

「なら、俺もカナエが死んだら後を追うから」

「え?私もなのですか?」

 

 虚をつかれた様に驚くカナエ。

 当たり前だ。

 

「そう……約束だ」

「……わかりました」

 

 これから今回のとは比べ物にならないくらい戦闘は激化する。

 

 この約束は難しいかもしれない。それでも、俺はこの約束だけは守りきってみせる。

 

 そう決意を改めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃーこの話はもう終わりです!」

 

 手をパンッと叩き、今の雰囲気を断ち切る。

 

「実はもう一つ詳しく聞きたいことがあるんです。……むしろこっちの方が大切かもしれません」

「何かな……あれ?なんで日輪刀持つの?」

 

 あれ?本当になんで……冗談?……冗談にしてはタチが悪い。

 え?……目のハイライトが休業中。

 

 ……あれ?なんか急に頭痛が

 

 何かこの光景……最近見たことある様な。

 

「これは炭治郎くんたちと下弦の壱に協力していた被害者の方から聞いたのですが………獪岳さんと同じ夢を見た人たちから興味深いお話を聞きまして」

「…………え?」

 

 目の前の光景を見て、脳が揺られるようにどんどん記憶が流れ込んでくる。

 

 ……夢?ゆめ?ユメ………。

 

 ……俺は全てを思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 約束守れないかも……。

 

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