猗窩座との一件から4ヶ月が経過した。
怪我は2ヶ月で完治した。俺が言うのもなんだがよくもまぁこんなに早く完治したもんだと思った。
作戦とはいえお腹には風穴が空き、左足は粉砕骨折、肋骨も半分は折れていた。
今思い返すと無茶な戦法であったが結果よければ全てよし。
平和に過ごした4ヶ月であったが何もなかったのか、そう問われればカナエが本格的にかまぼこ隊の3人と訓練を始めたこと。お館様から呼び出しがあったことだろう。
前者は俺が気を失っている時に約束をしたらしい。後者に関しては、ざっくりいえばお礼を言われ、褒美をくれるという内容。
俺は特に欲しいものもないが、天元からお願いされている件に備えたいので修行のためしばらく休暇が欲しいと言った。
少し渋るかと思ったが、お館様は二つ返事で許可を出してくれた。
よっぽど猗窩座を討伐したことが嬉しかったらしい。
死にかけたが頑張った甲斐があった。
「こうやってゆっくりするの……久々ですね」
「ああ」
時刻は正午。蝶屋敷にてカナエとお茶を飲みくつろいでいる。今日、蝶屋敷は俺とカナエの二人だけ。
カナヲとかまぼこ隊は皆仕事に行っており、ほかの蝶屋敷の住民は買い物に出掛けている。
珠世さんと愈史郎は日が出ているので部屋にこもっていて実質俺とカナエだけ。
この意図して作られたような静かな日常……だが、これでいい。
「……いつか……こんな日が毎日続くようになって欲しいです」
「まぁな。……だけど、鬼がいる限りは無理そうだな。俺もこの休暇終われば仕事に駆り出されるし」
「……お館様の提案、承諾していれば仕事に出ることは無くなったのでは?」
「いや……まぁ……そうなんだけど」
お館様に呼ばれた時、一つの提案をされた。
俺も妻を持つ身。お館様は猗窩座の件を気にしていた。
それで前線から退き、育手にならないかと提案をされたことがあった。理由はわからないが、カナエを心配したことと俺が達成した功績から言ったのかもしれない。
その提案に賛成したかったが、お断りした。確かに前線を退けば安全に幸せな時を暮らせる。だが、俺が抜けたらその穴は誰にも埋められない。
簡単に柱は動かせない。十二鬼月の存在が確認されてやっと出動する。
少し危険なだけでもだめなのだ。
だから少しでも怪しい、危険性がある任務は全て俺に振られ、対処又は情報を仕入れる流れになる。
その調査の結果により必要な人員をお館様の指示で出動をさせる。
この流れのお陰で最近では殉職率は下がり、隊士の質も上がりつつある。
もしも俺が辞めてしまっては逆効果。
「冗談ですよ。私も辞めてとは言いません」
「……すまん」
「謝らないでいいですよ。わかってますから。ただ、あの時した約束は忘れないでくださいね」
「……わかってるよ」
俺が死んだらカナエも死ぬ。
4ヶ月前にした約束だが、俺が死んだら本当にカナエは死ぬつもりだろう。
「俺は絶対生き延びる」
「わかっているならいいです……それに」
「それに?」
カナエは続けて言葉を話す。
「前回は私は何も出来ませんでした。……次は力になります」
「……できたら前線には行かないで欲しいんだけど」
カナエは訓練を始め、現役に近づいている。この時期に柱クラスの復活。それは嬉しいのだが、俺的にはやめて欲しいわけで。
複雑だ。
だが、俺もカナエの意志に逆らっているわけで。
「好きにしてくれ……現役復帰はしないでよ」
「分かっています。あくまでも獪岳さんのピンチに向かうだけですから」
「なら……いいのか?」
妥協という形にだが……いいのか?
「良いんですよ」
カナエは俺に微笑みそう言った。
心配をかけ続けるだろう。これから上弦の陸と対決する。
今回は天元もいるしどうにかなりそうだ。
俺とカナエは二人でゆっくり過ごしたのだった。
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