カナヲが作ってくれた夕食を食べて日が沈み、鬼殺隊の活動時間となった。
しのぶは柱としての巡回のため、仕事に出ている。
俺は何もすることがないので一人病室で過ごしていた。
「そろそろか」
俺は今日最後の見舞いに来る人を待っていた。
その知らせは夕食が食べ終えた直後にきた。
どうしても話しておきたいことがあるので少し時間を作ってほしいと頼まれたのだ。
その人物というのが。
「夜分遅くに申し訳ありません」
「大丈夫ですよ。珠世さん、愈史郎」
蝶屋敷の医療や血鬼術などで鬼殺隊を支えてくれている鬼。
珠世さんと愈史郎だ。
「大丈夫ですよ。……ちょうど俺も聞きたいことがあったので」
「わかりました」
二人は俺のベッドの近くに座り、話し始める。
「先日の件……ご無事でよかったです」
「ありがとうございます。……正直運が良かっただけですよ」
「謙遜することはないぞ。同じ日に十ニ鬼月2体……しかも上弦と遭遇したんだ。運だけじゃ生き残れないだろ」
遠回しに心配と称賛をしてくれる愈史郎。
初対面だとカナエに嘘を言われてひどい目にあったが、それから数ヶ月共に過ごし、俺を認めてくれたのか、あまり警戒はされていない。
「どうもご心配をおかけしました」
とりあえず社交辞令でそう言う。
「細かい内容は省くとして……本題に入りましょうか」
「わかりました」
本題というのは鬼の毒について。そして、採取した鬼2体の血について。
「今回の戦闘で試せた二種類の毒……これは効き目はありました。痺れ毒は下弦の壱にも通用し多少動きを止めることができました」
「そうですか……まだ改良は必要ですが、その成果を試せたのは私たちとしても良かったと思います」
「もう一つの鬼を殺す毒についてですが」
一つは成果が出たが、次のはダメだ。
「次に鬼を殺す毒についてですが……残念ながら上弦は殺せませんでした」
「そうですか……上弦には」
だが、珠世さんはガッカリしていなかった。やっぱりそうだったか。元から予想していなようだ。
「量の問題もあったかもしれません。俺の日輪刀に仕込んでいた少量であったし、稀血も混ざっていた。もしかしたらそれが原因であった可能性も」
「その可能性はないと思います。一応、不死川さんの血液で実験をしましたが、それが影響することはないでしょう」
「なるほど」
まだ研究が必要なのか。
そういえば耐性がつくことは大丈夫なのだろうか?
「一つ伺いたいですが」
「はい」
「今回使った毒について……おそらく無惨にもその情報がいっている可能性があります。……耐性がつくことは大丈夫でしょうか?」
「その心配はありません。調合を変えれば全く別のものになりますし、より強力な毒を作れば幾ら耐性がある鬼でも殺せるのでご安心を」
そうか、少し気になっていたことだが、これなら大丈夫そうだ。
「ああ、炭治郎から採取した上弦の血は受け取りましたか?」
「はい。2日前に」
「よかった」
炭治郎はしっかりと採取してくれていたらしい。
記憶が少しあやふやだったが、安心した。
「今回の採取していただいた上弦の血を元に研究をしていきたいと思います」
「はい」
しのぶといい珠世さんといい研究者は前向きの人が多いな。
「あまり長居してはご迷惑になりますね。本日は失礼させていただきます。……愈史郎行きますよ」
「……はい!」
珠世さんは俺を気遣ってくれたらしい。
話を切り上げ戻るようだ。
ただ、愈史郎は珠世様素敵と思っていたのか、反応が遅れ返事した。
二人は立ち上がり病室を出ようとして……珠世さんが立ち止まり俺を見てくる。
「獪岳さん」
「なんでしょうか?」
「次はご期待ください」
「あ……はい」
この時の珠世さんの目はマジだったとだけいっておこう。