妓夫太郎が現れ緊張感に包まれる。仕留め損なったのはきつい。
だが、何回か大きな音が鳴ったおかげか妓夫太郎が出てくる前に避難したと思う。何人か残っているかもしれないので、本気で戦うのは無理だろう。周りに配慮しなければ。
原作では妓夫太郎は天元と相討ちで終わった。
天元は死ぬことはなかったが、毒に侵され片目と片腕を失い鬼殺隊引退。
妓夫太郎は接近戦に特化しているが最も厄介なのは血鬼術だろう。
血の刃を飛ばす、中遠距離からの攻撃もあり、その血には猛毒が含まれている。
「なぁ、お前たちよくもまぁ妹をいじめてくれたなぁ。可哀想に、いい大人が寄ってたかっていじめるなんて……最低だなぁ」
「お兄ちゃん!こいつら殺してよ!私の邪魔したのよ!」
「そうだなぁ、そうだなぁ。かわいい妹をいじめるなんざ許せねぇなぁ。取り立てるぜ俺はなぁ。やられた分は必ず取り立てる。死ぬ時ぐるぐる巡らせろ。俺の名は妓夫太郎だからな!」
……厄介な相手だ。
今回は天元がいるし、もうすぐかまぼこ隊の3人も来る。
俺と天元が妓夫太郎、堕姫をかまぼこ隊の相手をすれば勝てる。
原作では勝利したがみんなボロボロになってたが、人員に余裕がある。
今回の戦闘は天元が妓夫太郎を倒すための譜面を完成させれば勝てる。
「妬ましいなぁ。お前ら本当に妬ましいなぁ。肌にシミもアザも傷もない……綺麗な肌をしてやがるなぁ……相当恵まれてんだなぁ」
「まぁ、俺は派手で色男だから当然だろ。女房も3人いるからな」
「……火に油注ぐなよ……怒らせてどうする?」
「お前も綺麗な女房いるだろ?」
「お前ら女房がいるのかよ……しかも一人は3人も……本当に恵まれてんなぁ。ふざけんなよ……なぁ。許せねぇなぁ!」
妓夫太郎は怒り左手で顔に傷を入れ、右手に持つ鎌から血が噴き出る。
『血鬼術 飛び血鎌』
妓夫太郎から薄い血の斬撃が大量に飛んでくる。
……原作の時より多くないか?ま、別にどうでも良いが。
「獪岳!」
「わぁったよ!」
『雷の呼吸 伍の型 熱界雷 三連』
俺は血の刃を熱界雷で相殺、そのまま空中に飛び上がる。
天元は懐から特別性の火薬玉を複数個取り出し、妓夫太郎がいる方向へ投げる。
『雷の呼吸 伍の型 熱界雷』
俺はその火薬玉目掛けて斬撃を飛ばす。
ドカン!
妓夫太郎と堕姫がいた場所が爆発した。
俺は着地し、様子を伺うも……爆煙が収まりため息をした。
堕姫が妓夫太郎の上に乗り合体、爆発は帯で完全に防がれた。
「……チッ…一筋縄じゃいかないな」
「あの帯……厄介だな」
「ああ」
簡単に勝てる。その考えを捨てた。こいつは上弦なんだ。猗窩座を倒して少し調子に乗っていた。
「お前ら、気にくわねぇな。今まで殺した柱たちと違う。生まれた時から特別だったんだな。選ばれた才能だなぁ。……妬ましいなぁ。一刻も早く死んでもらいてぇなぁ」
「才能?俺に才能なんてあるように見えるか?俺程度でそう見えるならテメェの人生幸せだな」
「は?」
天元が妓夫太郎の言葉に返答する。それにしても俺に才能がある……柱に見えるか。こいつ節穴だわ。
「何百年生きていようが、こんなところに閉じこもっていりゃ、世間知らずのままでも仕方ねぇな」
「お前に何がわかる!」
堕姫が反応を示すもの天元は話を続けた。
「わかんだよ。しらねぇだろ。この国はな、広いんだぜ?すげぇやつらがウヨウヨしてる。得体の知らねぇ奴もいる。底知れねぇ奴もいる。刀を握って二月で柱になるような奴もいる」
底知れねぇって俺のことか?
