【本編完結】コントラクト・スプラウト ~ おじさんでしたが実在合法美少女エルフになったので配信者やりながら世界救うことにしました ~   作:縁樹

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448【晴天霹靂】捕虜一名

 

 

「なるほどねぇ…………それでお母さんを頼ってくれたのね」

 

「…………申し訳ありません。モタマさまがお忙しいって、わたしも知っているのに」

 

「うふふふふ~~。大丈夫よ、大丈夫。最近知り合った可愛らしい()()()()()()のおかげでね、囘珠(うち)今とっっっても、えーっと…………いけいけどんどん? ……なんだから!」

 

「お、おぉー……そんなすごいお知り合いが居られるんですね。さすがです」

 

「…………うふふふ。そうでしょそうでしょ! お母さんすごいんだから。どうする? 若芽ちゃんも囘珠(うち)の子になる?」

 

「そっ、それは、その…………えーっと、あの……」

 

「…………冗談よ、冗談。……うふふ、ごめんなさいね。囘珠(うち)を頼ってくれたことが嬉しくって」

 

 

 

 ラニの【門】を借りて囘珠宮(まわたまのみや)第零会議室横へと飛んできて、金鶏(きんけい)さんを少々荒っぽい手段(全方向への魔力放射)で呼び出して、祭壇のある純和室へと()()ともども通していただき……おそれ多くもモタマさまへとお目遠しの機会を賜りまして。

 

 現在おれはこうして……相変わらずの可愛らしさを振り撒いてる最高神の一面『鼎恵(かなえ)百霊(もたま)世廻(よぐりの)(みこと)』その(ひと)と、言葉を交わさせて頂いているわけでございます。

 

 

 

「それで……要するに、その子が()()()出来ないようにしちゃえばいいのね?」

 

「……そうですね。正直いって、あまり気乗りがしないのは確かなんですけど…………でも、その子は」

 

「野放しにしておくには、ちょーっとばかし厄介なのよね。……いいのよ、若芽ちゃん。そういうのは本来、神様(おとな)の役目なんだから。お母さんに任せなさい?」

 

「…………ありがとうございます。モタマさま」

 

「うふふふ~~。……囘珠(うち)の子になりたくなった?」

 

「正直、ちょっとだけ。……ちょーっとだけ」

 

「も~~若芽ちゃんってばも~~!! 可愛いんだからも~~!!」

 

 

 

 

 以前おれたちがお力添えを頼んだ際、モタマさまは『布都(フツノ)ちゃんの紹介ならいいわよ』とアッサリ二つ返事で要請を呑んでくれたのだが……その中には【隔世】の奏上を担当する(なつめ)ちゃんの派遣の他に、幾つかの内容が込められていた。

 

 そのうちの一つこそが……敵対者の拘束に関する協力。

 神様に狼藉を働いた呪師(まじないし)や、()()()をしてしまった神使に反省を促すための……魔力(ここでいう神力)に類する異能の行使を阻害する、特殊な『座敷牢』の提供である。

 

 

 この宮の主である『鼎恵(かなえ)百霊(もたま)世廻(よぐりの)(みこと)』の手によって、直々に【神力霧消】の結界が施された六畳ほどの和室。

 入り口にはおれの腕よりも太い角材で頑丈な格子が作られ、窓も外の見えない天井付近に採光窓があるばかり。外からの施錠によって出入りが制限される構造はまぎれもない軟禁用の造りでありながら……入り口の格子の向こうにはミニキッチンやユニットバスや布団一式が備え付けられた、居住性のそれなりに高そうな設えである。

 

 窓から外が眺められず、部屋から出ることができないながらも……ワンルームの賃貸物件かビジネスホテルかと言われても、納得できてしまいそうな『牢』だった。

 

 ……少なくとも、おれは住める。

 

 

 

 というわけで。

 もともと『神力持ち』を軟禁するために用意されていた特注のお部屋に、昏睡したままの捕虜を運び込む。

 監視とお世話は囘珠(まわたま)の方が請け負ってくれるらしいので、あとはお任せでいいらしい。

 ……いや、本当ありがたい。女の子のお世話とかおれ無理だが。

 

