極めろ熱界雷!!目指せ一撃逃走   作:花河相

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やはり世の中甘くない

 堕姫と対峙して気がついたことといえば猗窩座が消えた影響か、番号が1つ繰り上がっていたくらいだろう。

 だが、上弦が目の前にいるのに自然と恐怖はなかった。以前にはなかった余裕。それが目の前にいる鬼と実力差があるからか、俺も猗窩座との戦闘で成長しているからかはわからないが……。

 とりあえず今は被害を抑えつつ、避難が終わるまでどう立ち振る舞いをするかが重要だ。やはりみんなが来るまで時間を稼いだ方が良いだろうか。

 

「まさか……吉原一美しいと言われた蕨姫花魁が……鬼だったなんて……驚きましたよ」

「へぇ……あんた見る目があるわね。名前は?」

「獪岳……と申します」

「ふーん……不細工な名ね」

 

 こいつ……。だめだ。こいつを怒らせるのは良くない。何百年生きようが堕姫の精神は幼稚なままだ。その傲慢で自分勝手、自分の思い通りにならなければ癇癪を起こす。

 

 ……面倒くさいガキだな……うん。

 

「あんた美形ね。……私の質問に答えてくれたら生かしてあげなくもないわ」

「……内容によりますが?」

「あんたら何人で来たの?柱はあんただけ?額に傷があるやつは鬼狩りよね?」

「他は4人……内柱は一人」

「あはは!……何あんた!本当に答えるとか……そんなに命が欲しいの!」

「……はい」

「あんたのその潔さ……嫌いじゃないわよ。……痛くないようにすぐ殺してあげるわ」

 

 堕姫は上機嫌になりながらそう言う。

 ……鯉夏花魁の逃げる時間、天元たちが行う救出の時間は稼げたかな。正直俺の我慢も限界だ。

 

「そうか……ならせめて最後に質問させてほしい」

「なによ」

「お前……本当に上弦か?」

「……は?……あんた節穴?目を見ればわかるでしょ?」

「いや、お前……弱すぎるから」

「……」

 

 ほらやっぱりガキだよ堕姫は。すぐ機嫌が悪くなる。さて、仕掛けるか。必要ないかもだが、みんなに場所を教える意味も込めて。

 

『雷の呼吸 五の型 熱界雷 2連』

 

 ドカン。

 放った熱界雷。しかし連続で放つことなく、間をあげる。

 一撃目は堕姫を外へ飛ばすため。外へ飛んだ堕姫の先回りをし上空へ打ち上げるため二撃目を放つ。

 

「ぎゃーーー!」

 

 堕姫の悲鳴が空から聞こえた。

 俺はそれを見ながらピッタリのセリフを思いつく。

 

「ふ、汚ねぇ花火だ……爆発しないけど」

 

 それから10秒ほどして堕姫が落下し、地面に小さいクレーターを作り着地した。

 

「許さない」

 

 冷めた声。その声から堕姫の沸点が限界にきたらしい。

 それに後ろから2本の帯が背後から飛んできて、堕姫と合体する。

 

「さっきまでは全然本気じゃなかった……私を怒らせたこと……後悔させてやるわ」

 

 堕姫は自信に満ち溢れていた。

 一つ……伝えておいてやろう。

 

「無惨から聞いてないか?」

「……何をよ」

「上弦の参を倒した鬼狩りの話を」

「……雷の呼吸……黄色の鱗紋模様の羽織に刃のない刀……あんたまさか!」

 

 お、まさか俺、認識されてたとは。

 

「あの方が言っていた……あは!運がいいわ。私があんたを殺せばあの方がお喜びになるわ」

「……できるものならやってみろ」

 

 堕姫は少し冷静になり始めた。逆効果だったかもと思いつつも近づいてくる大きな気配が一つ。

 ふ、どうやら目的は達成したらしい。

 

「こいよ……上弦もどきの雑魚」

「調子に乗るんじゃないわよ!」

 

 6つの帯が迫る。だが俺は何もすることなく、帯は一瞬にして斬られた。

 

「俺を差し置いて随分と派手にやってんじゃねぇか……ええ?」

「よぉ、来たか天元……それで?…須磨さんたちは?カナエは?」

「ふ、俺様を誰だと思ってやがる?音柱宇髄天元様だぞ?全員無事救出した。今は胡蝶姉と避難誘導させてる」

「愚問だったな。忘れてくれ」

 

 そこに現れたのは心強い仲間、天元だ。

 

「柱ね?……まさかそっちから来てくれるなんて……手間が省けたわ」

「おい、まさか地味にこんな奴に手こずってたのか?」

「ちげぇよ。お前くるの待ってたんだよ。相手は上弦だぞ?」

「は?……こいつ上弦じゃねぇだろ。弱すぎだろ」

「何無視してんのよ!……え?」

 

 堕姫は不思議そうな声を出し、膝をつき、首が地面に落ちた。

 流石天元。あの一瞬で斬るとは。

 

「お前弱すぎなんだよ。俺が探っていたのはテメェじゃねぇ」

 

 これから兄の妓夫太郎が出てくるんだよな?できたら出てきた瞬間に斬るのがベスト。

 少しそう促しておくか。

 

「なぁ、天元……おかしくないか?なんでまだ体崩れてないんだ?」

「そのうち消えるんじゃねぇか?」

「どうだかな。……上弦の伍なのに弱すぎる。……下弦の壱はこいつよりも強いし、厄介だった。……天元も探っていた鬼はこいつじゃないって言ってたよな?」

「何が言いたいんだ?」

 

 さて、どういったものか。

 原作知識から知ってるって言っても逆に怪しまれる。

 ……なら。

 

「昔……俺がこの刀にする前、一つの体に首が2つある鬼と対峙したことがあってな。その時、片方の首を斬っても死ななかった」

「ほう、お前、首斬ったことあったのか。……それで?」

「茶化すな。俺も昔は実力差があれば首斬ってたんだよ。……話はそれたが、その鬼はもう一つの首を斬ってやっと体が崩れ始めた。これは予測だが、お前が探っていた鬼は別でいる。上弦の伍なのにそこまで強くないソイツ。……もしかしたら」

「ふーん、なるほどな」

 

 天元はその場で思考した。まぁ、そんな都合のいい鬼と遭遇したのは嘘だが、直接首を斬って倒したことがあるのは嘘ではない。

 とにかく理由付けができればそれでいい。

 

「えええええぇん!」

「うわ、ギャン泣きしやがったよ」

 

 やはり未だに体が崩れることがなく泣いている堕姫に呆れる天元。だが、やはり疑問に思い始めたのだろう。

 天元は真剣な顔をして俺を見る。

 

「確認だが……お前が倒した鬼は2つの首を斬る必要があったんだったな」

「……そうだ」

 

 その後泣き続ける堕姫の体に変化が現れた。

 背中から突然もう一体の鬼が現れた。

 

「はぁ!」

 

 天元はそいつが現れた瞬間、二体目の鬼の首を斬るため接近し、同時に爆音が響く。

 

 ……やったか?

 

「へぇ、やるなぁ…攻撃止めたなぁ。殺す気で斬ったけどなぁ。いーなぁお前いーなぁ」

 

 だが、首は斬られることはなく、

 

 緑髪で白い肌に身体中にシミやアザが多く痩せ細っている鬼……妓夫太郎が現れる。

 

 天元は額に切り傷があった。

 ……仕留め損なったか。

 

 やはり相手は上弦。あわよければ仕留められればと思ってたがそんなに甘くなかったか。




最後まで読んでくださりありがとうございました。
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