「俺が選ばれてる?……ふざけんじゃねぇ!俺の掌からどれだけの命がこぼれ落ちたと思ってんだ」
「……天元」
天元は最後の言葉を言い終えると俺を見て何かを心の中で何かを言っているようだった。……気になるし後で聞いておくか。
「だったらどう説明する?俺の血鎌には猛毒があるのにいつまでも死なないじゃないか!」
「俺は忍びの家系なんだよ。毒なんて耐性あるから効かねぇ」
「忍びなんて江戸の頃には絶えてるでしょ?嘘つくんじゃないわよ!」
「嘘じゃねぇよ」
天元は少し無理をしている。呼吸も荒くなってきている。
それに気がついてか、妓夫太郎は笑い始めた。
「毒効いてるじゃねぇか。効かねぇなんて虚勢張って……みっともねぇな」
「全然みっともなくねぇよ。虚勢を張って何が悪い?男が大切なもん守るためにやってんだ。むしろ派手でかっこいいと思うが?」
さっきから本当に妓夫太郎はムカつく。
こいつらが鬼になった経緯には同情するが、妬ましいと言われ続けること、今までやってきた努力そのものが否定されてるようでムカつく。
「地味にいいこと言うじゃねぇか!」
「そりゃどう……も!」
「?!……テメェ!何しやがった」
俺は懐から刺せば薬が注入できる簡易の注射を天元の腕に打ち込んだ。
「しのぶと珠世さんお手製、解毒剤だ。効くか分からないが、ないよりかマシだろ」
「んなもん必要ねぇんだよ!抜き取れ!」
「無理に決まってんだろ!てか人の厚意に感謝したらどうなんだ!」
「いらんわ、んな気遣い!……だが少し楽になった……感謝しねぇとな!胡蝶妹と珠世っつう鬼にな!」
「俺に言えよバカ!」
「私たちを無視すんな!」
「何仲良く喧嘩してんだよな?舐めてんのか?あん?」
天元との会話中、帯と飛び血鎌が迫る。
俺はその場で体勢を低くし、天元が投げた火薬玉を避ける。火薬玉が周囲で爆発する中そのまま俺と天元は鬼二人に接近する。
『血鬼術 飛び血鎌』
俺と天元を囲うように無数の血の刃が襲ってくる。
中には火薬玉で防いだはずの血鎌も混ざってる。
本当に厄介だ。だが、防げる。俺は飛び上がり天元の頭上に。体の捻りを利用し技を出し、天元は妓夫太郎に接近を続ける。
『雷の呼吸 五の型 熱界雷 乱 旋回』
俺はその場で旋回し、熱界雷を放ち血の刃を相殺。だが、液体はすぐに形を形成し直し再び迫ってくる。
『音の呼吸 伍ノ型 鳴弦奏々』
天元は鬼二人に突進し、刀を高速で旋回させ爆風と斬撃を浴びせる。
こいつ、完全に攻撃に専念してやがる。
俺のこと信用しすぎだろ。防げなかったらどうするんだよ。
「おらぁぁぁ!」
「うひゃひゃひゃ!」
気にせずに天元は突進し、妓夫太郎と斬り合い無数の火花が飛び散る。
接近戦は互角か……いや、妓夫太郎が上だ。天元は切り傷ができているし、帯の攻撃も避けながら。
残念ながら俺は接近戦は苦手だ。だから天元と妓夫太郎の戦いに介入できない。前回の猗窩座戦は無理をしていた。
俺ができるのはアシスト。
『雷の呼吸 伍ノ型 熱界雷 六連』
一瞬でも隙に繋がれば良い。あわよければ体勢が崩れてしまえば良い。
だが。さすがは妓夫太郎、全てを受け流してしまう。
『跋弧跳梁』
「何!」
妓夫太郎は正面に血の斬撃で天蓋を作り俺の熱界雷を受け切り、天元は瞬間的にバックステップしぎりぎりで躱す。
「いい連携してんなぁ。だがこのままじゃ俺らには勝てねぇぞ?どうするんだ?」
だめだ、攻め切れない。俺と天元の連携はほぼ完璧。お互いの長所を生かし、攻めているにも関わらず勝てない。
やっぱり俺らだけじゃむずい。
だからこそ。
「宇髄さん、獪岳さんお待たせしてすいません!」
「俺らを忘れちゃいけねぇぜ!待たせたな!」
「Zzzz…Zzzz」
ふ、ついに来たか。待たせすぎだ。
「テメェら……派手な登場じゃねぇか!気に入ったぜ!」
役者は揃った。
「戦いはこれからだ。覚悟しろよ鬼ども」
最後まで読んでくださりありがとうございました。