【本編完結】コントラクト・スプラウト ~ おじさんでしたが実在合法美少女エルフになったので配信者やりながら世界救うことにしました ~   作:縁樹

283 / 539
271【緊急会談】飛んで火に入る

 

 

「どっ、どど、どどうど、どっ、ど、うど……どうしましょう、わかめさん!!!」

 

「と、とりあえず落ち着いて下さいミルさん……又三郎(またさぶろう)みたいになってるから……」

 

「又三郎……宮沢先生、でございましょうか」

 

「??? ……タマ、サブロー??」

 

「「またさぶろうだよ(でございます)」」

 

 

 

 

 うにさんと、マネージャー八代(やしろ)さんを交えての反省会(兼ミーティング)は……若干名に対し大ダメージとなる爆弾をぶん投げたまま、しかしさすがに夜も遅いということでお開きとなった。

 会議通話が終了して……まぁそんな気はしていたけど、五秒と置かずに着信メロディが鳴り響き……

 

 

『お願いです!! たすけてください!! わかめさん!!』

 

「ミルさん心からの一句ですね。……夜分で恐縮ですが、今から()()()も大丈夫ですか?」

 

『……? えっ、うちに来られる……ってことですか? ……ぼくは構いませんけど……でもこんな夜じゃ、電車もバスも』

 

「「こんばんわァー!!」」

 

「うわァーーーーーー!!!?」

 

「おっ、おじゃま……します……」

 

 

 

 家主の許可を得たのでラニに【門】を開いてもらい、岩波市のおれの自宅から浪越市港区の某地点まで一瞬で移動する。

 ミルさん宅のリビングに現れたおれたちは隣室との扉を開き、半泣きでPCデスクに向かっていたミルさんとご対面を果たしまして。

 

 そしてみんな揃って場所をリビングスペースへと移し、ダイニングの椅子に失礼したところで……そこで冒頭のような又三郎(またさぶろう)を披露された、というわけ。

 

 

 

「いやぁ、まぁ…………いい機会(チャンス)だと思う……思いますよ? おれ……あっ、いえ……わたしは」

 

「……楽な話し方で大丈夫ですよ。ぼくも取り繕う余裕無いですし」

 

「んぅ……じゃあお言葉に甘えて。…………正直なところ、ミルさんだって『嫌いじゃない』んでしょう? うにさんたち『にじキャラ』のみんなが」

 

「それは…………はい。間違いなく……好き、です」

 

「ですよね」

 

 

 

 現在ミルさんが抱えている葛藤……それはつい先程、おれと『玄間(くろま)くろ』さんとの打合せの場を設けるついでに、『ミルも事務所おいで』『久しぶりに【Sea's(シーズ)】のみんなで集まろう』という爆弾が爆発したことによる。

 

 以前の()()であれば、特に不安に思うことなく同意していたことだろう。

 しかし今の()には、そうすることができない理由ができてしまった。

 

 『ミルク・イシェル』というキャラクターの()を演じる日本人の女の子『有村悠菜(ありむらゆうな)』さんとしてではなく……日本人離れした容姿の男の娘『ミルク・イシェル』()()となってしまった、今の()

 容姿からして『何かとんでもないことが起こった』ことがひと目でわかってしまうので……職場(にじキャラ)の方々と顔を合わせるということは、イコール詳細を説明する必要が生じてしまうということであって。

 

 

 良好な関係を築けている同僚だからこそ、いつかはこの秘め事を打ち明けなければならない。

 ならば多くの同僚が一同に会する場であり……そして、この事態の詳細に少なからず精通しており、多少はフォローができるであろうおれが同席できる場であれば、彼も少しは気が楽だろう。

 

 

 

「……大丈夫ですよ、ミルさん。部外者のおれから見ても、【Sea's(シーズ)】のみんなはいい雰囲気じゃないですか」

 

「そ、そうなんですけどぉ……! 実際()()()()であの子らとの会合に行くのは気が引けるっていうかぁ……!!」

 

「大丈夫です。心配しないでくださいミルさん。……おれもいっしょに、ちゃんと皆さんに説明しますから」

 

「それはとても心強いんですけどぉ!! 若芽さんだからこそ宜しくないっていうかぁ!!」

 

「…………? えっ、と……? す、すみません、おれにどこか至らぬところが……? やっぱ生粋の女の子どうしの場だから……」

 

「ち、ちがうんです! そうじゃなくて!」

 

 

 東京への……『にじキャラ』さんの事務所へ赴いての、くろさんとの顔合わせと大規模な打合せ。

 おれも一緒だから大丈夫だよ、などと必死に鼓舞してみたのだが……それでも二の足を踏んでしまっているミルさんの、いちばんの懸念。……それは。

 

 

 

「っ、その……()()の子が! …………ああもう! いいですか若芽さん! 【Sea's(シーズ)】にはですね! 性別問わず小さくて可愛い子が大好きな……()()()(やつ)がいるんですよ!!」

 

「…………つまり、その…………ミルさんが狙われちゃうかも、ってこと?」

 

「ははは何をいってるのさノワ。『性別問わず小さくて可愛い子』でしょ? キミもじゃん」

 

「そうです!!」

 

「ヒュっ」

 

 

 

 

 そのひとのお名前は……当たり前だが、おれも聞いたことのあるひとだった。

 ミルさんの同期【Sea's(シーズ)】の一員であり、彼いわく『本格的に手遅れな患者』。

 

 

 その子の名前は……『花笠(はながさ)海月(みづき)』。

 中性的な容姿と落ち着いたハスキーボイスが特徴的な、【Sea's(シーズ)】いち『声がいい』女の子配信者(キャスター)

 

 朗読劇や雑談枠やASMR(自律感覚絶頂反応)など、その『いい声』を十全に活かした配信枠には男女問わず根強い人気がある、にじキャラ公式実力派美少女劇団員配信者(キャスター)……である。

 

 

 

 普段の活動を拝見している限りでは、海月(みづき)さんの立ち振舞いはとてもスマートでカッコイイのだ。……ヅカ系、というやつだろうか。

 そんな彼女が、そんな病気……もとい、おれと近い趣向の持ち主だなんて……そりゃ確かに、配信者(キャスター)とかでも小さい子相手には、ものすごく紳士的に接していたようだったけれど……

 

 

 …………え、つまりその『紳士的』な対応って、つまり()()()()こと?

 

 まって、おれもしかして……めっちゃヤバい内部事情聞いちゃった?

 

 





にじキャラⅣ期生『Sea's(シーズ)』メンバー
(※一部抜粋)

玄間(くろま)くろ】
超マイペース歌謡少女配信者(キャスター)。イメージカラーは黒銀。
母親は温泉旅館の大女将。四姉妹の末っ子。
立ち絵や各衣装の全てが和装(テイスト)。
異様に高い歌唱力と、独特の喋り口が特徴。

花笠(はながさ)海月(みづき)
公式実力派美少女劇団員配信者(キャスター)。イメージカラーは赤と黄。
女声ながらよく通る声は、幅広い層に人気。
人当たりが良く、基本どんな相手にも紳士的。
だが小さな子相手には少々()()()らしい?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。