【本編完結】コントラクト・スプラウト ~ おじさんでしたが実在合法美少女エルフになったので配信者やりながら世界救うことにしました ~ 作:縁樹
『コントラクト・スプラウト』前回までの三つのできごと!!
ひとつ、美少女に釣られて人けの無い場所へ誘い出された、おれことわかめちゃん!
ふたつ、突如吹っ掛けられた『試験』は……なんと妙にリアルな白昼間だった!
みっつ、目を醒ましたおれが急ぎ部屋へ引き返すと……相棒がおれのぱんつを漁っていた!
「
「!!! ご、ごめん! ごめんラニ……大丈夫?」
「……ボク
「…………はは……」
いやぁ……やっぱり隠し通せるわけがないか。
本人は『なにわろてんねん』とおキレになられているけども、この鋭敏きわまりない感性には笑うしかない。
痛みにしかめた顔から、可愛らしく寄せた眉根はそのままに……あからさまに『心配』の表情を浮かべておれを見つめる、素っ裸の可愛らしい相棒。
おれが憧れ、尊敬する本物の『勇者』には……隠し事をするのは、難しいみたいだ。
「……隠せるとか、思わないでね? 一割とか二割なんかじゃなく、八割そこらも目減りしてれば……さすがに『何かあった』って気づくよ」
「……いや……ごめん。隠そうとしてたわけじゃなくて……なんていうか、おれ自身よくわかんないっていうか……未だにいまいち信じられないっていうか……」
そう前置きを置いてから……おれは観念したように、少しずつ思い起こしながら説明を試みる。
【睡眠欲】の使徒を自称する少女との遭遇と……可愛らしくも底知れない彼女が企てた、『性能試験』とやらについてを。
「…………うん。……ボクに相談が無かったのも、その『シズちゃん』に釘を刺されたからだ、ってことで納得してあげる。……色々と言いたいことはあるけど」
「……ッス。ありがとうございまッス」
どっぷりと夜も更け、お部屋の広々バスルームでお風呂を堪能している、おれたち二人。
お仕置きも兼ねて、その小さな身体を隅々まで『はぶらし』していたおれは……ついさっきの摩訶不思議な出来事について、頼りになる(けど割とえっちな)相棒の意見を求めていた。
有無を言わさぬ口調で命じられた、謎だらけの『試験』と……おれに
「それにしても……なるほど、『【
「妹たち、って言ってたし……やっぱ、すてらちゃん達も……」
「そうだね。……【
「…………三大欲求じゃん。……強いわけだよ」
「ほんとそれ」
おれたちが――というよりかは、全身鎧に身を包んだラニが――かつて相対した、『
あのとき彼女達の撤退を支援したという、ラニがその存在を推測していた『転移系の異能力者』こそが、今回おれが相対した『
魔王直々の手勢、三人の使徒たちが……満を持して動き始めたということなのだろうか。
あの『試験』で用いられた
「『獣』と『鳥』と…………『龍』、ね」
「うん……今までの『葉』は無抵抗な『ただの
「好戦性を賦与されたか。……厄介だね」
「……
「バッチリ稽古つけてもらうといいよ。あの子は見た感じ……まじで強い」
「まじで」
とりあえず、今回の襲撃で改めて実感した懸念要素として……やはりおれ単独での通常戦闘能力は、攻撃魔法での面制圧一辺倒になりがちだということ。
それで撃ち漏らさずに倒しきれるなら言うこと無しなのだが……今回のように『敵の周囲に被害が及ぶことは許されない』『絶対に
……まぁ、今回のところは結局『夢オチ』だったため、万が一誤射してしまっても実被害は無いようだったが……今後あのクソ耐久の『龍』が街中に現れでもしたら、駆除し終えるまでにどれほどの被害が生じることか。
今回は一種の『禁じ手』である『勇者』の召喚を行ったが、あれはひたすらに燃費と効率が悪い。あそこまでの大業を使わなくとも、適切な装備と修練を積んでさえいれば、もっとスマートに対処できるハズなのだ。
