上弦の壱、黒死牟は原作において鬼舞辻無惨の部下で最強。他の上弦の鬼たちとは別格の実力を持っている。
400年以上生きており、鬼でありながら呼吸や型を使用して戦う唯一の鬼。
本名を継国厳勝という名で、始まりの呼吸である日の呼吸の使い手継国縁壱の双子の兄に当たる。
そして、原作ではこの獪岳を鬼にした張本人でもある。
……最悪だ。
やるしかない。やるしかないのはわかっている。
だが、打開策が浮かばない。
原作で黒死牟は無一郎、不死川兄弟、悲鳴嶼さんの4人がかりで倒した。
しかもそのうち弟の不死川玄弥と無一郎は死亡、不死川実弥と悲鳴嶼さんは負傷した。
今ここには俺と天元。
家の屋根の上から俺たちの様子を窺っている炭治郎、禰豆子、伊之助、善逸。
動けるのは俺と天元だけだ。残りは恐怖からすくんで動けないでいる。
……やるしかない。
ここで炭治郎が死ねばこの日本……いや、世界が滅亡する。
呼吸を整え仕掛ける。
俺の出来ることは決まっているのだから。
覚悟を決め、天元と視線を合わせること刹那、仕掛ける。
「おらぁ!」
『雷の呼吸 伍の型 熱界雷 六連』
天元が足元に二刀を叩きつけて土煙を起こす。透き通る世界を持つ黒死牟には目眩しなんて意味がないだろう。
それでいい。
ほんの僅かでも、気がそらせるのなら。
二連の熱界雷を黒死牟に放ち、残り四連は威力を落として炭治郎たちに向かって放ち吹き飛ばす。
動けない奴は足手纏いだ。
「ほう…咄嗟の判断にしては…悪くない」
「な?!」
……なんで目の前にいたはずの黒死牟が俺たちの背後にいるんだよ。
警戒は行っていなかったはずなのに。
気が付けなかった。
ーー死
それが今俺と天元が感じたものであった。
この場に居てはダメだ。
俺と天元は反射的に動いていた。
『雷の呼吸 伍の型 熱界雷 乱』
無意識に体が動いた。
黒死牟と対峙し、全身の感覚が研ぎ澄まされていたのだろう。
俺は咄嗟に振り向き様に周囲四方向に熱界雷を放つ。
それと同時に天元は黒死牟に向かい火薬玉を投げてきた。
それが幸いした。
ーードカン
天元は俺の熱界雷で、俺は刀に当たった火薬玉の爆風により、吹き飛ぶ。
「かは!」
吹き飛んだ時に、刀は手放さず受け身を取る。
火傷を負ってしまったが、こんなの死に比べればマシだ。
すぐに体勢を整えて黒死牟と向かい合い、天元を確認すると……無事のようだ。
「はぁ…はぁ…はぁ」
今のやり取りだけで息が上がってる。
やはり、さっきの戦闘での毒の影響か。解毒薬だけじゃ、毒の巡りを遅くするだけだったのか。
「ふむ……良き連携だ」
くそ……黒死牟のその余裕がムカつく。
俺は天元に指文字であることを伝え、その後黒死牟に仕掛ける。
「はぁ!」
『雷の呼吸 五の型 熱界雷 四連』
とにかく天元から意識を逸らしたいので黒死牟に攻撃を仕掛ける。
だが、黒死牟は熱界雷を体の重心移動、最小限の動きだけで避け、そのまま斬りかかってくる。
「…こちらも抜かねば…無作法というもの」
『月の呼吸 壱ノ型 闇月・宵の宮』
鞘から抜かれた一閃の斬撃。
黒死牟の斬撃は特殊だ。
通常の斬撃に加え独特の刀の刃から繰り出される月輪の不規則な斬撃は変化するので間合いがとりづらい。
だから俺は刀身延長線上に入らないように跳躍する。
『雷の呼吸 伍の型 熱界雷 六連』
そのまま黒死牟の足元に向かって放つ。
少しでもバランスが崩れれば儲けもんだ。
『音の呼吸 壱ノ型 轟』
黒死牟は透き通る世界で視覚に入る人物の筋肉、呼吸、内臓の動きから先読みされてしまう。
だが、視覚外なら先読みはできない。
俺は天元に先読みされることを端的に伝えた。
……意図を読み取ってくれたようで何より。
だが、こんなことで勝てるほど甘くない。
『月の呼吸 伍ノ型 月魄災渦』
黒死牟は刀を全く振らずに竜巻のような斬撃を発生させ、天元に斬撃の刃が迫る。
天元は毒に侵され動きが少し鈍っている。だから反応も遅れてしまった。
「天元!」
名を咄嗟に叫ぶもすでに手遅れ。
黒死牟の放った斬撃が天元に迫る。
『花の呼吸 陸ノ型 渦桃』
『蛇の呼吸 弐ノ型 狭頭の毒牙』
だが、花の香りと共に二人の隊士が現れ、黒死牟の斬撃を迎撃し、天元を助けられる。
「待たせてすまない。獪岳、宇髄」
「遅れてしまい申し訳ありません」
そこには白蛇を首に這わせた白と黒の縞模様の羽織を羽織っている蛇柱の伊黒小芭内。腰まで伸びた美しい黒髪に二つの蝶の髪飾りをつける女性……胡蝶カナエ(俺の嫁)が現れた。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
最終話まで連日投稿予定です。