 相変わらずぐったりとしたままの彼女は、幼げな見た目とは裏腹に危険きわまりない存在である。

 授けられたその異能【愛欲】に違わぬ妖艶さ……いや、幼艶さを醸し出しているが……今度こそ、その見た目に惑わされるわけにはいかないのだ。

 

 

 主義や主張や所属や来歴、異能を授かるに至った経緯、立場や下された命令の内容など、擁護すべき点は少なからずあるとはいえ。

 彼女の手によって引き起こされた事故によって……到底看過できない被害が生じてしまったのは、紛れもない事実なのだから。

 

 

 

………………………………………

 

 

 

 

「……()()()()ありがと、ラニ。……あれ、もう片付いた?」

 

『まぁね。斥候(ノワ)が意外とよくやってくれたよ』

 

「いやムリムリ。正面切っての殴り合いとか斥候(おれ)に務まるわけないって。罠とか道具とかラニの武器とか使いまくって()()()だったって」

 

「いや助かったよ。安全地帯とか」

 

「その通りに御座いまする! すばしっこいわかめどののお陰で、奏上に際しての安心感が段違いに御座いました! 小生からも……荒祭(アラマツリ)様からも、お礼をば!」

 

「いえいえー。……うん、ちゃんとお礼言えるようになったんだね朽羅(くちら)ちゃん。えらいぞー」

 

「えへっ、エヘへぇー!」

 

 

 

 囘珠(まわたま)さんの座標指針(マーカー)に開いてもらった【門】から、おれが再び現場へと戻ったときには……既に勇者(ラニ)斥候(おれ)の手によって、敵の駆除は完了していた。

 そんなに長い時間掛けたつもりは無かったのだが、厄介な部分を全部押し付けてしまった形になる。……申し訳ない。

 

 周囲一帯からは『獣』たちの反応が消え失せたので、朽羅(くちら)ちゃんの【隔世】も解除されたようだ。

 周囲にはいまだに煙がくすぶる工場の残骸と、駆けつけた消防や警察車輌の赤色灯。おれたちが今いる屋上は下から見えないが、ヘリとかが飛んでこないとも限らない。撤収は早めに済ませた方がいいだろう。

 

 

 

「んじゃそういうことで。斥候(おれ)そろそろ(かえ)るから」

 

『ありがとね斥候(ノワ)。後でお礼してあげるから』

 

「あー……楽しみにしてるね。……んじゃ、帰ろっか。ハンバーグが待ってる」

 

「うぅぅ……小生もうおなかぺこぺこにて御座いますれば、これは是非ともご褒美のいちごを所望する次第にて!」

 

 

 

 地上部分に集まっている人たちに気づかれないように……斥候(おれ)の身体を召喚解除し、思考リソースを元に戻す。

 ほんの数十分の出来事だったが……これまでとは比べ物にならないほどの大きな変化を強いられる、重要な事件だったのだ。

 

 今後おれたちが取るべき手段は。選択肢は。それに必要なことは。

 考えることはとても多くあるけれど……とりあえずは、身近なところからだな。

 

 

 

「いちごかぁ……今夏だからなぁ……フルー○ェでいい? 今度買ってくるよ」

 

「ぅえっ!? そ、そ、そん、っ…………よ、よもや……応じていただけよう、とは……」

 

『我々『のわめでぃあ』は、働きにはきちんと報いるホワイトな職場なのさ。……だからね……今後も期待してるよ? クチラちゃん』

 

「っ!! …………はいっ! この小生めにお任せくださいませ!」

 

(……実際に【隔世(カクリヨ)】奏上してるのは荒祭(あらまつり)さんって話だけど)

 

(それは言わないであげて。せっかくいい顔になったんだし)

 

 

 

 ご褒美の約束を取り付け、にこにこ笑顔になった朽羅(くちら)ちゃんを引き連れ、あとのことは春日井さんたちに任せておれたちは帰還する。

 現場検証や調査もこれからなのだろうけど……それよりなにより、霧衣(きりえ)おねえちゃんの手作り晩御飯が待っているのだ。これは最優先だろう。

 

 

 ……いや、ちゃんと報告はしますが!

 

 

 

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