「ここは?」
……見慣れた天井だ。
ここは蝶屋敷の病室か。
となると、俺は生き延びたらしい。
黒死牟の生死はわからないが、まぁ、生き延びただけよしとするか。
「いたたたた」
起き上がろうと力を入れるも激痛が身体中を巡る。
ああ、やっぱりダメか。
だが、死んでないだけマシとしよう。
「それにしても良く生き延びれたよなぁ」
ーーガタン!
「ん?」
なんだ?首を動かせないので、確認できないけど……誰か、きたのか?
「……が」
「が?」
なんだよ、はっきりしないなぁ。
声からして男の声だけど。
「獪岳様!目覚めましたぁぁぁぁ!」
あ、教えてくれてありがとう。でも、もう少し声量小さくできなかったのかな?耳がすごく痛いんだけど。
男の声が蝶屋敷内に響いた結果、数人勢いでバタバタと向かってきた。
ああ、言わんこっちゃない。
病室に人が押し寄せてしまい、騒がしくなってしまったが、落ち着き次第後日談をしてもらった。
とりあえず、死人はいない。皆無事生還したのだった。俺が起きたのはあの時から二週間経ったらしい。
また、引退すると言っていた天元はいまだに柱として君臨しているらしい。
一体何があったのやら。
ここには蝶屋敷のメンバー全員(しのぶ以外)と炭治郎。
善逸と伊之助は任務に出ていて、この場にはいない。
炭治郎は黒死牟戦で刀を失い今だに新しい刀を作ってもらえず、蝶屋敷の手伝いと鍛錬をしているらしい。
……らしいのだが。
「あの、なんでそんなに暗いんだよ」
これだ。何故か無事に一件落着。
遊郭は原作通り崩壊したが、妓夫太郎と黒死牟(生死不明)を倒したというのに、なぜか皆俯いている。
代表して俺に説明してくれたカナエも俯いている。
「どうしたんだよ?上弦を一度に二体だぞ?それも鬼殺隊の損害はなしでだ。これは快挙だと思うんだけど?」
あれぇ?なんで誰も目を合わせようとしてくれないんだ?
俺何か、ミスったか?
「……そうですね。……いつまでも黙っていることはできないですよね。私から言いますね。獪岳さん、驚かないでください」
「……わかった」
カナエさん……なんで、そんな前置きが必要なんだ?
カナエは深呼吸をした後、話始める。
「先日の遊郭での一件……鬼殺隊士に死人はおらず、全員無事に生還しました」
「それはさっき聞いたけど」
「ですが……あの、獪岳さん、一度ご自身の体を確認ください」
「え……あ、うん」
とりあえず体に力を入れてみる。
呼吸は問題ないから、内臓は平気。
右手……左手は…動く。
「……あ…あれ?……なんか足が全く動かないんだけど」
違和感……おかしい。
呼吸で確認するも……わからない。
「ごめんなさい。……獪岳さんの足は負傷の影響で血行障害を偶発してしまいました。手を尽くしたのですが……ごめんなさい。壊死が進み、これ以上は命に関わってしまうので、獪岳さんの意思確認する前に、やむなく両足を切断させていただきました」
「……そっか」
……ただ一言、そう返すことしかできなかった。
俺の両足は膝から下がなくなっていたのだ。
そうか……そう…か。
「……しばらく一人になりたい」
考え、絞り出した言葉がこれだった。
……ああ、どうすりゃいいんだよ。
最後まで読んでくださりありがとうございました。