……そうでないと困る。
というわけで、都合よく『師匠』を見つけることができたことだし……かえったら新たな『日課』に勤しまなければならない。忙しくなりそうだ。ただでさえビッグイベントの直前だというのに。ぐぬぬ。
「……気負いすぎないでね、ノワ」
「ラニ?」
思考に沈むあまり、いつのまにか『はぶらし』する手が止まって久しく……それだけにとどまらず眉間に皺を寄せているおれの苦悩を、機敏にも察知してくれたのだろう。
おれたちの頼れる万能アシスタントさんは、真っ平らな胸を堂々と反らし……自信満々に、高らかに宣言する。
「ノワが一人だけで戦う必要なんて、ないんだからね。……そりゃあ、『夢』に引きずり込まれた今回は、ちょっとどうしようも無かったにしても……この世界での戦いなら、
「……ありがとね、ラニ」
「なんのなんの。『推し』の助けになれるんなら、ボクだって本望だよ……相棒」
「ふふっ。……頼りにしてるよ、相棒」
…………信じられるか。この妖精さん、ほんの数分前まではおれに『はぶらし』されて身悶えながら『これだめ!』『やめておねがい!』『ボクがとけちゃう!』なんて……それはそれは可愛らしい嬌声を上げてたんだぜ。
まったくもう……いたずら好きで、セクハラが大好きで、憚ることなく『ノワすき』と公言して……隙あらばおれを輝かせようと、あの手この手で(おれの無許可で)暗躍してくれる妖精さんだけど。
ここぞってときには……やっぱり、とっても頼りになるんだなぁ。
「まぁそれはそれとして、お仕置きはちゃんと済ませるけどね」
「ゥエぇ!? 誤魔化せたと思ったのに!?」
「残念だったねぇ。はいじゃあ次おしりね。今度は痛い痛いしないようにちゃんと
「いやあのここはボクの献身に免じてこのへんでゆるしてもらえrちょっと! ちょっと待って! こっ、こころの準備が! こころのじんにゃっ!? あっ!? あっ!!」
「そういえば妖精さんの蜜って『ものすごい上質な魔法触媒になる』って聞いたことあるんだけど、そこんとこどうなんですかラニちゃん」
「し、知らない! ボクそんなのしらない! だ、だめぇ! ああー!」
日頃の
身体じゅう至るところのツボを『はぶらし』で刺激されて、血行がよくなっているのだろう。おれの手のひらに収まるサイズの身体はみるみる火照って赤みを帯び、ラニもとっても気持ち良さそうだ。
これはマッサージだから。医療行為だから。健全な入浴のついでに、労いの意を籠めて身体を洗ってあげているだけだから。
だから至って健全。いいね?
「……!! …………! !!!」
「!! シズちゃん! もぉ……どこ行ってたの!? 心配したんだから!」
「…………ん。…………
「あー……そういえば、シズちゃんホテル全然満喫してなかったもんね……眠ってばっかで」
「…………ん……お昼寝、は……良いよ」
「…………、…………。…………。」
「……うん、あたしも別にとやかく言うつもりは無いけどね。ただちょっと、びっくりしただけ。帰ってきたらシズちゃん居ないんだもん」
「…………ごめん。……心配、かけたね……すてら」
「ううん、大丈夫。…………でもなぁ、シズちゃん起きたのが
「…………そう。……嬉しそうだね」
「うん! できればあの子ともヤりたかったけど、家族のガードが固そうだったし……仕方ないなって」
「ふふっ、…………そう」
「…………、…………? …………?」
「……言われてみれば、そうね。……何か良いことあったの? シズちゃん」
「…………ん。……そう、だね……ちょっと」
「へぇー! 良かったねシズちゃん!!」
「…………ん。よかった。……ほんとうに」
「あの子なら…………いい感じに……思い通りに、動いてくれるだろうから……ね」